BONIQマニアにおくる、低温調理の疑問あれこれの検証。
「70℃〜 クロテッドクリーム 温度・時間比較実験」
https://www.kurashiru.com/recipe_cards/1fef288d-b178-44c9-8e25-2df40d395c51
に続く第二弾。
先の実験は「70℃ 12時間」「80℃ 12時間」「90℃ 12時間」「90℃ 1時間」を低温調理したものを比較したが、この中では「80℃ 12時間」がベストであった。
クラスト(表面にできるタンパク質と乳脂肪分の黄色い膜)が程よくあり、これぞクロテッドクリーム!という見た目。乳脂肪分と液体に分離しており、クリーム(固体)の部分は程よくバターのような生クリームのような風味を感じる。これらの4つの中で一番甘みを感じ、味わいや香り全てにおいてバランスが良かった。
ただ、「90℃ 12時間」は「80℃ 12時間」より甘みが減ってしまったものの、一番バターの風味を強く感じた。これが焦がしバターのようで、ナッツのように香ばしい。
80℃より高温になればバターやナッツの香りが出てくるということは、その中間であれば、「甘み」と「香り」を両立したクロテッドクリームになるのではないか?
ということで80℃〜85℃あたりがクロテッドクリームのベスト温度の有力候補ということで、次のように温度を設定し、王者決定戦を行いたいと思う。
・実験1. 80℃ 12:00(12時間)
・実験2. 82℃ 12:00(12時間)
・実験3. 85℃ 12:00(12時間)
番外編として、ホーロー容器ではなく耐熱袋に入れてクロテッドクリームができるのか?
・実験4. 耐熱袋に入れて 80℃ 12:00(12時間)
表面のクラストは表面が空気に触れることでできるので、袋の中ではクラストは出来ないと予想されるが、それでもなめらかな生クリームが固まるのなら便利である。
果たして結果はいかに。
手順
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<比較実験(1)実験1〜3>
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ホーロー容器に生クリームを入れる。
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コンテナラックにメッシュトレーを2枚セットし、その間に容器を入れる。
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セットしたコンテナラックを湯せんに入れ、水滴が容器の中に落ちないようペーパーを被せる。
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保温ルーフ(フタ)を被せ、それぞれの設定時間・温度で低温調理をする。
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この時、湯量を容器の8割の高さまで浸かるようにする。
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<比較実験(1)実験4>
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耐熱袋に生クリームを入れる。
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BONIQが設定温度に達したら袋を湯せんに入れ、低温調理をする。
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<比較実験(2)実験1〜4>
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BONIQの設定時間終了タイマーが鳴ったら容器、袋を引き上げ、粗熱を取って冷蔵庫で1日冷やす。
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その後それぞれを比較する。
投稿者からのコメント
《比較実験結果》
結果は・・・※画像5、6枚目
「実験1. 80℃ 12時間」と「実験2. 82℃ 12時間」は、ほぼ違いがわからない。
クラスト(表面にできるタンパク質と乳脂肪分の黄色い膜)が実験2の方がわずかに色濃いが、なめらかさ、生クリーム由来の甘みや風味はほぼ変わらない。どちらもバランスが良く、クロテッドクリームとして間違いなく素晴らしい。
「実験3. 85℃ 12時間」は表面のクラストの部分がさらに色濃くなっている。
前回行った「70℃〜 クロテッドクリーム 温度・時間比較実験」
https://www.kurashiru.com/recipe_cards/1fef288d-b178-44c9-8e25-2df40d395c51
では「90℃ 12時間」は、甘みは減ってしまったものの、 焦がしバターのようで、ナッツのような香ばしさが出た。この魅力的な風味は捨てがたい。
そこで80℃と90℃の間を取って良いとこ取りができないかと今回の「実験3. 85℃」を試みたわけだが、思惑はハズレ!
「実験1. 80℃」「実験2. 82℃」より甘みは減り、香ばしく魅力的な風味は獲得できなかった。良いとこ取りではなく中途半端に終わってしまったというわけである。
また、番外編の「実験4. 耐熱袋に入れて 80℃ 12時間」は、全く固まっていない。元々の生クリームと変化が全くない。クロテッドクリームを作る際は容器を動かしてはいけないと言われるが、袋での低温調理では湯せんで水の対流が起こり、袋の中身が混ぜられてしまうからではないだろうか。※画像7枚目
まとめると、
「実験1. 80℃ 12時間」と「実験2. 82℃ 12時間」はどちらも相違なく、一番バランスが良い王道のクロテッドクリームである。ベストの温度を一つ決めるつもりであったが、どちらも王者。
他のBONIQレシピは80℃も82℃も多くあるので他と同時調理できなくもないが、クロテッドクリームを作る際に容器を動かすと、乳脂肪と液体部分の分離が起こらず失敗になる可能性があるため、あまり他のものを湯せんから出したり入れたりしない方が良いと思う。(ただし、クロテッドクリームに影響ないようにそっと行えるのならOK。)
「実験3. 85℃ 12時間」のメリットは少ないと思う。
《作った感想》
クロテッドクリームはイギリスでスコーンを食べる際には絶対欠かせない、私にとっては思い入れがあるものでしたが、日本ではマイナーで知られていない or 忘れられた(!)食べ物だと思っていました。しかし前回の「70℃〜 クロテッドクリーム 温度・時間比較実験」
https://www.kurashiru.com/recipe_cards/1fef288d-b178-44c9-8e25-2df40d395c51
ではたくさん反響をいただき、驚きました。本当にありがとうございます!
クロテッドクリームはなかなか一般的なスーパーでは手に入らず、輸入食材店では決して安くなく、開封したら賞味期限は5日程。せっかく買ってきたのに食べきれない、ということが起こりがちです。そうなると買わなくなり、スコーンには添えるのはジャムだけになるか、頑張ってホイップクリームを添えるか、ということになります。
BONIQの低温調理で作ったクロテッドクリームはいつでも作れるのが良いところ。こちらも1週間以内に食べ切っていただくことをおすすめしますが、余った場合の活用法は今後研究したいと思います。
《注意》
低温調理では高温による殺菌ができないため、食の安全に留意する必要があります。
レシピ記載の温度・時間設定をご参考いただき、例として大きく温度設定を変更するなどはされないようご注意ください。
なお、レシピ記載の設定をお守りいただいた上であっても、食材や調理環境などによっても安全面のリスクが異なるため、最終的には自己責任となりますことご了承ください。
取扱説明書や低温調理ガイドブック、各種の低温調理における情報などをご覧いただいた上で、安全に配慮した調理をお願いいたします。詳細は下記URLから参照下さいませ。
【低温調理のルール〜6つのポイント〜】
https://boniq.jp/recipe/?p=19886
また食中毒に関して、下記のサイトもご一読ください。
特にお年寄りやお子様、免疫力の弱っている方は当サイト推奨温度設定に従わずに、下記厚生労働省サイトの指示に従い全てのお肉で【中心温度75℃ 1分以上】の加熱をしてください。
【食中毒に関する注意点:厚生労働省 食中毒予防】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/index.html
※みやすさのために書式を一部改変しています。