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和三盆と普通の砂糖との違いって?原料や製法についても解説!

和三盆と普通の砂糖との違いって?原料や製法についても解説!

干菓子などで有名な「和三盆」。いわゆる普通のお砂糖である上白糖と比べると高級なイメージがありますよね。上白糖の原料はサトウキビですが、和三盆はサトウキビの中でも希少な品種である「竹糖」が使われています。今回は、和三盆特徴や味わいのほか、糖蜜を分離する職人の技術、上白糖との製法の違いについて解説します。

  • 目次
  • 和三盆とは
  • 和三盆はどのように作られる?
  • 白砂糖とは何が違う?
  • 上白糖についての豆知識
  • 和三盆糖を保存する際の注意
  • 和三盆のおいしさを今一度味わってみよう!

和三盆とは

和三盆は、竹糖を原料にして作られる日本独自のお砂糖です。さらりとした口当たりとスッと消えるような口どけの良さ、上品な味わいが特徴で、干菓子をはじめ、さまざまなスイーツや料理の甘味として使用されています。そんな和三盆は京菓子によく使われるため、京都との結びつきが強い印象がありますが、原料となる竹糖は、四国東部の香川県や徳島県でしか栽培されていません。沖縄などで収穫されるさとうきびより茎は細く、収穫は1年に1度。原料の収穫から和三盆ができあがるまで約1か月という長い時間をかけて作られる貴重なお砂糖なのです。

和三盆はどのように作られる?

実は、製糖所によって製法や原料も異なる和三盆。ここでは、和三盆の中でも最上級のものが作られる製造工程と原料についてご紹介します。こだわりぬいた和三盆作りに重要なのが、素材。特徴でもご紹介した「竹糖(ちくとう)」という品種のサトウキビを原料にして作られます。香川県や徳島県の限られた地域のみで栽培されている竹糖は、通常のサトウキビと比較すると背丈も2mほどと低く、さらに太さも大人の人差し指ほどしかありません。

その竹糖を粉砕し、搾汁するところから和三盆作りは始まります。アクを多く含んでいるため、丁寧にアクを取り除きながら煮詰めていき、不純物などを取り除いて攪拌した後、冷却して結晶を取り出します。この結晶が和三盆の素となる「白下糖」であり、この白下糖から「糖蜜」を分離していきます。糖蜜とは、砂糖を製造する際に発生する茶褐色をした液体のこと。この成分を、重石で圧迫して絞り出す「押し舟」、押し舟ののち底に残ったものを手水をつけながら手作業で練るようにもむ「研ぎ」という作業を繰り返しながら取り除きます。その後、ふるいにかけて乾燥し、和三盆糖が完成するのです。

ちなみに和三盆という名前の由来は、製造工程であるこの「押し舟」と「研ぎ」を3回繰り返して行うことに由来する、と言われています。

このように、和三盆糖は希少価値の高い原料を使用しているだけなく、機械化が進む現代でも職人の手作業で手間と時間をかけて作られます。もちろん技術の発展とともに機械化できる作業はあるものの、自然本来の甘さを残しつつ糖蜜をちょうどよい塩梅で取り除く技術など、機械には真似できない、先人の知恵や熟練した職人の勘によって和三盆は作り上げられているのです。高価なお砂糖と位置づけられているのも納得ですね。

白砂糖とは何が違う?

私たちが普段から料理などに使う白砂糖と和三盆糖の違いは大きく分けて2つあります。1つ目は、元となる原料が違うこと。2つ目は、製法の違いです。

和三盆糖が竹糖を原料としているのに対して、白砂糖は沖縄をはじめ、鹿児島や南西諸島などの温かい地域で栽培されているさとうきびを使用しています。「サトウキビ」は太く、丈も3~6mにまで成長するため、竹糖に比べると効率よく砂糖を製造することができるのです。

製法については、どちらも原料の植物を粉砕してから煮詰め、それぞれの砂糖の原料となる糖を取り出す工程までは類似しています。しかしここからの工程が異なり、上白糖は完全に糖蜜を除去し精製して作られるのに対して、和三盆糖は完全に糖蜜を除去せず、職人の技術でほどよく糖蜜を残した状態で作り上げます。

上白糖についての豆知識

ここで上白糖について、もう少し触れておきましょう。実は、和三盆が日本独自の砂糖であるのと同様に、上白糖も日本独自のお砂糖なのです。

日本では、お砂糖といえば「上白糖」が一般的で家庭でも最もよく使用されていますが、世界ではお砂糖といえば「グラニュー糖」が一般的。質感もグラニュー糖がサラサラしているのに対して、上白糖はしっとりとしているのが特徴的です。この質感は「ビスコ」という転化糖を加えたことによるもの。この「ビスコ」が添加されるようになったのには理由があり、明治時代に香港から輸入された精製糖が固まってしまうのを防ぐためだと言われています。

このようにして生まれた上白糖は、和三盆同様、海外にはない日本独自のものだったんですね。

上白糖を使ったレシピを知りたい方はこちらをチェック!

和三盆糖を保存する際の注意

お菓子作りやお料理の甘味として、ご自宅で和三盆糖を使用される方のために保存する際の注意点も確認しておきましょう。和三盆糖は非常に湿気に弱く、湿気ることで固まってしまいます。また、和三盆糖自体に糖蜜が含まれているため、湿気に気をつけていても固まってくることがあります。自宅で使用する際にはしっかりと湿気が避けられる場所で保存するようにしてくださいね。

和三盆のおいしさを今一度味わってみよう!

今回は和三盆についてご紹介しました。なんとなく「高級なお砂糖」という印象でしかなかったという方も多いかもしれませんが、原料から製造工程までこだわり抜かれたとても上質なお砂糖だということがおわかりいただけたのではないでしょうか。職人の技術の結晶である和三盆。あらためてスイーツや料理を通じて味わったり、お菓子作りに取り入れて繊細な味わいを楽しんでみてくださいね。

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