味噌というと赤味噌や白味噌が一般的ですが、それ以外にもたくさんの種類があることをご存知ですか?色や味わいが異なる味噌を使い分けることで、いつもの料理がグンと楽しくなりますよ。今回は、色々な味噌の名前とその特徴をご紹介します。
味噌の種類|味わいの違いやそれぞれの特徴は?

- 目次
- 「原材料」による味噌の違い
- 「味」による味噌の違い
- 「色」による味噌の違い
- どんな料理にも合わせやすい「米味噌」の種類
- 北海道味噌(北海道)
- 仙台味噌(宮城県)
- 江戸甘味噌(東京都)
- 信州味噌(長野県)
「原材料」による味噌の違い
深い旨味が魅力の味噌ですが、主な原材料は「大豆、塩、麹」のみととてもシンプル。味噌は大豆と塩にどのような麹を加えるかによって種類が異なり、「米味噌」、「麦味噌」、「大豆味噌」の3種類に分けられます。また、数種類の味噌を混合したものは「調合味噌」と呼ばれます。
【米味噌】
大豆に米を原材料とした米麹を加えて作ったもの。
【麦味噌】
大豆に麦を原材料とした麦麹を加えて作ったもの。
【豆味噌】
大豆に種麹を付け、豆麹を培養して作ったもの。主な原材料は大豆のみになります。
【混合味噌】
異なるなる2種類以上の味噌を混合したもの。または、複数の麹を混合して作った味噌のこと。
「味」による味噌の違い
味噌は「甘口」、「辛口」というように、味によっても分けられます。辛さ加減は食塩の量によりますが、甘さ加減は「麹歩合(こうじぶあい)」によって決まります。麹歩合とは「大豆に対して何割の麹を加えたか」ということで、大豆10Kgに対して7Kgの麹を加えた場合は「麹歩合7歩」となります。食塩の量が同じなら、麹歩合が高いほうが甘口になります。
「色」による味噌の違い
味噌は仕上がりの色によって「白味噌」、「淡色味噌」、「赤味噌」の3種類に分けられます。主に大豆の種類や、大豆を煮るか蒸すか、麹の量、発酵の途中でかき回すか、発酵熟成の期間など、さまざまな条件によって色が変わってきます。一般的には、熟成期間の長い味噌ほど赤みを帯びた濃い色になります。
どんな料理にも合わせやすい「米味噌」の種類
全国の代表的な味噌をチェックしてみましょう!米味噌は日本で最も多く生産されている味噌で、全体の約8割を占めています。生産されている地域も北海道から四国までと幅広く、それぞれの水や風土の違いによって味わいが異なります。
北海道味噌(北海道)
赤色系の辛口味噌です。麹歩合がやや高く塩分は控えめで、すっきりとした香りが楽しめます。特にジャガイモや玉ねぎなど甘味のある野菜との相性がよく、北海道の郷土料理である石狩鍋や鮭のチャンチャン焼きには欠かせない存在です。
仙台味噌(宮城県)
赤色系の辛口味噌です。蒸した大豆を使って長期熟成させることで、旨みを逃さず濃厚な味わいを生み出します。「仙台味噌はダシいらずで味噌汁が作れる」と言われるほど香り高く強い旨みがあり、そのままでもおいしくいただけることから「なめみそ」とも呼ばれます。
江戸甘味噌(東京都)
赤褐色の甘口味噌です。麹をたっぷりと使い塩分控えめなので、濃厚な甘味と独特の香りがあります。肉や魚と相性がよく、豚肉の味噌漬けやサバの味噌煮などに加えるとコクのある味わいに仕上がります。
信州味噌(長野県)
淡色の辛口味噌です。さっぱりとした旨みとやや酸味のある香りがあり、幅広い料理に活用できる万能味噌です。日本で最も多く生産されており、全体の約4割を占めます。
越後味噌(新潟県)
赤色系の辛口味噌です。塩分がやや高めでありながらも、まろやなコクと強い旨みがあります。丸米の麹を使っているので、米粒が味噌の中で浮いているように見えることから浮麹味噌(うきこうじみそ)とも呼ばれます。この浮麹が浮いた味噌汁は、越後味噌ならではの味わいです。
関西白味噌(関西地方)
白色の甘口味噌です。麹歩合がとても高く塩分が低いので、甘味が強く芳醇な香りがあります。主に魚の西京味噌漬けや田楽などに使われる他、白味噌仕立ての関西雑煮には欠かせない存在です。
素朴な甘味が楽しめる「麦味噌」の種類
麦味噌は九州を中心として中国、四国地方で多く消費されています。麦独特の芳ばしい香りと甘味があり、本来は農家の自家用として作られていたことから田舎味噌とも呼ばれます。
瀬戸内麦味噌(愛媛県、山口県、広島県)
淡色の甘口味噌です。麦特有のさらっとした甘味と香りがあります。特に愛媛県で作られるものは、麹歩合がとても高く独特の香りがあります。米味噌と合わせて味噌汁にすると、まろやかでコクのある味わいが楽しめます。
薩摩味噌(鹿児島県)
淡色の甘口味噌です。ふんわりとした素朴な味わいと甘味があります。麹歩合が高く粒が残っているので、味噌汁にする場合は漉しながら溶かします。鹿児島の郷土料理である薩摩汁には欠かせない存在です。
九州麦味噌(九州地方)
淡色で甘口の味噌が多いの中、北部では辛口の味噌もあります。芳醇な麦の香りと甘味があり、九州名物の冷や汁やもつ鍋に加えるとより本格的な味わいが楽しめます。
濃厚で独特の渋みがある「豆味噌」の種類
豆味噌は主に愛知県、三重県、岐阜県で多く消費されています。麹を使わずに大豆に直接種麹を付けて長期間熟成させることで、大豆本来の旨味と風味が凝縮した味わいが生み出されます。また、豆味噌をベースに米味噌などを混合したものは「赤だし」と呼ばれます。
東海豆味噌(愛知県、三重県、岐阜県)
赤褐色の辛口味噌です。八丁味噌、名古屋味噌、三洲味噌、三河味噌の総称で、濃厚な旨味と独特の渋みがあります。肉や魚と相性がよく、加熱による香りの変化が少ないので煮込み料理に向きます。名古屋名物の味噌煮込みうどんや味噌おでん、味噌カツには欠かせない存在です。
色々な味噌を使い分けて楽しもう!
いかがでしたか?味噌はさまざまな味わいがあり、特徴を知っておくだけで料理のバリエーションが広がりそうですよね。特に各地方の郷土料理を作るときには、その地域特産の味噌を使うことでより本場に近い味わいに仕上がります。
また、クラシルでは、様々な種類の味噌を使ったレシピをご紹介しています。もし気になった味噌があれば、ぜひご家庭で調理してみてくださいね。
