ドイツの伝統料理「アイスバイン」。どんな料理か知っていますか?この記事では、アイスバインの特徴や使われる部位、名前の意味について詳しく解説します。記事の後半では、アイスバインの作り方や、おうちで簡単に作れるアイスバイン風のレシピもご紹介!秋や冬にぴったりな料理なので、ぜひチェックしてみてくださいね。
「アイスバイン」ってどんな料理?名前の意味や特徴、さらにおいしい食べ方について解説!
- 目次
- アイスバインとは
- クリスマスマーケットでも定番の家庭料理
- アイスバインの名前の由来
- アイスバインのおいしい食べ方
- アイスバインをおいしく作るポイント!
- 自宅で作れるアイスバイン風レシピをご紹介!
- アイスバインを味わってみよう!
アイスバインとは
アイスバインとは、塩漬けにした豚のすね肉をスパイスやハーブ、セロリなどと一緒にじっくりと煮込んだドイツの伝統料理です。しっかりと煮込まれたお肉はとてもやわらかく、噛むと口の中に旨味が広がります。すね肉は脂肪の少ない部位なので、ジューシーながらもサラッとクセのない味わいに仕上がり、さっぱりとした後味を楽しめるのです。
寒冷な気候であるドイツは、ソーセージやハムといった肉の加工品や塩漬けや酢漬けにした食品など、保存の利く食品を蓄え、寒い冬に備える習慣があったそうです。アイスバインもそんな保存食の一つで、古くから家庭料理として親しまれてきました。
クリスマスマーケットでも定番の家庭料理
そんなアイスバインは、じっくりと煮込んだ料理ということもあり寒い季節にぴったりで、ドイツやオーストリアなどで伝統的に行われている「クリスマスマーケット」でも定番の料理なのだとか!
最近は11月に入ると日本でも全国各地でクリスマスマーケットが開催されていますよね。ドイツでは定番料理ということもあり、クリスマスマーケットではアイスバインを販売しているお店の屋台が必ずと言っていいほどあります。ぜひ探して、食べてみてくださいね。
💡ワンポイント豆知識
クリスマスマーケットとは、クリスマスまでの約4週間にさまざまな都市で行われるイベントで、きらびやかな装飾やライトアップに彩られた広場で、料理や伝統工芸品などの屋台を回って楽しむものです。発祥は14世紀ごろのドイツと言われており、そこから世界各地に広まって、近年は日本でも定番のイベントになってきました。
アイスバインの名前の由来
アイスバインはドイツ語で「eisbein」と書き、「eis」には「氷」、「bein」には「脚」という意味があります。なぜそのような名前になったのかははっきりとはわかっていませんが、「座骨」を意味するラテン語「os ischbeen」がもとになったという説や、スケート靴のエッジに動物の骨を使っていたからという説があるようです。
また、煮込んだ肉から出たゼラチンが冷えると固まって氷に見えることからこの名前になったという説もあります。
似た名前の「アイスヴァイン」は全くの別物でワインのこと
ちなみに、ドイツにはアイスバインとよく似た名前の「アイスヴァイン(eiswein)」というものもありますが、これは全くの別物。実ったブドウを冬まで収穫せず、気温が下がって凍ってから収穫して作った希少なワインを指します。
凍ったぶどうから取れる糖分が含まれたごくわずかなエキスを醗酵させて造るので、濃厚な味わいの甘口ワインに仕上がるのだとか。アイスワインやデザートワインなどとも呼ばれます。こちらもぜひ味わってみたいものですね。
ただ、両者は名前が似ているので、本場のレストランなどでは発音に気をつけて、ゆっくりと間違えないように注文するのがおすすめです。
アイスバインのおいしい食べ方
ボリュームがあり、見た目のインパクトもあるアイスバインは、そのまま食べるのはもちろん、アレンジして食べることも可能です。さまざまな楽しみ方があるので、以下で確認してみましょう。
そのまま食べる
やはりまずは、そのまま食べるのがおすすめです!ナイフやフォークを使って、肉やそのほかの具材を切り分けながら食べましょう。
本場ドイツでは、ザワークラウトやマッシュポテト、粒マスタードを添えて食べることが多いそうですよ。
💡ワンポイント豆知識
ザワークラウトとは、ドイツの家庭料理としてよく食べられているキャベツを乳酸発酵させた漬物です。酸味のあるザワークラウトの味わいが、ジューシーで旨味たっぷりのアイスバインと相性抜群なんですよ。
カリカリに焼いて食べる
また、アイスバインをカリカリになるまで焼くと「シュバインハクセ」という料理になるのだとか!
ジューシーな食感に加えて表面の香ばしさも魅力なので、こちらもぜひ味わってみてくださいね。
スープやポトフにする
アイスバインをスープやポトフの具材にするのもおすすめ!塩漬けされたお肉から塩気や旨味がスープに溶け出し、野菜の甘みや旨味と混ざり合って深みのある味わいに仕上がります。
ちなみにじゃがいもやにんじん、玉ねぎといった野菜やお肉類を入れて煮込んだスープ料理をドイツ語で「アイントプフ」といい、家庭料理としても親しまれているそうです。
おつまみにする
塩気とスパイスが効いた旨味たっぷりのアイスバインは、お酒のお供にもぴったりです。
ドイツビールやドイツワインをはじめとしたお酒のおつまみとして楽しんでみてはいかがでしょうか。
アイスバインをおいしく作るポイント!
アイスバインがどのような料理かわかったところで、アイスバインをおいしく作るポイントをチェックしてみましょう!
骨つきの豚のすね肉を使う
本場ドイツのアイスバインは、骨付きの豚すね肉を使います。骨付き肉を使うと骨からも旨味が出てとてもおいしく仕上がります。ただし、血抜きなどの下処理が必要です。
豚すね肉は日本だと近所のスーパーなどで手に入りづらいかもしれません。そんなときは、豚肩ロース肉などで作るのがおすすめですよ!
肉をソミュール液に漬け込む
アイスバインは、冒頭でもお伝えしたとおり、塩漬けにした豚肉を煮込んで作る料理です。そのため、水に塩や砂糖、スパイスなどを加えた「ソミュール液」を準備して、そこにお肉を漬け込む必要があります。
塩漬けにすることで、肉の臭みが消え、味が均一に染み込みやすくなるんですよ。
💡ワンポイント豆知識
本場ドイツの伝統的な作り方では、豚肉をソミュール液に数日〜1週間(場合によっては2週間)漬け込むのだそうです。そうすることで、味が染み込むだけでなく、肉の性質そのものをハムのような独特の食感に変化するのだとか。家庭で作るのは難しいですが、いつか本場の味も体験してみたいですね!
塩抜きをする
塩抜きをするのにはいくつか理由がありますが、肉全体の塩分を均一にすること、そして、煮汁が濁るのを防ぐ目的があります。
また、塩漬けにより脱水されて締まった豚肉の繊維に少し水分を戻すことで、煮込んだ時にふっくらとした仕上がるのだそうです。
ジュニパーベリーが味の決め手!
アイスバインにはローリエやブラックペッパー、クローブなどのスパイスが使われますが、なかでも重要なのが「ジュニパーベリー(ネズの実)」です。
ジュニパーベリーとは、お酒のジンの香りづけにも使われる、森林のような爽やかな香りが特徴のスパイスです。このジュニパーベリーを加えることで一気に本場の味わいに近づきます。この香りが、こってりとした豚肉と相性抜群なのだとか!
自宅で作れるアイスバイン風レシピをご紹介!
最後に、おうちで作れるアイスバイン風レシピをご紹介します。スーパーなどで手に入れやすい材料を使った簡単なレシピなので、ぜひチェックしてみてくださいね。
簡単ゆで豚風 アイスバイン
豚肩ロース肉を使った、アイスバイン風レシピです。本格的なアイスバインを作るには長い漬け込み時間が必要で日数がかかりますが、こちらのレシピでは4時間弱で簡単に作ることができます。そのまま食べるのはもちろん、先ほどご紹介したようにスープの具材にすることもできるので、ぜひお試しくださいね。
アイスバインを味わってみよう!
今回は、ドイツの伝統料理「アイスバイン」の特徴や名前の意味、作り方などについて解説し、おうちで簡単に作れるレシピをご紹介しました。塩気とスパイスの風味にお肉の旨味が相性抜群のアイスバインは、普段の食卓にはもちろん、クリスマスや特別な日など、さまざまなシーンで活躍する料理です。今回ご紹介したレシピも参考に、アイスバインのおいしさを楽しんでみてくださいね。

