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へぎそばと普通のそばの違いは?味や特徴について解説!

へぎそばと普通のそばの違いは?味や特徴について解説!

「へぎそば」とはどんな食べ物か知っていますか?へぎそばは、新潟県魚沼地方発祥のそばで、材料に布海苔を使うことや、へぎと呼ばれる器に盛りつけるなど、普通のそばにはない特徴があるんですよ。今回は、へぎそばと普通のそばとの違いについてや、へぎそばのおいしい食べ方について解説します。ぜひ最後までご覧くださいね。

  • 目次
  • へぎそばとは?
  • へぎそばと普通のそばの違いは?
  • へぎそばの食べ方や薬味は?
  • へぎそばを食べてみよう!

へぎそばとは?

「へぎそば」は、新潟県の魚沼地方が発祥だといわれている、新潟県の郷土料理です。「へぎ」とは木で作った四角い器のことで、ざるそばやせいろそばのように、そばを盛りつける器の名前を使った料理名となっています。「へぎ」は、「剥ぐ(はぐ)」から「へぐ」になまった言葉で、木を剥いで器を作ったことが名前の由来なのだそうです。

へぎそばは、この器に冷やしたそばを一口大に丸めて盛りつけます。この盛りつけをするときの手の動きが「手振り」や「手びれ」と呼ばれ、織物をするときに糸を撚り紡ぐ動作を表しているともいわれています。

実は新潟は織物文化発祥の地でもあり、昔から雪深い時期には屋内で機織りをしていたのだそうです。へぎに盛りつけたへぎそばは、まるで波のように美しい見た目をしており、へぎそばは、新潟の織物文化からくる美意識とそばが融合して生まれたと考えられているのです。

もう一つへぎそばの大きな特徴といえば、「布海苔」を原料に使っていることです。布海苔は海藻の一種で、全国各地で生息してはいるものの、良質な布海苔が採れるのは長崎県を中心としたごく一部の地域のみ。しかも、一年の中でも限られた時期にしか採取されず、手摘みでしか採ることができないのだそうです。

布海苔は食用にされるだけではなく、もともとは織物の糊づけや漆喰の材料、洗濯のりにするなど、「糊」として使われていました。新潟でも、織物のよこ糸をピンと張るために布海苔を使っていました。そこで、十日町市にある小嶋屋総本店の初代社長・小林重太郎が中心となり、この布海苔をそばに使ってみようと試みた結果、へぎそばが生まれたのだそうです。

布海苔をつなぎに使ったへぎそばは、特有の風味があり、つるっとしたのどごしと歯ごたえがあるのが特徴。色は少し緑がかっています。また、へぎそばならではの美しい盛りつけは、布海苔を使ったコシの強いものでないと難しいのだとか。

へぎそばと普通のそばの違いは?

前述のとおり、へぎそばの特徴の一つに、つなぎとして「布海苔」を使うことが挙げられます。そば粉は小麦粉と違ってグルテンを含まないため、そばを打つにはつなぎが必要です。それでは、普通のそばではどんなつなぎを使うのでしょうか。

一番多く使われているのは「小麦粉」。なかでも、中力粉や強力粉を使うのが一般的です。中力粉をつなぎに使ったそばは、つるつるとした食感とほどよいコシがあります。強力粉を使う場合は、グルテンを多く含むため生地が扱いやすくなり、中力粉のつなぎに比べると、もっちりとしたコシのある食感になるんですよ。

自然薯などの山芋をつなぎに使うこともあり、小麦粉をつなぎに使ったそばとはまた違った味わいがあります。すりおろした自然薯をトッピングにしてとろろそばとして楽しむこともありますよね。地方によっては卵をつなぎとする場合もありますが、そばが広まったといわれる江戸時代には卵は高級品だったので、全国的にはあまり定着しなかったようです。信州では、山ごぼうの葉に含まれる細かい繊維をつなぎとして利用する地域もあるんですよ。

また、つなぎの割合によってそばの呼び方が異なります。つなぎがまったく入っておらず、そば粉のみで作ったものは「十割そば」、つなぎが1割でそば粉が9割のものが「九割そば」、つなぎが2割でそば粉が8割のものが「二八そば」です。専門店などで一般的に多く食べられているのは二八そばです。つなぎを使わない十割そばは作るのがとても難しいのですが、そば粉そのものの風味を最も強く感じられます。

どれが一番おいしいかについては個人の好みによるので、ぜひ食べ比べしてみてくださいね。

麺の盛りつけに使う器にも普通のそばと違いがあるのは、すでに説明したとおりです。一般的に多く使われているざるやせいろ以外にも、全国にはいろいろな器を使ったそばがあるんですよ。5枚の小皿に分けて盛られる兵庫県但馬地方の「出石(いずし)そば」や、赤く塗った丸い三段重の漆器に麺や薬味、つゆを入れる島根県出雲地方の「割子そば」、岩手の「わんこそば」など。

各地の名物そばを食べ歩いてみたいものですね。

※『出石そば』は「出石皿そば協同組合」の登録商標又は商標です。

へぎそばの食べ方や薬味は?

へぎそばは、一口大に丸めて盛りつけられているので、それを箸で取り、そばつゆに浸して食べます。つゆは一般的なそばつゆと同じく、かつお節やサバ節、昆布からとった出汁に、しょうゆや砂糖で味つけをしたものが多いようです。

一般的にそばの薬味にはわさびを使うことが多いのですが、へぎそばではからしを使います。へぎそばが考案された地である十日町市ではわさびがとれなかったため、薬味にからしを使うようになったそうです。からしはつゆに溶くのではなく、そばの上に少しつけて食べます。もちろん現在では流通が発達してわさびも簡単に手に入れられるので、お店によってはわさびも提供されているようですよ。ねぎやごま、のりなど、一般的になじみの深い薬味も使われます。

へぎそばを食べてみよう!

今回は、へぎそばの特徴や食べ方、普通のそばとの違いについて解説しました。織物文化の影響を色濃く受けて生まれたへぎそば。スーパーのおそば売り場で売っているお店もあるので、見かけたときにはぜひおうちでも味わってみてください。新潟を訪れる機会があれば、熟練した技で美しく盛りつけられたへぎそばを食べてみてくださいね。

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