「ミンスパイ」というお菓子を知っていますか?パイの中にナッツやドライフルーツのフィリングが入った、クリスマスの時期に食べられるイギリスの伝統菓子です。今回は、そんなミンスパイの歴史や味、作り方などを詳しく解説!記事の後半では、おうちで作れるミンスパイのレシピもご紹介するので、ぜひ最後までご覧くださいね。
【クリスマス】イギリスの伝統菓子「ミンスパイ」って何?特徴や作り方もご紹介
- 目次
- イギリスの伝統菓子「ミンスパイ」
- フィリングをミンスミートと呼ぶのはなぜ?
- ミンスパイにはどのような歴史があるの?
- おいしいミンスパイを作るポイント
- ミンスパイにまつわるジンクス
- イギリスのクリスマスにまつわる習慣
- ミンスパイのおすすめレシピをご紹介
- イギリスの伝統菓子、ミンスパイを作ってみよう!
イギリスの伝統菓子「ミンスパイ」
「ミンスパイ」とは、クリスマスをお祝いするために食べられる、イギリスの伝統菓子です。一口サイズの小さなパイ菓子で、中にドライフルーツやナッツ、スパイス、ブランデーなどで作った「ミンスミート」と呼ばれるフィリングが詰まっています。
その甘くジューシーなフィリングとサクサクとした食感のパイ生地が相性抜群で、サンタクロースの好物とも言われているんですよ。また、パイの表面には星型にカットされたパイ生地があしらわれており、クリスマスらしい見た目をしているのも特徴です。
💡ワンポイント豆知識
ちなみにミンスパイは、先ほども少し触れましたがサンタクロースの好物ということもあり、自分で食べる以外に子どもたちがサンタクロースへのプレゼントとして用意することもあるのだとか。このジンクスについては、記事後半でもご紹介しているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
フィリングをミンスミートと呼ぶのはなぜ?
さて、ミンスパイの説明でも出てきましたが、ミンスパイのフィリングは「ミンスミート」と呼ばれています。ミンスミートには「刻んだ肉」という意味がありますが、なぜお肉が入っていないのに「ミート」と呼ばれているのでしょうか。
かつては「ひき肉」も使われていた
実はミンスパイはかつて、ドライフルーツや砂糖、スパイスのほかにひき肉も使って作られていたため、そのことが名前の由来になっているのだそうです。
しかし、時が経つにつれミンスミートにひき肉は使われなくなり、現在はりんごやドライフルーツ、ナッツ、スパイス、ブランデー、スエットなどが用いられることが多いのだとか。
スエットって何?
このスエットというのは、牛の腎臓周辺にある脂肪のことで「ケンネ脂」とも呼ばれるものです。日本ではあまり聞きなれない名前ですが、牛脂の一種といえばわかりやすいかもしれません。
スエットはイギリスでは昔からパイ生地やプディングなど、さまざまな料理に使われている食材ですが、現在は家庭でもお店でもスエットの代わりにバターを使うことが多く、ミンスミートもバターで代用していることがほとんどのようです。
伝統的なミンスミートにはスエットが欠かせない
ただ、伝統的なミンスミート作りには、やはりスエットは欠かせないのだとか。
バターほど風味が強くないので、ドライフルーツやスパイスの風味が引き立つと言われています。どんな味わいなのか、食べてみたくなりますよね!
ミンスパイにはどのような歴史があるの?
続いて、ミンスパイの歴史も見てみましょう。ミンスパイの起源についてははっきりとはわかっていませんが、13世紀に中東に遠征していた十字軍がイギリスに帰還したときにレシピを持ち帰ったことがきっかけだったという説があります。
「マトンパイ」や「クリスマスパイ」という呼び名もありますが、先ほど触れたように、ドライフルーツやスパイスのほかにお肉も使われていたことが理由です。当時は貴重だった食材を使っていることから、ミンスパイはクリスマスに食べる特別な料理として定着したといわれています。
ミンスパイは一時食べてはいけないものに
しかし、1642年に起きた清教徒革命の影響で、1647年にクリスマス禁止令が可決され、イギリスでは1659年までクリスマスを祝うことを禁じられました。その際はミンスパイも販売を禁止され、食べられなくなってしまったのです。
ヴィクトリア朝の時代になるとミンスパイが再び食べられるようになり、クリスマスの象徴として多くの人に親しまれるようになりました。この頃にミンスミートにお肉が使われなくなり、形も現在のような小さな円形に変わったようです。
💡ワンポイント豆知識
清教徒革命が起こる前までのミンスパイは現在よりも大きく、楕円形をしていたようです。当時の人々は幼いキリストが眠るゆりかごを連想していたともいわれています。
おいしいミンスパイを作るポイント
続いて、ミンスパイをおいしく作るためのポイントを2つご紹介します。フィリングと生地それぞれにコツがあるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ミンスミートは13種類の食材を使う
| 食材 | |
|---|---|
| ドライフルーツ | レーズン、カラント、クランベリー、プルーンなど |
| 柑橘類 | レモン、オレンジ、ピールミックスなど |
| ナッツ | 素焼きミックスナッツなど |
| アルコール類 | ラム酒、ブランデー、ポートワイン、シェリー酒 |
| 肉、油分 | 羊肉、ケンネ脂、牛脂、バターなど |
| 生地 | 小麦粉、卵黄ほか |
伝統的なミンスパイは13種類の食材を使って作るという決まりがあるようです。ドライフルーツやスパイスをアルコール類に漬けて作ります。また、伝統的なミートパイは羊肉などの肉類のほか、ケンネ脂やバターなどの油分も加えて作ります。
味が馴染むように数時間〜1日程度漬けておくとよいでしょう。ちなみに13種類の食材というのは、イエス・キリストと12人の弟子を表しているのだそうです。
💡ワンポイント豆知識
イギリスでは、伝統的なミンスパイを作る際、ミンスミートを数ヶ月前から仕込むこともあるのだとか。クリスマスまでパントリーで保管し、味を馴染ませるのだそうです。
生地は冷たい手で作る
ミンスパイの生地(ペストリー)は、バターをたっぷり使います。そのため、寒い季節には少し大変ですが、冷たい手で作業するのがおすすめです。
手の熱でバターが溶けてると粉となじんでしまい、層が生まれず、サクサクとした食感に仕上がらない可能性があります。生地に使う材料はすべて冷やしてから使うようにする、また、生地がやわらかくなってきたら冷蔵庫に入れるなどして対策しましょう。
ミンスパイにまつわるジンクス
イギリスのクリスマスには欠かせないミンスパイには、いくつかのジンクスが言い伝えられています。以下で3つご紹介するので確認してみましょう。
クリスマスから12日間毎日1つずつ食べる
ミンスパイをクリスマスから1月6日までの12日間、毎日1個ずつ食べると1年間幸せに暮らせるというジンクスがあるのだそう。
さらに、クリスマスの日に最初に食べるミンスパイは、口をきかずに願いごとをしながら食べると、願いが叶うといわれています。なんだか、日本の節分に食べる恵方巻の言い伝えと似ていておもしろいですよね。
ミンスパイはサンタの好物
先ほども少し触れましたが、ミンスパイはサンタさんの好物なのだとか!そのため、イギリスの家庭ではクリスマスイブの夜に、多くの子どもたちがミンスパイやブランデーを暖炉の前やテーブルの上に用意してから眠りにつきます。
翌朝、ミンスパイが一口かじられていたら、それはサンタさんがプレゼントを運んできてくれた証。それを見たあと、子どもたちはクリスマスツリーの下にあるサンタさんからのプレゼントを確認して大喜びするというのが、クリスマスの朝の光景です。
パイ生地は時計回りに練る
これはミンスパイを作るときの言い伝えです。パイ生地を作るときは時計回りに練ります。
反対回りに練ると、悪運を呼び寄せるといわれているためです。
イギリスのクリスマスにまつわる習慣
イギリスには、ミンスパイを食べるほかにもクリスマスにまつわる習慣がいくつかあります。
・銀貨を入れて作ったクリスマスプディングを食べて運試しをする
・七面鳥を食べる
・パントマイムのショーを見に行く
などがあるようです。日本ではチキンやケーキを食べる習慣はありますが、国によって過ごし方が違っておもしろいですよね。
ミンスパイのおすすめレシピをご紹介
さて最後に、おうちで作れるミンスパイのおすすめレシピをご紹介します。冷凍パイシートを使ったお手軽レシピなので、ぜひチェックしてみてくださいね。
簡単 ミンスパイ
簡単に作れる、ミンスパイのレシピです。パイ生地だけではなく、ミンスミートも市販のものを利用しました。ドライフルーツの甘みとナッツの香ばしさにスパイスの香りが相性抜群!手でつまんでパクッと食べられるので、パーティーメニューにもおすすめですよ。ぜひお試しくださいね。
イギリスの伝統菓子、ミンスパイを作ってみよう!
今回は、ミンスパイの特徴や歴史、作り方などをご紹介しました。ミンスパイはおいしいのはもちろんですが、見た目もかわいいので、今年のクリスマスメニューに取り入れてみてはいかがでしょうか。今回ご紹介したレシピを参考に、ぜひおうちでも作ってみてくださいね。
