ところてんの食べ方は地域で異なる!?甘い味つけや食べ方の違いを解説

ところてんの食べ方は地域で異なる!?甘い味つけや食べ方の違いを解説

「ところてん」と聞いて、どんな食べ方を思い浮かべますか?実は、地域によって、酢じょうゆをかけておかずとして食べたり、黒みつをかけて甘いデザートとして食べたりと、食べ方が異なるんですよ。今回は、そんなところてんのさまざまな食べ方を解説!とろこてんを使ったおすすめレシピもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

  • 目次
  • そもそも「ところてん」とは?
  • 【地域別】ところてんの食べ方の違い
  • ところてんの歴史
  • ところてんと寒天の違いとは
  • ところてんのレシピをご紹介
  • ところてんのいろいろな食べ方を試してみよう!

そもそも「ところてん」とは?

「ところてん」とは、天草(テングサ)という海藻を煮て溶かし、型に流して冷やし固めたもの。固めたあとは、「ところてん突き」という道具を使って細長い麺状にします。

透き通った涼し気な見た目とツルツルとしたのどごし、特有のコシがあるのが特徴です。ほのかに磯の香りがあるものの、味にクセはほとんどないので、酢じょうゆなどをかけてさっぱりと食べるのが一般的。

ところてん突きは「てん突き」とも呼ばれ、箱型の筒の先に、刃となる格子状の網が張ってあります。固めたところてんを入れて押し出すことで、かたまりだったところてんが細長い麺状に切り出される仕組みです。

材料となる天草は、正式な品種名ではなく、紅藻類テングサ目テングサ科に属するマクサやオオブサ、オニクサなどを総称した呼び名です。紅藻類という名前からもわかるように、天草は水揚げ時には赤っぽい色をしています。

天日干しと洗浄を何度も行うことで赤い色が抜けていき、黄色っぽく変化します。これを「さらし天草」と呼び、ところてんの材料となるのです。

【地域別】ところてんの食べ方の違い

先ほど、ところてんには酢じょうゆなどをかけるとご説明しましたが、実は日本全国にはさまざまな食べ方があります。からしや生姜、かつお節、きな粉をかけるなど、地域に根ざした食べ方も伝わっているんですよ。

以下で、地域ごとの食べ方を表にまとめたので、見てみましょう。

地域    食べ方の主流 特徴
関東 酢じょうゆ

・青のりやからしをかけて食べるのが一般的
・市販されているところてんの添付たれもこの味が主流

関西 黒みつ+きなこ

・デザート感覚
・酢じょうゆで食べることもあるが、大阪では黒みつ派が7〜8割
・くずきりと似た食感から甘味として定着

北海道 酢じょうゆ

・北海道ならではの特徴などは特になし

東北 酢じょうゆ

・秋田や山形ではおろし生姜をかける
・宮城県では砂糖をかけて食べるのが定番

中部 酢じょうゆ/三杯酢

・静岡県中心部を流れる大井川を境に食べ方が分かれる
・関東側では酢じょうゆにからし、のり、ゴマ
・西側は三杯酢にゴマ

中国地方 酢じょうゆ/三杯酢/黒みつ

・中国地方ならではの食べ方は特にない
・人によって好みが分かれる

四国 だし汁やめんつゆ

・麺類のように、だしの旨味を活用して食べる
・高知県はカツオの漁獲量が全国有数、香川県はうどんで有名であることが影響している

九州 ポン酢/酢じょうゆ

・ところてんに似た「おきゅうと」と同様、ゴマやネギ、かつお節、生姜、大葉、のりなどをかけて食べる

沖縄 酢じょうゆ/黒みつ/もろみ酢

・酢じょうゆで食べるのが主流
・沖縄県産の黒蜜みつや泡盛を作るときの副産物であるもろみ酢を使うこともある

少数派!?そのほかの食べ方

ところてんの食べ方は、酢じょうゆや三杯酢、黒みつをかけて食べるのが一般的ですが、地域や家庭によってはそれ以外の食べ方もあるようです。以下でいくつかご紹介するので、見てみましょう。

・レモン汁
・青じそドレッシング
・酢みそ
・赤みそ
・メープルシロップ
・ソフトクリーム
・マヨネーズ
・梅酢

「えっ、こんな食べ方もあるの?」と思うような意外な組み合わせもありますよね。いつもとひと味違う味つけで食べてみたいときに、ぜひ試してみてくださいね。

一本箸で食べる習慣

ところてんにはいろいろな味つけがありましたが、実はところてんを一本箸で食べる習慣がある地域もあるんです!福島県の会津地方や岩手県、愛知県、三重県、新潟県、茨城県水戸市、徳島県の竹ヶ島などで、そういった食べ方をするのだとか。

ツルツルとしたところてんを一本箸で食べるのは難しそうに思えますが、実はそこに理由があるようです。

💡ワンポイント豆知識
ところてんを一本箸で食べるのには諸説あり、代表的なものは以下のようなものが挙げられます。
・鮮度を確かめるため(傷みやすいため、切れずに持ち上がるかを見る)
・2本箸では切れやすいから
・弘法大師の一本杖に由来
・箸が貴重だったため1本で出した
・ごはんと区別するため(ところてんはおやつだから)

地域によって食べ方が違うのは、食文化の面白さのひとつ。ところてんを一本箸で食べるという独特の風習からも、その土地ならではの知恵や暮らしぶりが感じられますよね。

ところてんの歴史

ところてんは中国から日本に伝えられた食べ物で、538年頃に精進料理の一環として、こんにゃくの製法とともに伝わってきたと考えられています。

庶民も食べる一般的な食べ物として広まったのは江戸時代で、当初はからし酢で食べていましたが、より旨味のある酢じょうゆに変わっていきました。

一方、ところてんが伝わってきた当時の都、関西では、貴族の間で砂糖が流行していましたが、砂糖はまだまだ高級品でした。のちに、沖縄産の黒砂糖が関西で出回るようになり、白砂糖より安価だったことから、黒砂糖を煮詰めた黒みつをかけるようになったといわれています。

甘味が流行した影響もあり、関西では黒みつをかけて食べる習慣が根づきました。一方関東(江戸)では「粋(いき)」を求める文化があり、そばなどの淡白な料理も流行っていたため、ところてんも甘い味つけより酢じょうゆで食べることが定着したと考えられています。

ところてんと寒天の違いとは

ところてんと似た食べ物に「寒天」がありますが、寒天の材料もところてんと同じ天草。実はところてんを凍らせて乾燥させたものが、寒天なんですよ。

寒天が作られるようになったのは17世紀頃。京都の伏見の旅館にて、客が食べ残したところてんを外に放置したところ、夜の間に凍ったものが昼間に溶けて乾燥した様子を宿主が見て、寒天の作り方を思いついたのだとか。

ところてんと寒天は材料は同じであるものの、製造の過程で寒天はミネラル分が少なくなり、ところてんのような磯の香りはほとんどなくなります。そのため、お菓子作りなどにもよく使われるのです。

ところてんのレシピをご紹介

さてここからは、ところてんのおすすめレシピをご紹介します。さっぱりとした味わいのところてんとトマトの和え物や、おやつやデザートにもぴったりのあんみつ風のところてんなど、バラエティ豊かなレシピをピックアップしました。ぜひチェックしてみてくださいね。

ところてんの中華サラダ

ところてんを使って、中華サラダを作ってみましょう。香ばしいごま油の香りとシャキシャキ食感のきゅうりがところてんによく合い、とてもおいしいですよ。火を使わず簡単に作れるので、暑い日のおかず作りにぜひ取り入れてみてくださいね。

ところてんとトマトのさっぱり和え

あと一品欲しいときにおすすめ!ところてんとトマトのさっぱり和えをご紹介します。甘酸っぱいトマトと白だしの旨味の相性がよく、ところてんのお気に入りの食べ方になること間違いなしですよ。ぜひお試しくださいね。

冷やしておいしい ところてんのガスパチョ風

和食のイメージのあるところてんですが、洋風のガスパチョ風アレンジはいかがでしょうか。トマトジュースを使った酸味と旨味のあるスープがツルツル食感のところてんに絡み、やみつきになるおいしさです。ぜひ作ってみてくださいね。

冷麺風 さっぱりところてん

暑い日のランチにもぴったり!冷麺風さっぱりところてんのご紹介です。白だしや酢を使ったさっぱりとした味わいのスープとピリ辛キムチがところてんによく合い、箸がどんどん進むおいしさ!お好みの具材をトッピングしてアレンジするのもおすすめですよ。

ところてんあんみつ風

一般的には寒天を使って作るあんみつですが、材料が同じところてんを使って作ってみましょう。甘酸っぱいフルーツや、コクのある甘さが魅力の黒みつがところてんと相性抜群!暑い日のおやつやデザートにぴったりですよ。

ところてんのいろいろな食べ方を試してみよう!

今回は、ところてんの地域ごとの食べ方の違いやところてんの歴史、寒天との違いについて解説しました。ところてんを甘くして食べることを初めて聞いた方や、逆におかずとして食べる地域があることに驚いた方もいたのではないでしょうか。ご紹介したレシピも参考に、ぜひいろいろな味つけでところてんを楽しんでみてくださいね。

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