フランス料理には、守らなければならない「マナー」があることはご存じの方が多いですよね。ただ、なんとなく知っていても、実際にレストランなどでどのように振る舞ったらよいのか戸惑ってしまうことも。そこでこの記事では、フランス料理のテーブルマナーや服装、コース内容、ワインの選び方などを詳しく解説します。
フランス料理のマナーを知ろう!服装やテーブルマナーなど知っておきたいマナーを徹底解説!
- 目次
- フランス料理とは
- フランス料理のコースの流れ
- 格式高いフルコース
- 一般的なコース
- フランス料理におけるマナー【服装】
- グランメゾン
- ビストロ
- フランス料理におけるマナー【テーブルマナー】
フランス料理とは
「フランス料理」は、中華料理やトルコ料理と並ぶ世界三大料理の一つです。現在ではその格式の高さから、特別な日に食べるコース料理として有名であり、その食文化は「食の伝統」としてユネスコの無形文化遺産に登録されています。
フランス料理は今でこそ、高級料理として知られていますが、中世のフランス料理は大皿にのせた料理を一斉にテーブルに並べたり、料理を手づかみで食べる、格式の高さや上品とはかけ離れた料理だったのだそうです。時代が進むにつれて、イタリア料理などの影響を受け、現在のような作法やマナーが確立されたのだといいます。
そんなフランス料理の特徴は、肉や魚、野菜など、幅広い食材を使うこと。また、バターや生クリームがよく使われます。料理自体はシンプルなものが多いですが、ソースなどでお皿を彩った美しい見た目も楽しめます。
これらの料理が一皿ずつテーブルに運ばれてくる、いわゆるコース料理のスタイルで楽しむのもフランス料理の基本です。
フランス料理のコースの流れ
続いて、フランス料理のコース内容を確認してみましょう。一言でフランス料理といっても、厳格なマナーのある格式高いものももちろんありますが、最近では幅広い世代で楽しめる以前よりリーズナブルなものが一般的となっています。そこでここでは、格式高いフルコースと、一般的なコースに分けて、コースの流れをご紹介します。
格式高いフルコース
1.アミューズ(突き出し)
2.オードブル(前菜)
3.スープ
4.ポワソン(魚料理)
5.ソルベ(口直し)
6.ヴィアンド(肉料理)
7.サラダ
8.フロマージュ(チーズ)
9.アントルメ(甘い菓子)
10.フルーツ
11.カフェ・プティフール(コーヒーと小菓子)
一般的なコース
1.オードブル(前菜)
2.スープ
3.ポワソン(魚料理)
4.ソルベ(口直し)
5.ヴィアンド(肉料理)
6.デセール(デザート)
7.カフェ・プティフール(コーヒーと小菓子)
お店によってコース内容は異なることもありますが、フルコースは11品ほど、一般的なコースは7品ほどで構成されます。
このうち、メインディッシュとなるのは、ポワソン(魚料理)とヴィアンド(肉料理)です。魚料理が先に出されるのは、味が薄いものから食べることで、後に食べるものの味がぼやけるのを防ぐためなのだそう。さらに、間にソルベ(口直し)を挟むことで口の中をリセットし、魚料理のソースの味が肉料理に影響を与えないようにしています。
フランス料理におけるマナー【服装】
さきほども少し触れましたが、フレンチレストランにはいくつかの格式があり、格式の高い順にグランメゾン、レストラン、ビストロ、ブラッスリーやカフェとなっています。最も格式の高いグランメゾンでは、ドレスコードの指定があるお店が多く、守っていない場合は入店できない可能性も。
以下で、フレンチレストランの服装のマナーについてチェックしてみましょう。
グランメゾン
グランメゾンではドレスコードがあることが多く、正装で行く必要があります。
女性はエレガントなスーツやワンピースに、ヒールのある靴を合わるのが基本です。さらに、ネックレスやブローチなど、華やかなアクセサリーをプラスしましょう。
男性はスーツやジャケットに革靴が基本。ネクタイは必須ではなく、スカーフなどを合わせるのもよいでしょう。
男女ともに、露出の高すぎるドレスやくたびれた服、汚れた靴などはNGとなる可能性が高いので注意してくださいね。
ビストロ
ビストロは、気軽に食事ができるフレンチレストランで、ドレスコードは基本的にありません。カジュアルな普段着で行くことができますが、ジャージや短パン、サンダルのような砕け過ぎた服装は避けるようにしましょう。
適切な服装は、お店の格式だけでは判断できないこともあるので、わからない場合は事前にお店に確認するのがおすすめです。そして、お店の雰囲気に合わせることも大切なポイントとなります。
また、フランス料理は食事を残すこともマナー違反となるため、全ての料理を食べ切る必要があります。食事の途中でお腹が苦しくならないよう、少しゆとりのある服装にするのがおすすめです。
フランス料理におけるマナー【テーブルマナー】
続いて、フランス料理のテーブルマナーについて詳しく確認してみましょう。
①着席の仕方
まずは着席の仕方です。お店によってテーブルやイスの状態は異なりますが、基本的には席に着くときにはイスの左側から座ります。お店のスタッフの方がイスを引いたり押したりしてくれることが多いので、イスが膝に当たるぐらいのタイミングでゆっくりと腰を下ろしましょう。スタッフの方が不在の場合にはレディファーストの考えに則り、男性が女性をエスコートするのがマナーです。
また、テーブルとの間隔は人により異なりますが、にぎりこぶし2個分くらいを目安に座るのがよいとされています。これは、万が一食べ物を落としてしまっても、床ではなく自分の膝に落ちる程度に座るのが基本であるためです。
②ナプキン
ナプキンを広げるタイミングは、食事の前です。ドリンクやお水を持ってきてもらったら広げましょう。二つ折りにして、折り目を自分のお腹側に向けて太ももの上に置きます。
口元や指先を拭くときは、ナフキンの内側の端を使います。そうすることで、汚れた部分がほかの人から見えなくなるだけでなく、自分の服に汚れがついてしまうのを防ぐことができるのです。
食事中に席を立つときは、軽くたたんでイスの上か背もたれにかけましょう。そして食事後は、きれいにたたむのではなく、ざっくりとたたむのがマナー。たたむのを忘れるほどおいしかったという意思表示になるそうです。ナプキンをきれいにたたんだ方が礼儀正しいように見えますが、フランス料理のマナーでは、食事に満足できなかったという合図になってしまうので注意してくださいね。
③ナイフ・フォーク・スプーン
テーブルに並べられたナイフやフォーク、スプーンといったカトラリーは、外側から順に使います。右利きの人はナイフを右手、フォークを左手で持ちましょう。左利きの人はナイフを左手、フォークを右手で持っても問題ありません。
食事中に一時的に置きたいときは、自分のお皿に八の字になるように置きます。時計で示すと、4時と8時の位置に置くのがマナーです。このときナイフの刃の部分を内側に向けます。フォークは背を上にするのもポイントです。
④食器の扱い方や終了時のサイン
コーヒーカップは、穴に指を入れるのではなく、取っ手を指で挟んで持ちます。ただしこのとき、カップの底に手を添えると「飲み物がぬるい」という合図になってしまうので気を付けてくださいね。
食べ終わったら、ナイフとフォークをそろえてお皿の右寄りに、斜めまたは横向きに置きます。
フランス料理におけるマナー【食べ方】
フランス料理では、パンを一口サイズに手でちぎったり、魚料理や肉料理はナイフを使って一口サイズに切ってから口に運びましょう。大きな塊にかぶりつくような食べ方はマナー違反となります。
それならば最初から全部一口サイズに切ってしまえばいいのでは?と思う方もいるかもしれませんが、それもマナー違反になってしまうのです。これは、肉汁が流れ出してしまい、料理の味が損なわれる可能性があるためで、料理をおいしく食べるためにも守らなければなりません。前菜ははじめから一口サイズで提供されることが多いので、手に取り一口で食べましょう。
また、パンに添えられたバターやオイルをつけるときも、一口サイズにちぎってからがマナーです。ちなみに、スープやソースにパンをつけて食べるとおいしいのですが、フランス料理のマナー的には避けた方がよいことなので気を付けてくださいね。
食事中はカトラリーで音を立てたり大声で会話をしたりしないよう、ゆったりと会話も楽しみながら食べましょう。
フランス料理におけるマナー【飲み物】
フランス料理では、最初に食前酒を注文するのがマナー。迷ったときは、とりあえずシャンパンを注文する方が多いようです。
その後は、食事に合うワインを注文します。一般的に前菜や魚料理には、白ワインが合うと言われています。ウエイターやソムリエに相談して、料理に合うおすすめワインを教えてもらうのもおすすめですよ。グラスは、足の部分を親指と人差し指、中指の3本で持って、薬指で支えて安定させましょう。そうすることで、手の熱がワインに伝わりにくくなります。
乾杯をするときは、目の高さぐらいまで軽く持ち上げる程度にし、一口飲みます。グラス同士を軽くぶつけて音を鳴らしたくなりますが、ワイングラスは薄いガラスで作られているものも多いので、割れてしまう可能性があるため音を鳴らすのは避けましょう。
お酒が苦手な方は無理にワインを注文する必要はないので、ミネラルウォーターやノンアルコールのカクテルなどを選んでくださいね。
フランス料理におけるマナー【その他】
フレンチレストランでは、今までご紹介したもの以外にもマナーがいくつかあります。それぞれ確認してみましょう。
静かに食事を楽しむ
フランス料理を食べるときは、静かに会話をしながら、食事を楽しむ雰囲気を大切にしましょう。スマートフォンや携帯電話を操作したり通話しながら食べるのはマナー違反です。また、フランス料理は見た目が美しいので、写真に残したくなりますよね。撮影を禁止していないお店でない限り、記録に残すのは問題ないですが、スマートフォンなどはテーブルの上に置いたままにしないようにしましょう。
予約はしっかり!遅刻はしないように
フレンチレストランで食事をするときには、予約をしてから行くことも多いですよね。予約をしっかりと確認し、遅刻しないように入店することもマナーです。
香りの強い香水はNG
香りの強い香水などをつけていくと、料理の香りや味に影響が出る可能性があるので避けましょう。
食物アレルギーや苦手なものは予約時に伝える
食物アレルギーがある方は、事前に伝えればその食材を除いたメニュー構成にするなどの対応をしてくれるお店もあります。トラブルを避けるためにも、予約やメニューを注文するときに確認しましょう。
海外ではチップも必要
海外では、レストランで食事をするときにはスタッフの方にチップを渡す習慣のある国も。フランス料理のお店も現地では支払い金額の5~10%ほどのチップを支払うのが一般的なようですが、日本のレストランではサービス料が含まれているという考え方が基本なのでチップは不要です。
お会計は席でスマートに
お会計は、席に座ったままスタッフの方を呼びます。大声で呼ぶのではなく、手をあげたり視線を送るようにしましょう。そのままテーブルで支払いを済ませます。個別会計をしたい場合でも、一人が代表して支払い、退店後に清算する方がスマートですよ。
退店時は笑顔で挨拶を
お会計や退店するときには「ごちそうさまでした」と笑顔で挨拶し、お互いに気持ちよく食事を終えましょう。
マナーを守ってフランス料理を楽しもう!
今回は、フランス料理のマナーについて詳しく解説しました。服装からテーブルマナーなど、盛りだくさんの内容でしたが、堅苦しく行動を規制するようなものではなく、みんなが気持ちよく食事を楽しむためのものです。事前に心にとめておき、ゆったりとした気持ちでおいしい食事を楽しんでみてくださいね。