イギリスの伝統菓子「クリスマスプディング」とは?伝統的な作り方や食べ方についても解説!

イギリスの伝統菓子「クリスマスプディング」とは?伝統的な作り方や食べ方についても解説!

「クリスマスプディング」というお菓子をご存知ですか?イギリスのクリスマスには欠かせないもので、ドライフルーツがたっぷりと入ったスパイスが香る伝統的なデザートなんです。この記事では、クリスマスプディングの歴史や作り方のほか、ちょっと驚く食べ方について解説します。ぜひチェックしてみてくださいね。

  • 目次
  • クリスマスプディングとは
  • クリスマスプディングを作る日は決められている?
  • クリスマスプディングの伝統的な作り方
  • クリスマスプディングの食べ方
  • クリスマスプディングの歴史
  • 今年のクリスマスにクリスマスプディングはいかが?

クリスマスプディングとは

クリスマスプディング(Christmas pudding)とは、イギリスの伝統的なクリスマスのデザートのことです。プディングといっても、私たち日本人が思い浮かべるプリンとは見た目も味わいも異なります。

クリスマスプディングはドライフルーツやナッツがたっぷりと入っていて、スパイスが効いた豊かな風味と重厚な食感をしており、色は真っ黒で、半球状の形をしているのが特徴です。プラムを使用することが多いため、プラム・プディングと呼ばれることもあります。

そんなクリスマスプディングの起源は15世紀前半まで遡ります。当時は甘いデザートではなく「プラム・ポタージュ」と呼ばれる料理で、牛や羊の肉を刻んだものをメインにドライフルーツやスパイスが入った濃厚なスープでした。その後「フィギー・プディング」と呼ばれる甘くてやわらかいお粥状のポリッジに発展し、現在のような半球状の形に近づいてきたのは19世紀近くのことです。

おもな材料は生パン粉にスエットとよばれる牛の脂、卵、砂糖、レーズンやサルタナ、カレンツなどのドライフルーツのほか、シナモンやナツメグ、クローブなどのスパイス、さらにくるみなどのナッツや柑橘類の皮、ラム酒やブランデー、黒ビールといったアルコールが使われます。そのレシピは各家庭で先祖代々受け継がれ、材料や調味料の配合などには家庭によって異なるのだそうです。

クリスマスプディングを作る日は決められている?

クリスマスプディングは、12月25日のクリスマスに向けて11月から準備を始めます。イギリスではクリスマスの4週間前がアドベント(降臨節、待降節)、さらにその一週間前の日曜日はスターアップサンデー(Stir-up =かき混ぜ)とよばれ、クリスマスプディングを作る習慣があります。

よりわかりやすく説明すると、12月25日の5週間前にあたる日曜日にクリスマスプディングを作るため、クリスマスの1ヶ月以上前から準備するということになるのです。2024年は11月24日(日)がスターアップサンデーとなります。

クリスマスプディングの伝統的な作り方

クリスマスプディングを作る工程には数々の伝統的な意味があり、現在でも大切に守られています。以下で確認してみましょう。

願い事をしながら時計回りにかき混ぜる

まず、クリスマスプディングの生地を作る際には、焼く前に家族が一人ずつ願い事をしながらかき混ぜます。かき混ぜる方向は東から西、または時計回りと決まっており、これはイエスが誕生した際に家族を訪問して祝福したとされる「東方の三賢者」が東から西へやってきたことが由来なのだそうです。

生地に使う材料も13種類と決められている

また、生地の材料は13種類使わなければならないという決まりがあり、これはキリストと12人の使徒の数に由来します。

指輪などを入れて将来の運勢を占う

さらに、生地を蒸す前に硬貨や指輪、指ぬきなどを入れます。自分に取り分けられたものに何が入っているかで、将来の運勢を占うのだとか!硬貨は幸福、指輪は結婚、指ぬきは独身の象徴となります。ただ、最近は安全性の面から、イギリスでもお店で販売しているクリスマスプディングには入っていないものがほとんどのようです。

クリスマスプディングは熟成が必須

生地ができたら陶器の型に流し込み、蓋をしてじっくりと蒸します。時間は4時間以上、サイズが大きければ10時間を超えることもあるそうです。蒸しあがったクリスマスプディングは一か月間ほど涼しい場所で保存して、ときどきラム酒やブランデーをかけながら熟成させます。熟成期間の間にドライフルーツの風味が生地全体に染み渡り、より深い味わいに仕上がると言われており、こういった手間と時間をかけて、それぞれの家庭で異なる味わいのクリスマスプディングが完成するのです。

クリスマスプディングの食べ方

一か月熟成させたクリスマスプディングは、クリスマスディナーのクライマックスに登場します。当日は食べる前に再度1時間ほど蒸して温めてお皿にひっくり返し、温めたブランデーやラム酒を注いで火をつけます。すると、クリスマスプディングが青い炎に包まれて幻想的な雰囲気に。クリスマスのムードが一気に高まります。火をつけてフランベしてアルコールを飛ばすことで、ラム酒やブランデーの香りがプディングに回って芳醇な味わいが楽しめるのだそうです。

ブランデーコーヒーをフランベしている様子
ブランデーコーヒーをフランベしている様子

表面が溶けてやわらかくなったクリスマスプディングに柊の木と実を飾り、濃厚なブランデークリームやブランデーバターを添えていただきます。火をつけることでアルコールは飛ぶそうですが、やはり入っている食材などからも分かる通り、お酒の風味を感じるデザートなので、イギリスでも好き嫌いが分かれるのだそうです。

近年は日本でもイギリス料理店で提供されたり、ホテルのパティスリーなどで日本人向けに食べやすくアレンジされたものなども販売されているので、興味がある方はぜひ試してみてはいかがでしょうか。

クリスマスプディングの歴史

これまでの内容からもわかる通り、クリスマスプディングには長い歴史があり、16世紀頃にはクリスマスに楽しむ食べ物として定着していました。ところが1644年の清教徒革命(ピューリタン革命)ではカトリック的なものは排除され、クリスマスの行事だけでなく、クリスマスプディングやミンスパイといったクリスマスをお祝いするための食べ物を食べることに対しても禁止令が出されました。

革命後に解禁され再び食卓に上るようになり、スープのようなものから現在のものに近い形と固さになったのが19世紀ごろ。当時のイギリスを統治するヴィクトリア女王がクリスマスにご馳走を食べてお祝いすることを推奨し、クリスマスプディングを英国王室のデザートとして採用したことから、イギリスのクリスマスには欠かせないものになっていきました。また、イギリスの作家であるチャールズ・ディケンズが1843年に発表した小説「クリスマス・キャロル」にもクリスマスプディングが登場し、広く知られるようになったようです。

今年のクリスマスにクリスマスプディングはいかが?

イギリスのクリスマスに欠かせないデザート「クリスマスプディング」について解説しました。イギリスの家庭では伝統的に作られていますが、日本ではなかなかお目にかかることは少ないかもしれません。スパイスとお酒の豊かな風味とドライフルーツがたっぷりと入った重厚な味わいが魅力なので、ぜひ一度味わってみてはいかがでしょうか。

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2024.12.12 最終更新

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