「バランスのよい食事」と聞いて、みなさんはどのような食事を思い浮かべますか?実際にそのような食事をとりたいと思っても、何をどのように組み合わせて食べたらいいのか迷ってしまう方も多いはず。そこで今回は、管理栄養士の辻本なみさんに、バランスのよい献立を組むときのポイントやおすすめ食材を教えていただきました!
バランスの良い食事って?プロはどのように献立を決めているのか【管理栄養士に聞いてみた】

Q.管理栄養士の観点で「バランスのよい食事」の定義を教えてください。
「バランスのよい食事」とは、「からだにとって必要な栄養素が過不足なく含まれている食事」のことです。「ダイエットのために野菜ばかり食べている」という方もおられるかもしれませんが、野菜だけではたんぱく質や炭水化物が不足して、バランスのよい食事とはいえません。
「食事のバランスを整えるってどうしたらいいの?」と難しく考えてしまいがちですが、「主食」「主菜」「副菜」を組み合わせた定食をイメージするとわかりやすいですよ。
Q.バランスのよい献立の組み方を教えてください。
先ほども少し述べましたが、「3つの食品群」を意識して食材を選ぶと、バランスのよい食事が準備しやすくなりますよ。
ひとつめは「炭水化物」を含む食材で、主にからだを動かすためのエネルギー源になります。 具体的にはごはん、パン、うどんやパスタなどの麺類、近年人気のオートミールなど「主食」といわれるものです。
ふたつめは、主にからだをつくるもとになる「たんぱく質」を多く含む食材です。具体的には肉、魚、卵、大豆など。これらの食材を使った料理は「主菜」として食卓に登場することも多いですよね。
みっつめは、からだの調子を整えるために必要な「ビタミン、ミネラル、食物繊維」を多く含む食材です。サラダやおひたしなどの「副菜」、みそ汁やスープなどの「汁物」に使われることの多い野菜、きのこ、海藻などが当てはまります。
これら3つに該当する食材を意識して料理に取り入れると、バランスのよい食事に近づきます。さらに乳製品や果物もプラスすると、1日トータルでの食事のバランスがよくなりますよ。
Q.辻本様が献立を考えるときに意識されている点を教えてください。
上記で示したように主食、主菜、副菜をそろえることに加えて、調理法が被らないように気を配っています。たとえば、主菜で油を多く使用する唐揚げなどの揚げものを選択した場合、副菜は油を使用しないおひたしなどを組み合わせると、脂質のとりすぎを防ぐことができます。
また、同じたんぱく質を含む食材であっても、食材によって含まれている栄養が異なります。朝食に卵を食べたら昼食は鶏肉、夕食は鮭などと主菜に使う食材を変えて、いろいろな栄養素を取り入れられるようにするのがおすすめです。
使用する野菜の彩りも意識しています。トマトなどの赤い野菜にはリコピン、ナスなどの紫の野菜にはアントシアニンが多く含まれています。彩りのよい食事は見た目がよいだけでなく、さまざまな栄養を取り入れられるというメリットがありますよ。
Q.献立を組むときのコツはありますか?
毎回定食のような食事を準備できればよいのですが、仕事や家事が忙しくなかなか思い通りにいかないですよね。1食単位でバランスを意識することも大切ですが、忙しい方は献立を1日トータルで考えてみてください。例えば、朝食で野菜がとれなかったときは、昼食でサラダなどの野菜がとれるメニューを選択できるといいですね。
Q.栄養バランスと品数は関係ありますか?
昔から一汁三菜(1つの汁物と3つのおかず)がバランスのよい食事といわれていますね。もちろん一汁三菜の食事を用意できればすばらしいのですが、現代人は忙しくあまり現実的ではないかと思います。無理に品数にこだわらなくても、工夫をすれば食事のバランスはよくなりますよ。
Q.普段あまり料理をしない方でもバランスのよい食事がとれるように、知っておくと役立つポイントを教えてください。
あくまで目安ですが、自分の手の大きさにあわせて食材の適切な量をはかる方法があります。
肉や魚などたんぱく質の一日分の摂取量の目安は、片手の手のひらにのる大きさ、かつ手のひらと同じくらいの厚みの肉と魚に加え、もう一方の手のひらにのる大きさの豆腐と卵です。これを3食に分けて食べましょう。
野菜は緑黄色野菜を両手1杯分と、そのほかの野菜やきのこ、海藻を両手2杯分が一日分の目安です。野菜は生のままではかさが多いので、蒸したり汁ものに入れたり、調理方法を工夫するといいですよ。
また、主食はごはんならお茶碗1杯が1食分の目安となります。
Q.バランスのよい食事のために買っておくと便利なおすすめ食材を教えてください。
残念ながらひとつの食材でバランスのよい食事にすることは難しいのですが、ストックしておくと便利な食材はあります。
たんぱく質を多く含む食材では、豆腐、納豆、豆乳、チーズ、牛乳などが便利です。調理しなくても食べられるので、忙しいときにも役立ちますよ。また、サバ缶やツナ缶などの缶詰や、切り干し大根、乾燥わかめなどの乾物も日持ちがするのでストック食材としておすすめです。
野菜やきのこはあまり日持ちがしないので、食べやすい大きさにカットして冷凍保存しておくのがおすすめ。こうしておくと、食材を無駄にせず使えるうえ、毎日の食事づくりがぐっと楽になりますよ。
※チーズは加熱をしないと食べられないものもございますのでご注意ください。
※野菜は種類によって冷凍保存に不向きなものや、冷凍保存することで状態が変わり、解凍後に使える用途が限られる場合があります。野菜の種類や用途にあわせて冷凍保存を活用してください。
Q.ひと皿でもバランスが整っているおすすめ料理を教えてください。
野菜とお肉を重ねてつくる蒸し料理がおすすめです。電子レンジで火を使わずに簡単に作れるので、短時間で調理を済ませたいときにも重宝しますよ。また、野菜や味つけを変えることで飽きずに楽しめます。記事の最後でおすすめのレシピをご紹介しているので、ぜひそちらもご覧くださいね。
また、具だくさんなみそ汁やスープも簡単でおすすめです。野菜だけでなく、肉や豆腐、魚介類などを入れるとたんぱく質も補えます。
Q.コンビニでもバランスのよい食事をとることはできますか?またコンビニでごはんを買うとき、おすすめの組み合わせを教えてください。
工夫をすればコンビニでもバランスのよい食事をとることは可能ですよ。ポイントはコンビニでも主食、主菜、副菜をそろえる意識をもつことです!
たとえば、主食におにぎり、主菜にサラダチキンや焼き魚、ゆで卵、副菜にサラダやおひたし、煮物などを選択するとバランスのよい食事に近づきます。
コンビニのお弁当は揚げものが入っていたり、野菜のおかずが少なかったりすることが多いです。また、パスタや丼ものは炭水化物の量が多く、野菜やたんぱく質が不足しがちなので少し注意が必要ですね。
一方で最近のコンビニには、健康志向の高まりから野菜が多く入っているお弁当や、卵、鶏肉などたんぱく質の食材がトッピングされたサラダなども販売されています。このような商品をうまく活用できるといいですね!
コンビニで買えるものを取り合わせた、バランスのよいメニュー例をご紹介します。
■例1:外出先でも食べやすいランチメニュー
鮭おにぎり
鶏肉、卵などがトッピングされたサラダ
ひじきの煮物
カットフルーツ
■例2:夕食をしっかり食べたいときに!定食メニュー
パックごはん
焼き魚
海藻サラダ
筑前煮
具だくさんみそ汁
近年コンビニの品ぞろえはとても充実しています。ぜひ一度チェックしてみてくださいね。
蒸し料理レシピをご紹介!
ここからは、先ほど辻本さんにおすすめしていたただいた「肉と野菜の蒸し料理」から、おすすめのレシピをご紹介します!ふたつの食材で作れるお手軽レシピなので、忙しい日の夕食などにも活躍しますよ。
ピリッとゆず胡椒で 鶏肉とキャベツの簡単レンジ蒸し
15分で作れる簡単おかず、鶏肉とキャベツのレンジ蒸しのご紹介です。必要な食材は鶏肉とキャベツのふたつだけ!ポン酢をかけてさっぱりといただく一品です。キャベツの上に鶏肉をのせて蒸すことで、鶏肉の旨味がキャベツに染みてとてもおいしく仕上がりますよ。ピリッと辛いゆず胡椒が効いていて、おかずにはもちろんおつまみにもおすすめです。
材料(2人前)
- 鶏もも肉・・・300g
- 塩こしょう・・・少々
- キャベツ・・・150g
- (A)料理酒・・・大さじ1
- (A)ゆず胡椒・・・小さじ1/2
- 小ねぎ (小口切り)・・・適量
- ポン酢・・・大さじ1
作り方
1.キャベツの芯を切り落とし、一口大に切ります。
2.鶏もも肉は一口大に切り、塩こしょうを振ります。
3.ボウルで(A)を混ぜ合わせます。
4.耐熱皿に1、2の順に入れ、3をかけてラップをし、中に火が通るまで600Wのレンジで5分加熱します。
5.ポン酢を添え、小ねぎを散らして完成です。
※ご使用の電子レンジの機種や耐熱容器の種類、食材の状態により加熱具合に誤差が生じます。様子を確認しながら加熱時間を調整してください。必要に応じて食材に完全に火が通るまで加熱してください。
上手に組み合わせてバランスのよい食事をとろう!
今回は、バランスのよい献立を組むポイントについて詳しく解説しました。難しく考えてしまいがちですが、いくつかのポイントをおさえればバランスのよい食事をとれることがわかりましたね。ご紹介したレシピとあわせて、ぜひ毎日の献立の参考にしてみてくださいね!
※20歳未満の飲酒はやめましょう。
監修:辻本なみさん
管理栄養士。二児の母。 クラシルやInstagramでは子どもやママのことを考えたシンプルえいようレシピを配信。 米粉・おから・オートミールを使った簡単おやつやごはんが得意。 仕事ではレシピ開発、コラム執筆等を行う。 管理栄養士namiのレシピブログ運営。