「ドイツの冬の味!?」「香りがたまらない」グリューワインとは?

「ドイツの冬の味!?」「香りがたまらない」グリューワインとは?

ドイツの伝統的な飲み物「グリューワイン」。赤ワインに果物や複数のスパイスを加え、温めて作られるホットワインです。クリスマスマーケットには欠かせない冬の風物詩として古くから親しまれています。今回はそんなグリューワインの魅力を解説します。記事後半ではホットワインのレシピもご紹介!ぜひ最後までご覧くださいね。

  • 目次
  • グリューワインとは?
  • 名前の由来
  • グリューワインが生まれた背景や歴史
  • 世界各国のホットワイン
  • グリューワインとヴァン・ショーの違い
  • ノンアルも!ホットワインのレシピをご紹介
  • 今年の冬はグリューワインで身も心も温めよう

グリューワインとは?

グリューワインとは、ドイツやオーストリアなどで昔から親しまれてきた伝統的なホットワインです。冬の風物詩として愛されていますが、特にクリスマスマーケットには欠かせない定番の飲み物で、必ずグリューワインの屋台があります。

グリューワインは、赤ワインに複数のフルーツやスパイスを入れ、温めて作るのが一般的です。一口飲めば甘い香りとスパイシーな味わいがふわっと広がる、身も心もほっと癒やされる飲み物なんですよ。

名前の由来

グリューワインという名前はドイツ語で、熱を帯びるという意味の「Glühen(グリューエン)」とワインを意味する「Wein(ヴァイン)」を組み合わせてつけられたようです。直訳すると「熱されたワイン」という意味になります。

また、スパイスの入っているワインを「Gewürzwein(ゲヴェルツワイン)」と呼びますが、このゲヴェルツワインを温めて飲んでいたことから「geglühter Wein(ゲグリューター・ヴァイン)」と呼ぶようになったのだとか。それが後に、日常的に使いやすい「Glühwein(グリューワイン)」という形に変化し、定着していったのだそうです。

💡ワンポイント豆知識
ちなみにグリューワインには「輝くワイン」という意味もあります。これは、寒空の下で飲むグリューワインから立ち上る蒸気が光っているように見えることに由来するようです。

グリューワインが生まれた背景や歴史

古代ローマ時代にはすでにグリューワインの原型となるものが飲まれていたといわれています。この頃作られていたのは、劣化したワインではちみつを溶かし、そこにコショウやローリエ、サフランなどを加えたものに、さらに良質なワインを加えて希釈したものだったそうです。

これは「コンディトゥム・パラドクスム」と呼ばれ、親しまれていました。おいしくなくなってしまったワインも無駄にすることなく、おいしく飲むための知恵でもあったのかもしれませんね。

💡ワンポイント豆知識
今でこそ技術の進歩や先人の知恵により、ワインの質を保ちながら保存することができるようになりましたが、当時のワインは環境に左右されやすく、ワインの質がすぐに落ちたり、そもそも質の悪いワインも多かったのだとか。そのため、スパイスなどを加えて風味づけすることが一般的だったようです。

中世ヨーロッパでは「薬種」として親しまれていた

中世に入ってからもワインにスパイスを加えたものは飲まれていましたが、この頃からハーブなども使われるようになりました。とくに修道院では風邪予防などの「薬酒」として作られていたようです。

ただ、シナモンやクローブなどは外国から輸入されたもので、とてもめずらしく貴重なものだったため、これらのスパイスを使ったホットワインは王族や貴族だけが飲めるものだったといわれています。

世界各国のホットワイン

ドイツのグリューワインはヨーロッパだけでなく、世界各国に広まっていきました。それぞれの国で名前が異なるので、以下で見てみましょう。

名前 スペル
ドイツ グリューワイン Glühwein
フランス ヴァン・ショー Vin Chaud
スウェーデン
(北欧圏)
グロッグ Glögg
イタリア ヴィン・ブリュレ vin brulé
イギリス
アメリカ
モルドワイン Mulled wine
日本 ホットワイン
(和製英語)
Hot Wine

これらはすべて、柑橘系のフルーツやスパイスが使われていて、見た目もよく似ています。赤ワインが定番ですが、実は白ワインやロゼワインでも作れます。

白ワインなどで作る場合は、りんごなどのフルーツを加えることが多いです。甘みと酸味のバランスがよく、さっぱりとした味わいに仕上がるので、ぜひ試してみてくださいね。

グリューワインとヴァン・ショーの違い

基本的にどの国も同じように作られているようですが、グリューワインとヴァン・ショーには少し違いがあるようです。

グリューワイン ヴァン・ショー
ドイツ フランス
スパイス

・シナモン、クローブ、スターアニス、カルダモンなど
・種類が多い

シナモン、クローブ、オレンジの皮など
・シンプル

フルーツ

・オレンジなどの皮や果汁

・柑橘類の皮だけを使う
果汁は入れない

甘み

・はちみつや砂糖を使う
・甘み強め

・ワインの酸味とのバランスを重視する
・甘さは控えめ

味わい

・スパイスの複雑な風味を楽しめる
・甘い

・ワイン本来の味を楽しめる
・シンプルな味わい

アルコールの強さ

・度数は5〜8%程度
加熱により度数は下がる
・ラム酒などを追加して度数を強くすることもある

・度数にそこまで変化なし
・沸騰させないよう低温で慎重に温め、アルコールの蒸発を防ぐ

グリューワイン

グリューワインは、多くのスパイスとフルーツの甘味を加えることで、リッチな風味を楽しめます。簡単に言うと「温かいカクテル」のような飲み物です。グリューワインはもともと安価なワインや劣化したワインを無駄にすることなく、おいしく飲むために作られているという背景もあるので、このように複雑な味わいに仕上げる傾向があります。

ヴァン・ショー

ヴァン・ショーは、スパイスを控えめにして、ワイン本来の味わいを重視しています。慎重に加熱することで、ベースとなるワインの風味と質感を大切にし、「温かいワイン」そのものとして扱われているのです。

ノンアルも!ホットワインのレシピをご紹介

最後にホットワインのレシピをご紹介します。フルーツをたっぷり使ったものやシンプルなもの、ノンアルレシピもピックアップしました。ぜひチャレンジしてみてくださいね。

オレンジとシナモンのホットワイン

柑橘とシナモンがふわっと香るホットワインのレシピです。オレンジとレモンは皮ごと使っているので風味よく仕上がります。お好みでりんごを加えたり、カルダモンなどのスパイスを使うのもおすすめですよ。ぜひ試してみてくださいね。

簡単スパイシーホットワイン

続いてはシンプルでスパイシーなホットワインレシピをご紹介します。皮ごと煮立たせるので、オレンジの風味が赤ワインにしっかりと溶け込みます。はちみつは砂糖に変えてもおいしく作れるので、おうちにあるもので作ってみてください。

ベリーたっぷりノンアル ホットサングリア

子どもも楽しめるノンアルコールレシピもチェックしておきましょう。ワインの代わりにぶどうジュースを使っているので、見た目も本物のホットワインにそっくりに仕上がります。お酒が飲めない方にもおすすめなので、大勢が集まるパーティーなどでも活躍しますよ。

ノンアル ドライフルーツでホットサングリア

続いてもノンアルコールのホットサングリアをご紹介します。先ほどのレシピはフレッシュなフルーツを使いましたが、こちらはドライフルーツを使って作ります。ドライフルーツを使うことで凝縮した旨みがぶどうジュースに溶け出し、豊かな味わいに仕上がります。甘さを控えたいときははちみつや砂糖の量を調整してみてくださいね。

今年の冬はグリューワインで身も心も温めよう

今回は、ドイツをはじめ、世界各国で愛されているグリューワインについてご紹介しました。グリューワインは冬に飲みたくなるお酒のひとつですが、口に合わないワインを買ってしまったときの対処法として覚えておくのもおすすめです。ぜひ今年の冬はグリューワインを作って、身も心もほっと温まる、癒やしのひとときをお過ごしください。

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