細長い形と淡白な味わいが特徴のたけのこである「淡竹(はちく)」。直売所などで見かけたことがある方も多いのではないでしょうか?たけのこといえば孟宗竹が有名ですが、はちくとはどのような違いがあるのでしょうか。この記事でははちくの特徴や由来、旬の時期や孟宗竹との違いに加え、おすすめの食べ方などを解説します。
はちくってどんな食べ物?味や旬の時期、たけのことの違いについて解説!
- 目次
- 「はちく」とは?旬はいつ?
- 「破竹の勢い」とは別物?
- 主な生産地はどこ?
- はちくの特徴は?
- 孟宗竹とはどう違う?
- はちくのおいしい食べ方
- 孟宗竹とはひと味違うおいしさ!みずみずしく淡白なはちくでたけのこ料理を楽しもう
「はちく」とは?旬はいつ?
はちくとはイネ科タケ亜科マダケ属に属する植物です。漢字で書くと「淡竹」となりますが、名前の由来には諸説あります。たとえば、竹の表面が淡い緑色であることや、味が淡白であることから名付けられたという説があります。
はちくは徐々に気温が上がってくる5~6月上旬頃に旬の時期を迎えます。これは最も一般的なたけのこである孟宗竹の旬よりも遅く、真竹よりも早い時期です。
「破竹の勢い」とは別物?
「はちく」と聞くと「破竹の勢い」を連想する方も多いかもしれませんが、これは別の意味の言葉です。竹に割れ目が入ると一気に裂ける様子から、「止めようとしても止められない勢い」を表現する言葉であり、植物の淡竹とは関係ありません。
主な生産地はどこ?
主な生産地は九州や四国、中国地方や近畿地方などの暖かい地域です。ただし、はちくは市場にはあまり流通しておらずスーパーなどで見かけることはほとんどありません。たけのこ狩りで手に入れるか直売所などで購入するのが一般的です。
原産地
はちくは中国原産の竹で、生息しているエリアは黄河流域より南が中心です。寒さに比較的強いことから日本でも全国的に植栽されており、孟宗竹(もうそうだけ)や真竹(まだけ)に次いで多く栽培されています。
はちくの特徴は?
はちくのたけのこは、見た目や食感、風味に特徴があり、一般的なたけのこと比べてアクが少なく、さっぱりとした味わいが魅力です。ここでは、はちくのたけのこの主な特徴を項目ごとにわかりやすくまとめました。
| 項目 | |
|---|---|
| 見た目 | 細長い形状、皮は淡い赤茶色、表面はつるつる |
| サイズ | 直径3~10cm、高さ15mほど |
| 味 | 淡白でさっぱり、アクや苦味が少なく食べやすい |
| 食感 | みずみずしく、シャキシャキとした歯ごたえ |
| 香り | 青臭い爽やかな香り |
はちくのたけのこは、孟宗竹よりも細長い形で、皮は淡い赤茶色をしており産毛がほとんどなく表面がつるりとしているのが特徴です。「淡竹」という名前のとおり、はちくのたけのこは淡白でさっぱりとした味わいです。アクやエグみ、苦味が少ないのが特徴であっさりと食べやすいと言われています。みずみずしくシャキシャキとした食感も魅力です。繊細でやわらかく甘みがあって食べやすいので、あえて淡竹を好んで食べるという人も少なくありません。
また、アクが少ないため採れたての新鮮なものは生で食べることもできるんですよ。たけのこ特有の香りは弱めですが、さやえんどうやそら豆をゆでているときのようなほんのり青臭い爽やかな香りがします。
孟宗竹とはどう違う?
はちくは、一般的なたけのこである「孟宗竹(もうそうちく)」と見た目や収穫方法、調理の手間などに違いがあります。ここでは、はちくと孟宗竹の主な違いを比較表にまとめてみましょう。
| 項目 | はちく(淡竹) | 孟宗竹 |
|---|---|---|
| 節の特徴 | 節に2本の輪 上下が角ばっている |
節に1本の輪 丸みがある |
| 見た目(形) | 細長い形 表面はつるつる |
ずんぐり太い 表面に細かい産毛がある |
| 地上への出方 | すぐ地上に顔を出す | 地中深くにあり 地面に出る前に収穫する |
| 収穫方法 | 地表に出た部分を手で折る 鎌で刈る |
地中を鍬で掘って収穫する |
| 収穫時期 | 5月〜6月上旬 | 3月中旬〜4月中旬 |
| アクの強さ | 少ない |
強い |
|
下処理 |
基本的には1時間ゆでて 一晩水にさらすだけ (新鮮ならアク抜き不要) |
米ぬかなどで下ゆでし アクを抜く必要あり |
地上への出方
孟宗竹とはちくでは、収穫方法に明確な違いがあります。
| 種類 | 地下茎の深さ | 収穫時期 | 収穫方法 |
|---|---|---|---|
| 孟宗竹 | 深い | 地面から出る前 | 鍬などで掘り起こす (たけのこ掘り) |
| はちく | 浅い | 地上に 30〜40cm成長 |
手で折るか鎌で刈る (淡竹採り・淡竹刈り) |
孟宗竹は地下茎が深く、地上に出ていないうちに鍬などで掘り起こして収穫します。このことから、「たけのこ掘り」と呼ばれています。それに対し、はちくは地下茎が浅く、地上にすぐ姿を現します。30〜40cmほどに成長したら食べ頃となり、地上部分を手で折るか鎌で刈って収穫します。この方法は「淡竹採り」や「淡竹刈り」と呼ばれています。
💡ワンポイント豆知識💡
孟宗竹は、地面から顔を出すとエグみが強くなるため、地表に出る前に掘り出す必要があります。一方、はちくは地上に出た部分が食べ頃ですが、地下に残る部分は固くて食用には向きません。収穫時は、食べられる部分を見極めるのがポイントです。
下処理について
孟宗竹のたけのこはアクやエグみをとるために、皮ごと米ぬかなどとゆでてしっかりとアク抜きをする必要があります。一方、はちくはアクが少ないため、基本的にはアク抜きする必要がなく下ゆでするだけで食べることができます。
はちくの下ゆで方法
ここで、はちくの下ゆで方法をみていきましょう。
①皮をむく
まず、根元から穂先に向けて縦に切り込みを入れ、皮をむいて開きます。
②ゆでる
大きめの鍋に水とはちくを入れ、火にかけます。吹きこぼれに注意しながら、約1時間ゆでましょう。
③冷ます
火を止めたら、そのまま鍋の中で自然に冷まします。ゆで汁が完全に冷めてから水を取り替え、そのまま一晩さらせば下ゆで完了です。
💡ワンポイント豆知識💡
はちくは比較的アクが少ないたけのこですが、成長しすぎたものや青みの強いもの、新鮮でないものはアクが気になることもあります。その場合は、米ぬかや赤唐辛子を加えてゆでるなど、孟宗竹と同様のアク抜き方法を取り入れると安心です。
はちくのおいしい食べ方
はちくはアクやエグみが少なく味にクセがないので、さまざまな料理に活用できるのが魅力です。新鮮なものは生で食べることができますが、定番のたけのこごはんや若竹煮などの煮物をはじめ、炒め物や汁物、和え物や揚げ物など、さまざまな食べ方で楽しめます。和風の味つけだけでなく、中華や洋食などの味つけにもマッチするのでバリエーションも豊かです。ここでは淡竹のおすすめの食べ方をいくつかご紹介するので、ぜひチェックしてみてくださいね。
炊き込みごはん
たけのこ料理の定番と言えば、旨味たっぷりの炊き込みごはん!やわらかいはちくを使うと繊細な味わいに仕上がります。はちくの香りと旨味がごはんに染み込んでとてもおいしいですよ。はちく特有のシャキシャキとした食感とほっこりとしたごはんが好相性!具材がはちくだけでシンプルに仕上げたものは、あっさりながら風味豊かでクセになるおいしさです。油揚げやにんじん、鶏肉などさまざまな具材を加えて具だくさんにしたものは、さまざまな食感や味わいを楽しめます。
天ぷら
下ゆでしたはちくを天ぷら粉で揚げた春の味覚、たけのこの天ぷらはいかがでしょうか?さっくりとした衣とみずみずしいはちくが相性抜群で、クセになるおいしさですよ。揚げることではちくの甘みが引き立ち、ひと味違うおいしさになります。塩はもちろん天つゆでもおいしく召し上がれますよ。衣にあおさ粉を混ぜて磯辺揚げにするのも風味豊かでおすすめです。ごはんのお供にもお酒のおつまみにもよく合うのでぜひお試しくださいね。
炒めもの
煮物のイメージの強いたけのこですが、炒め物に使ってみるのもおすすめです。はちくはやわらかいので、下ゆでしたものをさっと炒めるだけでもおいしく仕上がるのがポイント!シャキシャキとした食感で、ボリューム満点なのも魅力です。シンプルに塩コショウで味わうほか、定番の醤油味や味噌味、豆板醤を使ってピリ辛風味にするなどアレンジも楽しめます。お好みの具材と一緒に炒めものにしてみてくださいね。
パスタ
和食や中華料理に使われることが多いですが、意外と洋風の味つけにもよく合います。とくにおすすめなのがはちくを使ったパスタ料理。やわらかいのでパスタにもよく馴染みます。バターやオリーブオイルなどを使ったオイル系パスタが定番です。ニンニクたっぷりのペペロンチーノや、菜の花としらすを加えたパスタなどあっさりとした味つけと好相性!やさしい味わいのクリーム系パスタと合わせてもおいしいですよ。ぜひ、はちくのシャキシャキとした食感と香りを堪能してみてくださいね。
孟宗竹とはひと味違うおいしさ!みずみずしく淡白なはちくでたけのこ料理を楽しもう
いかがでしたか?はちくの由来や味などの特徴、旬の時期や孟宗竹との違いに加え、おすすめの食べ方などをご紹介しました。はちくはみずみずしく淡白な味わいで食べやすいうえに、下処理の必要がなく料理に活用しやすいのも特徴です。これまで使ったことがなかったという方も、ぜひこの機会にはちくを活用してさまざまなたけのこ料理を楽しんでみてくださいね。

