最終更新日 2023.3.30

柿の葉寿司とは?柿の葉の魅力や特徴について解説!

柿の葉寿司とは?柿の葉の魅力や特徴について解説!

サバなどのネタとシャリを柿の葉で包んだ奈良県の郷土料理「柿の葉寿司」。聞いたことはあっても、どんなものなのかあまりよく知らないという方も多いかもしれませんね。この記事では柿の葉寿司の特徴や由来に加え、柿の葉寿司に似たお寿司やおいしい食べ方などについて解説します。ぜひチェックしてみてくださいね。

  • 目次
  • 柿の葉寿司とは?
  • 柿の葉寿司はどうやってできた?歴史と由来
  • 魅力いっぱいの柿の葉寿司
  • 柿の葉寿司のおいしい食べ方
  • 柿の葉寿司に似たお寿司
  • 鱒寿司
  • 笹寿司
  • 朴葉寿司

柿の葉寿司とは?

柿の葉寿司とは、柿の葉っぱで包んだお寿司のことで奈良県の郷土料理として古くから親しまれています。お寿司そのものは押し寿司の一種で、酢漬けにしたサバやサケなどのネタをのせるのが定番です。そのほかにも、タイや穴子、エビなどの魚介類や、大根やしいたけなどが具材として用いられることもあります。柿の葉にネタとシャリをのせて包み込み、重しをして寝かせた柿の葉寿司は魚と酢飯の旨味、柿の葉の風味が一体となった特有のおいしさが魅力です。

柿の葉にはポリフェノールの一種であるタンニンが豊富に含まれており、抗菌・抗酸化作用があるとされています。柿の葉で包むことで寿司の乾燥を防ぐだけでなく保存性を高める効果があると言われているんですよ。

柿の葉寿司は奈良県以外にも石川県加賀地方や鳥取県智頭町でも古くから食べられており、それぞれの地域ごとに少しずつ違いがあります。石川県のものはサバやサケ以外にブリやクジラの皮がネタとして用いられ、表面に桜えびや紺のりなどを散らすのが特徴です。鳥取県の柿の葉寿司はマスを使い山椒がアクセントになっています。地域ごとの柿の葉寿司の味わいを食べ比べてみるのも面白そうですね。

柿の葉寿司はどうやってできた?歴史と由来

柿の葉寿司の由来については正確な資料などがなく、はっきりとはわかっていません。少なくとも江戸時代中期頃には、柿の産地だった五條や吉野川流域で親しまれていたと考えられています。このあたりはたいへん山深く海のないエリアですが、紀州熊野灘で獲れたサバなどの魚が行商人たちによって運ばれてきていました。吉野へは馬で運んでも2日ほどかかってしまうため、魚は水揚げされるとすぐ保存のために塩漬けにされていたそうです。もともとかなり塩気が効いていたうえに運ぶ間にも塩が染みたため、そのまま食べるのは塩辛すぎると感じたとか。

貴重な海の幸をおいしく食べるために考えついたのが、サバを一枚一枚薄く削ぎ、一口大のごはんに添えて食べるという方法です。やがて、乾燥を防ぐために豊富にあった柿の葉で包むようになりました。これに重石をして余分な空気を抜き、3日ほど寝かせて発酵させることで保存性を高めたのです。完成後3日ほど食べれるくらい、保存性が高かったそうですよ。

ちなみに当時は寿司飯ではなく、白米を発酵させたものを使う馴れ寿司(熟れ寿司)のスタイルでした。これが柿の葉寿司の原型と考えられています。この柿の葉寿司は魚が貴重な内陸部ではお祭りなどハレの日に食べるご馳走として位置づけられていたそうです。 地元の各家庭で親しまれていた柿の葉寿司を明治時代に初めて商品化しました。

白米を発酵させた馴れ寿司から、寿司飯を使ったスタイルに変えるとともに魚の塩分を減らして食べやすくすることで現在の柿の葉寿司が誕生したと言われています。

魅力いっぱいの柿の葉寿司

柿の葉寿司は魚と酢飯、柿の葉が織りなすシンプルながら奥深い味わいが魅力です。塩気の効いた魚と、甘酸っぱい酢飯、ほんのりと香る柿の葉の芳醇な風味が柿の葉寿司ならではのおいしさを生みだします。柿の葉寿司は押し寿司の一種ですが、普通の押し寿司よりも長時間押しを効かせるのが特徴です。押しが強く効いていることで魚の旨味と塩気がシャリにじっくりと染み込み、柿の葉の香りも移って熟成した味わいになります。

柿の葉寿司には季節感を楽しめるという一面もあります。通常は初夏の時期に収穫した柿の葉を塩漬けにして通年用いますが、四季それぞれの葉を使うこともあり、季節ごとの見た目や香りを楽しむことができるんです。初夏には、鮮やかな新緑の葉が登場。香り高く美しい葉で包んだ爽やかな柿の葉寿司になります。そして、紅葉のシーズンである晩秋の時期には赤々と色づいた柿の葉が使われます。見た目も華やかな柿の葉寿司に仕上がり、例年たいへん人気があるそうです。四季折々の柿の葉寿司を楽しんでみてくださいね。

また、柿の葉寿司の魅力のひとつは食べやすさです。一口サイズのお寿司がひとつずつ柿の葉で包まれているため、箸や皿などを使わずに食べることができます。取り分けやすいことから、さまざまなシーンで活躍!楽屋見舞いやイベントの陣中見舞いに使われることも多いんですよ。

柿の葉寿司のおいしい食べ方

そのまま食べてもおいしい柿の葉寿司ですが、寒い時期にはごはんが固く感じられることも。そんなときにおすすめなのが、柿の葉寿司を焼くアレンジ。オーブントースターで葉っぱごと5~6分焼くとごはんがふっくらと仕上がるそうです。魚の脂や柿の葉の香りがごはんになじんでひと味違うおいしさを楽しめますよ。ぜひお試しくださいね。

柿の葉寿司に似たお寿司

ここまで柿の葉寿司について紹介してきましたが、日本各地には柿の葉以外の葉を使った魅力的なお寿司がいくつもあります。代表的なものを以下で見ていきましょう。

鱒寿司

富山県の名物の鱒寿司は江戸時代に生まれ、大正時代に駅弁として有名になりました。笹を使った押し寿司で、曲げわっぱに笹の葉を敷き、塩漬けの鱒と酢飯を重ね重石をして詰めます。鱒の厚さや酢の効き具合、押しの強さなどは店によってそれぞれ個性豊か。塩気の効いた鱒と甘酸っぱい酢飯の組み合わせが相性抜群です。

笹寿司

笹寿司は新潟県の郷土料理。由来には諸説あり、川中島の合戦で上杉謙信率いる軍勢にふるまわれたという説や、上杉謙信が武田信玄との戦の際に山奥で笹の葉を器の代わりにしてご飯を持ったという説があります。笹の葉に殺菌、防腐作用があることから保存食として重宝されていたようです。笹の葉に酢飯を敷き、さまざまな具材をのせるのが特徴。ゼンマイやタケノコ、しいたけやくるみのほか、ひじきや味噌漬けなど具材のバリエーションは豊富です。

朴葉寿司

岐阜県の郷土料理である朴葉寿司は、香りのよい朴の木の葉で酢飯を包んだもの。朴の木の葉に殺菌作用があることや箸を使わず食べられることから、農作業などの携帯食として古くから親しまれてきました。当初は塩鮭を酢で締めたものを酢飯にのせたシンプルなものでしたが、現在では鯖や鮭の酢漬けに、さまざまな具材を加えたものになっています。地域によって具材の種類が異なり、錦糸卵とミョウガだけの地域や、きゃらぶきの煮物に紅ショウガなどさまざまなアレンジを楽しめます。

海と山の幸が詰まった柿の葉寿司を味わおう

いかがでしたか?柿の葉寿司が生まれた背景の歴史やその魅力に加え、柿の葉寿司のおいしい作り方や食べ方などをご紹介しました。先人たちの知恵が詰まった柿の葉寿司は海と山の幸が詰まった魅力あふれる料理です。今まで柿の葉寿司を食べたことがなかったという方も、この機会にぜひそのおいしさを味わってみてくださいね。

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