お寿司屋さんに行くと特有の「寿司用語」を聞くことが多いですよね。「ガリ」や「シャリ」などは、もう当たり前のように使われていますが、ほかにもさまざまな寿司用語が存在します。この記事では、寿司屋で使われる寿司用語を徹底解説!寿司屋でのマナーについてもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
「知らなかった...」「もう失敗しない!」寿司屋の"寿司用語"やマナーを徹底解説!
- 目次
- 寿司用語とは?
- 寿司用語をそれぞれ解説!
- 寿司屋のマナー【服装や身だしなみ】
- 寿司屋のマナー【食べ方】
- 寿司屋での食事を楽しもう!
寿司用語とは?
寿司屋で食事をするとき、一般的な飲食店ではあまり使われない「寿司用語」を耳にしますよね。寿司用語が生まれた大きな理由は、寿司職人同士が効率よくコミュニケーションをとるためだったといわれています。
寿司屋に限らず、飲食業界やほかの業界でも、特有の業界用語がありますが、これも、スタッフ同士でコミュニケーションをとるときに、言いやすく聞き取りやすい言葉を使うことで、ミスを防ぐことにつながっているのです。
寿司屋では、寿司職人と客がカウンターをはさんで対面していて、その場で受けた注文に細かく答えながら食事を提供します。複数の職人で協力するときに、食材や技法を簡潔に表す言葉あると連携がとりやすいのです。
また、寿司屋では寿司職人と客の距離が近いため、寿司用語を使うことで、提供するおもてなしが筒抜けにならないメリットもあったのかもしれません。
寿司用語をそれぞれ解説!
それではここからは、寿司用語を詳しくご説明します!
ネタ
ネタとは、寿司の具、つまり寿司種のこと。
寿司ネタと呼ばれることも多く、見て分かるように、タネを反対から読んだ言葉となっています。江戸時代に的屋が商品のことをネタと呼んでいたことが語源となっているようです。
シャリ
シャリとは、寿司で使う酢飯のことです。
なぜシャリと呼ぶようになったかには諸説ありますが、遺骨を意味するサンスクリット語の「舎利(シャリ)」がもとになっているという説がその一つです。遺骨の色や形が米粒に似ていたことが由来なのだとか。また、サンスクリット語では「シャーリ」という言葉が米を表すので、それが語源になったという説もあります。
ちなみに、「銀シャリ」は白飯や白い米粒を表します。
軍艦
軍艦は、握ったシャリの側面に海苔を巻き、上にネタをのせたもの。
ウニやイクラ、ネギトロなど、シャリの上にのせただけではこぼれ落ちてしまうようなネタを乗せるときに用いる方法です。横から見ると真っ黒で軍艦のように見えることから名付けられました。
下駄
下駄は、寿司をのせる木製の寿司台のこと。板の下に足がついているので、横からみると下駄のような形をしています。
また、寿司用語には数字の1〜100まで隠語が存在し、その中で「3」のことも「ゲタ」と呼びます。これは、下駄の鼻緒を止める部分が3つあることが由来なのだそうです。
ヤマ
ヤマには2つの意味があります。一つは笹やバランのこと。最近ではプラスチックなどで作られたものが使われることが多いですが、もともとは山でとれる笹を使っていたことが由来です。
もう一つの意味は、ネタが売り切れてしまった状態のことを指します。寿司のネタは、主に海で獲れる食材であり、「山に行ってもない」といった意味で、ヤマというのだとか。例えば、「マグロはヤマです」などと使います。
ナミダ
寿司屋にある涙が出そうなものといえば、わさびですよね。
涙が出るようなツンとした味から、そう呼ばれるようになりました。葉わさびや茎わさびを巻いた細巻きは「なみだ巻き」と呼ばれます。
サビぬき
サビぬきは、寿司を作るときにわさびを使わないこと、そしてわさびを入れずに作った寿司のことを指します。大人でサビぬきを頼むのは控えた方がよいと思う人も中にはいるかもしれませんが、マナーとして問題ありません。ただ、わさびありきで味わいのバランスが考えられていることもあるので、わさびが苦手な方は予約時など、前もってお店に相談することをおすすめします。
ムラサキ
ムラサキはしょうゆのことです。しょうゆは黒っぽく見えますが、よく見ると赤褐色をしています。そして、日本では昔、このような赤褐色を「紫」と呼んでいました。こういった理由があり、しょうゆがムラサキと呼ばれるようになったようです。
また、紫色は昔から高貴なものの象徴とされていたため、江戸時代には縁起のよい色としてお祝いなどにも取り入れられてきました。そして当時、しょうゆは大変高価で貴重な調味料だったので、高貴な色を象徴する「ムラサキ」と呼ぶようになったという説もあります。
アガリ
あがりは食事の最後に出すお茶を意味します。江戸時代の遊郭で使われていた「上がり花」という言葉がもとになっているようです。
当時、お客さんがついて座敷に上がることができた芸者の方は「おあがりさん」と呼ばれ、その際にお客さんに出すお茶を「上がり花」として縁起を担いでいました。こうした背景から、「上がり花」が転じて寿司屋ではお茶を「あがり」と呼ぶようになったと言われています。この由来には諸説あります。
お愛想
お愛想(おあいそ)はお会計という意味で、寿司屋以外の飲食店で使われることもあります。もともとは、お店側が客にお勘定をお願いするときに「お愛想尽かしなことで申し訳ありませんが、お勘定をお願いします。」のように使っていましたが、時が経つにつれてお勘定のこと自体をお愛想というようになりました。
ガリ
ガリは薄切りにした生姜を甘酢で漬けたもの。もともとは隠語で使われていましたが、現在ではほとんどの人が知っていますよね。噛むとガリガリとした食感があることが名前の由来です。
カッパ
カッパも知っている方が多いですよね。きゅうりを指す寿司用語で、きゅうりがカッパの好物であるから、また、きゅうりの切り口がカッパの頭に似ているからといった理由で名付けられたそうです。
ギョク
ギョクは玉子焼きのことで、「玉」を音読みしたものです。
昔は「寿司職人の腕前は、ギョクの出来で見極める」といわれていたのだとか。
鉄火
鉄火(てっか)とはマグロの赤身のことです。マグロの赤身が真っ赤に焼けた鉄に似ていることや、わさびに鉄火のような刺激があること、当時「鉄火場」と呼ばれていた賭博場でよく食べられていたことなどが理由だと考えられています。寿司屋によっては、マグロの赤身を使った鉄火巻きや鉄火丼のことを鉄火と呼ぶこともあるようです。
光り物(ひかりもの)
光り物は、寿司ネタの中でも皮が光っているものを指す言葉です。
サバやコハダ、イワシ、サヨリ、キス、サンマなどの青魚がこれにあたります。
づけ(マグロの赤身)
マグロをしょうゆベースのタレに漬け込んだものがづけです。冷蔵技術が発達していなかった時代は、マグロをしょうゆに漬け込むことで保存期間を長くしていました。
たま(赤貝)
たまは赤貝の別名。身がぷっくりと丸い見た目からそう呼ばれています。市場で取引をするときに、殻つきのものを「本玉」、剥いた赤貝を「剥き玉」と呼んで区別するそうです。
ひも(赤貝の身の外側)
ひもは、赤貝の外套膜(がいとうまく)と呼ばれる外側にある部分のこと。貝特有の風味や旨味に加え、コリコリとした歯ごたえが特徴です。
手巻き
細巻きや太巻きなどを作るときは巻き簾を使いますが、巻き簾は使わず手で巻いて食べるのが手巻きです。
手巻きが生まれた理由ははっきりとはわかっていませんが、寿司職人のつまみ食いがきっかけだったともいわれています。
伊達巻(だてまき)
伊達巻とは一般的にはおせち料理の一つであるふんわりとした玉子焼きのことです。寿司用語で伊達巻というと、玉子焼きで酢飯や海苔、きゅうり、かんぴょうなどを巻いて作った太巻きを指します。
ちらし
ちらしは、酢飯の上に色とりどりの具材をのせた散らし寿司のことです。関西と関東では少し違いがあり、関東では酢飯の上に生魚や錦糸卵をのせますが、関西では生魚は使わずゆでたエビや魚を使うのが一般的。また、関西のちらしは椎茸やかんぴょうを煮たものを酢飯に混ぜ込むのも特徴です。
五目(ごもく)
先ほどご紹介した関西のちらしとよく似ている、酢飯にいろいろな具材を混ぜ込んだ五目寿司のことを「五目(ごもく)」と呼びます。五目寿司の上にさらに具材をのせたものを「五目ちらし寿司」と呼ぶこともあるようです。
とろ
とろはマグロの腹部にあたる脂がのった部位のこと。なかでも特に脂ののっている部分を大とろ、次いで脂がのっている部分を中とろと呼びます。
大とろは、とろのなかから5分の1ほどしか取れない高級部位とされていますが、大とろと中とろのどちらがおいしいかは好みによります。
えんがわ
えんがわはネタの名前で、ヒラメやカレイの尾びれの付け根部分。泳いだり砂にもぐったりするのに使う尾びれを支えている部分なので、筋肉が発達していて、コリコリとした食感があるのが特徴です。
つめ
つめとは、穴子やシャコ、貝などのネタに塗る甘辛いタレのことです。
しょうゆや砂糖、みりんなどをトロッとするまで「煮つめる」ことから「つめ」と呼ばれるようになりました。
つけだれ
つけだれとは、ネタにつけるタレのこと。よく使われるのはムラサキと呼ばれるしょうゆや、先ほどご紹介したつめです。ほかにも、ポン酢や酢味噌、塩などが合うネタもあるので、ぜひお試しくださいね。
つまみ
つまみは、寿司屋で食事をするときに、お酒と一緒に最初に注文するもの。飲むお酒に合わせて選んでみましょう。
にぎり
にぎりは、「握る」がもとになっている言葉で、一口サイズのシャリを手で楕円形または直方体型に握って、上にネタをのせた寿司のことです。
寿司が生まれたのは1700年代で、当初は箱に入った「箱寿司」や「巻き寿司」が主流でした。握り寿司は、1800年代前半に江戸で誕生したといわれています。
アニキ
アニキは、前日に仕入れたり仕込んだりした古い食材を指す言葉です。先に使う必要があるので「アニキから先に出して」というように使います。
オトウト
オトウトはアニキの反対の意味で、当日に仕入れた新しいネタのこと。アニキとオトウトという呼び方は、寿司以外の飲食業界でも使われるようです。
釈迦の骨(仏舎利)
釈迦の骨というと、一見お寿司に関係ない言葉のように感じますが、釈迦の骨を意味する「仏舎利(ぶっしゃり)」が寿司のシャリの語源となっています。釈迦がなくなってからすでに2500年経っていますが、日本各地には仏舎利を納めているとされる寺院がいくつもあるそうです。
ドンシャリ
ドンシャリは、酢を混ぜていない通常のごはんのこと。名前の由来には諸説ありますが、丼物に使うごはんだからドンシャリと名づけられたともいわれています。
付け台
付け台は、寿司屋のカウンターの奥側にある、握られた寿司を置く台のことです。カウンターよりだいたい15cmほど高いところに設置されています。
おてしょ
おてしょとは、寿司を食べるときにしょうゆを入れる小皿をのことで、漢字では「御手塩」と書きます。
小さくて浅い皿を意味する「天塩皿(てしおざら)」がもとになっていて、寿司以外の食事のときでも塩やしょうゆを入れるのに使われます。
はかりめ
穴子の名産地である千葉県富津市では、穴子のことをはかりめと呼びます。甘辛いタレでやわらかく煮込んだ穴子をごはんにのせた「はかりめ丼」は、地元を代表するご当地グルメとして親しまれているんですよ。
かんぬき
かんぬきは、サヨリの別名です。サヨリの中でも、30cmを超えるような大型のものを特にかんぬきと呼ぶそうで、観音開きの扉を閉めるときに使うかんぬきに似ていることからそう呼ばれるようになりました。
ガレージ
ガレージは、シャコのこと。
「シャコ」から「車庫」、そして「ガレージ」となったダジャレのような言葉です。さらに、シャコとタコの聞き間違いを防ぐ意味もあるのだとか。
片思い
片思いは、アワビを意味します。そう呼ばれる理由には2つの説があり、一つ目は、アワビは巻貝ですが片方の殻しかない二枚貝に見えること、そして片側だけで岩に張り付いているので「片側が重い」が転じて片思いになったといわれています。
また、万葉集に収録されている和歌の中に片思いの切なさをうたったものがあり、その歌にアワビが登場することから、アワビを片思いと呼ぶようになったともいわれています。
新子(しんこ)
新子(しんこ)は、コハダの稚魚のこと。コハダは出世魚で、成長とともに「新子→コハダ→ナカズミ→コノシロ」と名前が変わります。新子は生後4カ月くらいの稚魚で、体長は10cm以下。非常にやわらかな食感が魅力で、身が小さいので寿司1貫を作るのに2尾以上必要なのだそうです。
寿司屋のマナー【服装や身だしなみ】
最後に、寿司屋で食事をするときのマナーや、気を付けなければならないことを確認してみましょう。まずは服装から解説します。
ドレスコードなどはない場合が多いので普段着でもよいですが、清潔感のある服装で行きましょう。高級店などでは、ジーンズやパーカー、サンダルといったカジュアルすぎる服装は避けた方が、お店の落ち着いた雰囲気になじみやすいですよ。
また、香りの強い香水やタバコのにおいにも気をつけましょう。
寿司屋のマナー【食べ方】
続いて、寿司の食べ方をご紹介します。もしかしたら、今まで知らずにいたマナーもあるかもしれないので、チェックしてみてくださいね。
寿司はできるだけ一口で食べる
寿司は箸で半分に切ったりせずに、できるだけ一口で食べましょう。
握りと軍艦のしょうゆの付け方
握りにしょうゆをつけるときは、横に倒しながら、ネタだけに少ししょうゆがつくようにします。
軍艦の場合は、横に倒すとネタがこぼれてしまうので、ガリや添えられているきゅうりにしょうゆをつけて、ネタの上にたらしましょう。
箸で食べても手で食べても問題なし
寿司を食べるときは、箸でも手で食べても問題ありません。ただし、ガリは箸で食べます。
淡白な味わいのネタから注文する
寿司を注文する順番に決まりはありませんが、一般的にはイカや白身魚といった淡白な味わいのものから注文していくと、おいしく味わえるといわれています。
ただ、一皿に盛り合わせになっているものは、左から順に食べてもらうことを想定した並べ方になっているので、ぜひ左側のものから食べてみてください。
注文に迷ったときは、お店におまかせするのもよいですよ。苦手なネタなどがある場合は、伝えておきましょう。
ゲタに置かれた寿司だけを取って食べる
カウンターに置かれたゲタの上に寿司を出されたら、ゲタごと自分の手元におろすのではなく、寿司だけをとって食べるのがマナーです。
寿司屋での食事を楽しもう!
今回は、寿司屋で使われる寿司用語を詳しく解説し、寿司屋でのマナーもご紹介しました。知らなかった用語やマナーもあったのではないでしょうか。覚えておくと寿司屋での食事をより楽しめるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
