はじめに

この度の西日本豪雨により被災された皆様ならびに、そのご家族の皆様に心よりお見舞い申し上げます。

一日も早い復興をお祈り申し上げるとともに、私たちに何かできることは何かないかを考え、お役に立てそうな「食」に関するお話をまとめました。

動画が再生できない方のために、画像とテキストでもご覧いただけます。

また、クラシルの動画はIHコンロにて撮影しておりますが、全てガスコンロで同じようにお作りいただけます。

妊娠中の方や、持病をお持ちで水分や食塩、糖分の摂取量に制限のある方は、医師などの専門家に指示をあおいでください。

必要な人に届きますように
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目次

暑さに負けないために

熱中症かな?脱水かな?と思った時、すぐに病院にいけないときのための、手作り経口補水液のご紹介です。

500mlのペットボトルの水に、スティックシュガー5本と、塩を2つまみまぜるだけ。

あればレモン汁を加えると爽やかな風味になり、飲みやすくなります。

手作り経口補水液

  • 500ml
  • 砂糖 (スティックシュガー5本)15g
  • 塩 (ふたつまみ)1.5g
  • レモン汁大さじ1
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1.容器に水、砂糖、塩、レモン汁を入れてよく混ぜ合わせます。
2.器に移して完成です。

砂糖について

スティックシュガーは1本3gのものを使用しております。

砂糖は、水分や塩分が効率良く身体に吸収されるように入れています。

500mlに対して10〜20gを目安に入れてください。

塩について

塩は、3本指でつまんだ量を約0.8gとして計算しています。

手作り経口補水液について

日常的に飲用することはおすすめしていません。

熱中症や脱水の症状が出た場合は、必ず病院にかかるようにしてください。

経口補水液には塩分と糖分が含まれているので、小さなお子さまや、高血圧、糖尿病、腎疾患などの治療中で食事療法をしている方は、必ずかかりつけの医師の指導に従ってください。

手作りですので、保存には向きません。その日のうちに飲みきるようにしてください。

衛生についての工夫

ラップやアルミホイルを用いて、洗い物を減らしながら食器等を清潔に保つ

食器やまな板にラップやアルミホイルポリ袋を巻いたり、被せて使うことで、洗い物を減らし、衛生的に食器類を使用することができます。

また、調理時に混ぜたりする作業も、ポリ袋の中で行えば洗い物がでません。

お箸やコップも、使い捨てられるものがあれば衛生を保ちながら、節水ができます。

水に浸かってしまった食器などを家庭用塩素系漂白剤で消毒する方法

食器などが水に浸かってしまった場合は、使用前に消毒する必要があります。

家庭用の塩素系漂白剤を使って消毒する方法をご紹介します。

家庭用塩素漂白剤を使った消毒方法

  • 500ml
  • 家庭用塩素系漂白剤 (ペットボトルのキャップ2杯分)10ml
  • 水 (洗う用)適量
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1.ゴム手袋やビニール手袋を着用し、汚れた食器をスポンジやラップで落とします。
2.ボウルに水、家庭用塩素系漂白剤を入れて混ぜます。
3.1を入れ、30分程度浸けます。
4.水で洗い流すか、水気をよく拭き取ってから使用してください。

計量カップなどがなくても、500mlのペットボトルがあれば簡単に計ることができます。

消毒液は商品にもよりますが、水に対して家庭用塩素漂白剤の濃度が0.5〜1%になるよう消毒液を入れ混ぜます。

市販のものは5%程度のものが多いので1Lに対して20mlが目安です。

市販の家庭用塩素漂白剤の濃度は1〜12%があるので商品の表記をご一読ください。

また、水やガス、電気が復旧している場合、耐熱の食器であれば沸騰したお湯に入れ1分以上煮沸する、「煮沸消毒」でも消毒できます。


岡山県-水害時の衛生対策について

http://www.city.okayama.jp/contents/000338953.pdf

広島県-消毒液の作り方と使用上の注意(次亜塩素酸ナトリウム)

http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/1265935032756/index.html

手洗いをしっかりとする

災害が起きた後は、食中毒等の感染症が流行しやすい状態が続きます。

暑い日が続きますので、特にお食事される前は、手や食器を清潔に保つことが大切です。

流水や石鹸の入手が難しい場合は除菌シートなどで手を拭きましょう。それも難しい場合は、食品などを直接触らず、包装の袋ごと持つなど工夫することで、少しでも食中毒のリスクを低減できます。

参考:

厚生労働省-被災地での健康を守るために

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/hoken-sidou/disaster.html

厚生労働省-手洗いマニュアル

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10600000-Daijinkanboukouseikagakuka/0000122094.pdf

調理編

お米の調理

炊飯器が使えなくても大丈夫。

不安な毎日が続くと、温かいごはんが食べたくなる方が多いようです。限られた環境と食材でも、工夫すればごはんを炊くことができます。

フライパンで炊く ふっくら白ごはん

  • 2合
  • 350ml
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米は洗って30分以上浸水させ水気を切っておきます。
1.フライパンに米、水を加え全体が平らになるように混ぜます。
2.蓋をして強火で沸騰するまで加熱します。沸騰してきたら弱火にして5分加熱します。
3.米がふっくらしてきたら再度強火にし、1分加熱したら火を止めます。
4.蓋をしたまま10分蒸らします。
5.蒸らし終わったら蓋を外してしゃもじで十字を切るように混ぜて余分な水分を飛ばして完成です。

土鍋でご飯

  • 3合
  • 600ml
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お米は洗って水気を切っておく。
1.土鍋に洗ったお米とお水を入れて30分置きます。
2.強火にかけて吹きこぼれたら弱火にして15分火にかけます。
3.火を消して10分蒸らして完成です。

水じゃなくても大丈夫

お茶で炊く場合は、水で炊く時と同じ水加減で炊飯していただけます。

ジュースがある場合、にんじんジュースやトマトジュース等、野菜由来のものがおすすめです。

食がすすまない時は、色がつくと無意識に味付きのごはんだと認識するので、1%程度の塩やコンソメを足すと美味しく召し上がっていただけることが多いです。

2合に対して塩小さじ1、コンソメ顆粒小さじ3程度を目安にしてみてください。

甘みが強いジュースは好みがわかれやすいですが、水と混ぜて風味を薄めたり、塩を入れて炊くと酢飯のような風味に近づき、食べやすくなります。

オレンジジュースごはん

  • 2合
  • 100%オレンジジュース適量
  • 小さじ1
  • 三つ葉 (飾り用)適量
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米は研いで、水気を切っておきます。
三つ葉は葉を手でちぎっておきます。
1.炊飯器に米を入れ、2合の目盛りまで100%オレンジジュース、塩を入れて全体を混ぜ、炊きます。
2.器に盛り付け、三つ葉を乗せて完成です。

乾物や乾麺の調理

乾麺は2倍の水があればゆでられる

ふだんはたっぷりのお湯でゆでるパスタやそうめんですが、使える水が限られている場合、乾麺に対して2倍程度の水があれば調理することができます。

また、ゆでるのに時間がかかるパスタは、2倍量の水に3時間ほど浸しておくと、柔らかくなり、ゆで時間を短縮できます。

もちもち食感 ツナと梅のさっぱりパスタ

  • スパゲティ100g
  • 水 (浸す用)300ml
  • 梅干し2個
  • ツナ油漬け70g
  • めんつゆ (2倍濃縮)大さじ2
  • 少々
  • 大葉 (トッピング)2枚
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梅干しは種を取っておきます。
ツナ油漬けは油を切っておきます。
大葉は細切りにします。
1.耐熱容器に水を入れ、スパゲティを浸し、3時間冷蔵庫でおきます。
2.600Wの電子レンジでパッケージの表記時間通り加熱し、水気を切ります。
3.ボウルに梅干しをいれフォークでつぶします。ツナ油漬け、めんつゆ、塩、2を入れ、混ぜ合わせます。
4.お皿に盛り付け、大葉をのせて出来上がりです。

水戻しパスタで ツナコーンスパゲティ

  • スパゲティ100g
  • 水 (スパゲティ用)300ml
  • ツナ油漬け80g
  • コーン (缶詰)50g
  • ①ケチャップ大さじ3
  • ①コンソメ顆粒小さじ1
  • ①塩ふたつまみ
  • ①黒こしょうふたつまみ
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1.フライパンに水とスパゲティは手で半分に折って入れ、3時間程置きます。
2.1を中火にかけ、水分が少なくなるまで7分程加熱したら、ツナ油漬け、コーン、①を入れて3分程炒めます。
3.火を止め、器に盛り付けて出来上がりです。
しっかりとかき混ぜて加熱ムラをなくすようにすると、よりおいしく仕上がります。

乾パンやパン粉やわらかくして食べやすくする

柔らかくして食べやすいミルク乾パン

  • 牛乳150ml
  • 乾パン15g
  • 砂糖大さじ1
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1.耐熱ボウルに牛乳と砂糖を入れ、ふんわりとラップをし、600Wの電子レンジで1分半加熱します。
2.電子レンジから取り出し、よくかき混ぜます。
3.乾パンを入れた器に2を注ぎ、乾パンがふやけて柔らかくなったら完成です。

非常食として定番の乾パンは、牛乳や水にひたすと柔らかくなり、食べやすくなります。

どんな味にも合うように作られているので、砂糖をかけるだけでも美味しいですし、スープにも合います。食欲が落ちていても食べやすいです。

もしもの時に パン粉でパン粥

  • パン粉30g
  • お湯100ml
  • 牛乳100ml
  • 砂糖小さじ1
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1.パン粉をお湯でふやかします。
2.鍋に牛乳、砂糖を入れ、沸騰直前まで温めます。
3.1を加え、ひと煮立ちさせたら完成です。

また、パン粉を使って、パン粥を使えば、柔らかいパン粥もお作りいただけます。

※ 個々の嚥下状態に合わせ、必ず様子をみながらお召し上がりください。

加熱済みの中華麺を水で戻す方法

カップラーメンや袋に入った中華麺など、一度加熱された乾麺は水でゆっくり戻して食べることができます。

調味料を先に入れ、ひたるくらいの水に15〜20分つけて麺を柔らかくします。

袋麺の場合は、袋にそのまま水を入れると洗い物も省けます。

調理時は倒れないようにご注意ください。

あれば、箱ティッシュの箱が立てておくのにちょうど良いサイズです。

参考:警視庁警備部災害対策課

https://twitter.com/MPD_bousai/status/915066195652444160

おわりに

暑い日が続きます。脱水状態は、心筋梗塞や脳梗塞、エコノミー症候群などの原因になります。

また、災害時は身体と心に一気にストレスがかかってしまい、食欲がなくなってしまうことも少なくありません。

そんな時はぜひ、飲み物や甘いものからはじめてみてください。

食がすすまない方には、缶詰のフルーツを別の容器に移してみるだけでも、気持ちが温かくなり、食べられることがあります。

また、簡易でもよいので、テーブルと椅子を用意してみてください。

食卓を囲むことで身体を動かすきっかけになりますし、生まれるコミュニケーションは心を安らげます。

食料や水が少ないと、ついつい遠慮がちになってしまう方もいらっしゃるかと思いますが、まずはあなたが元気でいてくれることが、周りのみなさまの笑顔につながります。

無理のない範囲で、しっかりと食べることを心がけてください。

少しでもお役に立てましたら幸いです。

この度被災された皆さまが、一日も早く、おいしいものをおいしいと感じられる日々を取り戻せるよう、社員一同自分達にできる事を続けてまいります。

必要な人に届きますように
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dely株式会社社員一同