「マッククス」という韓国料理をご存じですか?そば粉で作った麺を冷たいスープやタレと一緒に食べる、暑い夏にもぴったりの一品なんですよ。この記事では、マッククスの特徴や作り方、日本のそばとの違いなどについて解説します。記事の後半では、おすすめのそばのアレンジレシピもご紹介するので、ぜひ最後までご覧くださいね。
そば粉で作る?韓国料理の「マックククス」って何?そばとの違いやレシピもご紹介!
- 目次
- マッククスとは?
- 「マッククス」の意味
- マッククスの種類や特徴
- マッククスの歴史
- マッククスと日本のそばの違いは?
- ムルマッククスと冷麺の違い
- ビビンマッククスとビビン麺の違い
- 韓国では専門店以外でも食べられるマッククス
- そばのアレンジレシピ
- おうちでマッククスを作ってみよう!
マッククスとは?
マッククスとは韓国で親しまれている麺料理のひとつで、そば粉で作った麺が使われています。冷たい麺料理なので、暑い夏に特に人気があるんですよ。後ほど解説しますが、マッククスの麺は日本のそばと少し異なり、そば粉に小麦粉やじゃがいものデンプンを混ぜ込んだものが多いため、つるんとしていてコシがあります。
もともとは、そばの栽培が盛んな韓国北東部の江原道(カンウォンド)地方の郷土料理でしたが、ソウルの飲食店で提供されるようになったこともあり、現在では広く知られるようになりました。
「マッククス」の意味
韓国語で「適当に」「今すぐ」「ザザッと」というような意味を持つ「マッ」に、麺を指す「ククス」を組み合わせて「マッククス」という名前がつけられたと言われています。
この言葉の意味からもわかるように、マッククスは蕎麦を使って適当に作ってザザッと食べる料理であり、庶民に親しまれていました。ただ近年はさまざまな食べ方で楽しまれていて、高級化もすすんでいるのだそうです。
💡ワンポイント豆知識
韓国語でそばのことを「メミル」や「モミル」ということから、マッククスは「メミルククス」や「モミルククス」とも呼ばれます。
マッククスの種類や特徴
マッククスには代表的なものに「ムルマッククス」と「ビビンマッククス」があります。それぞれの特徴について確認してみましょう。
ムルマッククス(汁マッククス)
「ムル」とは韓国語で「水」を意味します。その名の通り、スープをたっぷりかけて食べるタイプのマッククスです。「トンチミ」と呼ばれる大根を使った水キムチの汁のほか、牛骨や鶏ガラなどからとっただし汁を指す「ユッス」をかけて食べることが多いようです。トンチミの酸味が聞いたさっぱりとした味わいで、夏に食べたくなる麺料理として特に人気があるんですよ。
ムルマッククスはさっぱり、ビビンマッククスはピリ辛で、どちらも夏にぴったりの味わいです。具材はトンチミの大根の薄切りやキムチなどをのせます
ビビンマッククス(混ぜマッククス)
韓国語で混ぜるを意味する「ビビン」。ビビンパやビビン麺など、韓国には混ぜて食べる料理が多数ありますが、ビビンマッククスもよく食べられています。
スープは少なめで、コチュジャンをベースにした甘辛いたれ「ヤンニョムジャン」を麺に絡めて食べるタイプのマッククスです。ビビンマッククスには、ゆで卵のほか、キムチや大根、レタスやきゅうりなど野菜の具材が使われます。
💡ワンポイント豆知識
近年は、冷たいマッククスに特製だれやエゴマ油、えごまパウダーをたっぷりかけて食べる「エゴママッククス」も人気があります。エゴマの香りがふわっと香り、コクと香ばしさを楽しめると日本でも食べられるお店が増えてきているんですよ!
マッククスの歴史
記事の前半でも触れましたが、マッククスは韓国北東部に位置する江原道地方の郷土料理です。もともとは、山菜を加えたり、ゆで卵だけを具材としたシンプルな料理でしたが、人気が高まるにつれて茹でた肉や海苔などものせて華やかに仕上げるように変化していきました。
麺も当初はそば粉で作ったボソボソとした食感の太麺だったものが、現在のようにツルッと口当たりのよい麺に改良されたんですよ。
マッククスと日本のそばの違いは?
マッククスはそば粉を使った麺料理とご説明しましたが、日本のそばとはどのような違いがあるのでしょうか。以下で確認してみましょう。
※マッククスの項目にムルマッククスとビビンマッククスそれぞれの情報を記載しています
| 項目 | マッククス | 日本のそば |
|---|---|---|
| 主な食べ方 | ・冷たいスープをかけて食べる |
・冷たいつゆにつける |
| 麺の材料 | ・そば粉+小麦粉 |
そば粉中心 |
| スープ(たれ) | ・トンチミ |
・そばつゆ |
| 具材 | ・ゆで卵、大根の薄切り、キムチ、きゅうりなど |
・海苔、ねぎ、天かす、わさびなどが主流 |
| 文化的背景 | 韓国・江原道の郷土料理/家庭料理 |
日本全国で親しまれる伝統的な和食 |
そば粉の割合
マッククスと日本のそばは、どちらも麺にそば粉を使いますが、日本のそばの方がそば粉の割合が多く、そばの風味が際立ちます。マッククスの麺にはそば粉のほかに小麦粉やじゃがいもデンプンが使われることが多く、ツルッとコシのある食感になることが多いです。
スープ、つゆの味わい
味はマッククスの種類によって異なります。ムルマッククスはトンチミの汁や牛骨や鶏ガラからとっただしをスープに使ったシンプルであっさりとした味わい、ビビンマッククスはコチュジャンや酢、砂糖などをタレとして使い、辛味や酸味、甘味のある味わいです。一方、日本のそばはかつお節や昆布で取っただしにしょうゆを加えた和風つゆで、旨味と香りを楽しめます。
ムルマッククスと冷麺の違い
韓国には、マッククスにとても似ている料理があります。それが「冷麺」です。日本だと韓国の冷たい麺料理と聞いて真っ先に想像するのはマッククスよりも「冷麺」と答える方の方が多いかもしれません。
見た目は似ていますが、どのような違いがあるのでしょうか。ここではとくに見た目が似ている「平壌冷麺」と比較してみました。
| 項目 | ムルマッククス | 平壌冷麺 |
|---|---|---|
| 麺の材料 | そば粉(蕎麦の外皮ごと使う) + 小麦粉 じゃがいもデンプン |
そば粉(蕎麦の中身を使う) + じゃがいもデンプン さつまいもデンプン 小麦粉など |
| スープの味 | 冷たいスープ あっさりとした味わいの |
冷たいスープ 甘酸っぱい味わい |
| 食べ方 | 麺をスープに入れて食べる | 麺をスープに入れて食べる |
麺の違い
マッククスの麺は、外皮をつけたままそば粉を挽いているので、黒っぽい色をしています。冷麺の麺は蕎麦の実の外皮を使わず、中の白い部分を挽いたそば粉を使うこと、またじゃがいもデンプンなどを使うので白っぽい色のものも多くあります。
ただ、さつまいもデンプンを使用しているものなどは黒っぽい麺になるようです。太さは冷麺よりムルマッククスの方が太いことが多いようです。
スープの味わい
ムルマッククスと冷麺は、麺を冷たいスープに入れて食べる点は共通していますが、スープの味は異なります。ムルマッククスはトンチミの汁を使ったさっぱりとした味わいが魅力です。
一方冷麺は、牛骨スープや酢を使ったコクと酸味のある味わいを楽しめます。お店や家庭によって違いますが、甘酸っぱい味わいのスープであることが多いようです。
ビビンマッククスとビビン麺の違い
続いて、ビビンマッククスとビビン麺の違いを見てみましょう。
| 項目 | ビビンマッククス | ビビン麺 |
|---|---|---|
| 麺の材料 | そば粉(蕎麦の外皮ごと使う) + 小麦粉やじゃがいもデンプン |
小麦粉メイン 小麦麺、そうめん、蕎麦など多様 |
| スープ有無 | コチュジャンベースタレ + 少量のスープ |
スープはなし コチュジャンベースの甘辛いタレのみ |
| 食べ方 | 混ぜて食べる | 混ぜて食べる |
麺の種類
ビビンマッククスには、必ずそば粉が入ったものが使われます。対してビビン麺は、そば粉が入った麺を使うこともありますが、小麦粉で作られる麺が使われることが多いです。
そうめんやじゃがいもデンプンを使った冷麺のような麺もよく使われます。
タレの味と具材
ビビンマッククスとビビン麺は、どちらも麺とタレを混ぜ合わせて食べますが、マッククスに関してはトンチミのスープを少量入れることもあるようです。特に夏の暑い日は少しスープを加えることで、よりさっぱりと食べられるのだとか!
具材も少し異なり、ビビンマッククスにはキムチやゆで卵、茹でた肉、梨、そして野菜をたっぷり使いますが、ビビン麺はきゅうりやもやし、ゆで卵、海苔、ごまなどが定番です。
韓国では専門店以外でも食べられるマッククス
マッククスは専門店だけではなく、軽食屋や屋台、ファーストフード店などでも食べることができます。チョッパルやポッサムなどの豚肉料理のお店では「チェンバンマッククス(平皿蕎麦冷麺)」という、サラダ風のマッククスがサイドメニューとして人気のようです。
チェンバンとは、金属製のお皿のことで、麺と一緒にキャベツや紫キャベツ、きゅうり、にんじん、もやし、エゴマの葉、カラーピーマン、茹でた肉、ゆで卵などをたっぷり盛り、ヤンニョムジャンをかけて食べます。
そばのアレンジレシピ
最後にビビン麺風のそばアレンジレシピをご紹介します。そばを使うので、ビビンマッククス風アレンジレシピとも言えますね!お好みの具材をのせて楽しんでみてください。
冷凍そばで ビビン麺風
コチュジャンを使った、ビビン麺風アレンジレシピです。甘辛いタレが絡んだ麺とシャキシャキ食感のきゅうり、梨のジューシーな甘みが相性抜群!何度でも食べたくなるおいしさですよ。とても簡単に作れるので、忙しい日のランチにもおすすめの一品です。
おうちでマッククスを作ってみよう!
今回は、マッククスの特徴や日本のそばとの違い、また冷麺やビビン麺との違いについて解説しました。日本ではそばといえばだしの効いたつゆで食べるのが定番ですが、マッククスのように辛味や酸味のあるタレと絡めて食べるのもとてもおいしいですよ。ご紹介したレシピも参考に、ぜひおうちでマッククスを作って食べてみてくださいね。
