最終更新日 2023.3.30

料理の作り方で「少々」とあいまいに書くのはなぜ?管理栄養士が解説!

料理の作り方で「少々」とあいまいに書くのはなぜ?管理栄養士が解説!

料理本や料理レシピでよく目にする「少々」などの表記ですが、なぜ曖昧な表現なのか、実際にどれくらいなのか疑問に思ったことはありませんか?そこで今回は、管理栄養士の辻本なみさんに「少々」や「適量」などの記載について詳しく聞いてみました!

Q.料理本や料理レシピの作り方で、「少々」や「ひとつまみ」などと曖昧に記載するのはなぜでしょうか?

辻本なみさん)料理レシピをみると、下味や料理の仕上げの調味料や食材の量が「少々」「適量」など曖昧に記載されていることがありますが、この表記には理由があります。

例えば、レシピ材料に「鶏もも肉1枚」「白菜1/2株」などと記載されていますが、その食材の大きさや重さはいつも同じではありません。

また、「加熱時間」「火加減」「鍋やフライパンの大きさ・材質」によって、同じように調理していても蒸発する水分量が異なります。このように、まったく同じ条件で料理を作ることが難しいため、「味を調整してください」という意図もあり、調味料などを「少々(適量)」と記載しています。

また、「少々」や「ひとつまみ」は小さじ1/4以下です。計量スプーンやデジタルスケールでは測りにくい、少ない量のときに、「少々」や「ひとつまみ」といった用語が使われています。

Q.具体的に「少々」はどれくらい?「ひとつまみ」「ひとにぎり」「ひとつかみ」は?

辻本なみさん)手の大きさには個人差があるため、測る量には差が生じますが、手ばかりは覚えておくと便利です!

塩やこしょうなどによく使用される「少々」は親指と人差し指の2本の先で軽くつまんだ量で、重さは約0.5gです。また、「ひとつまみ」は親指、人差し指、中指の3本の指の先でつまんだ量です。重さは約1g、小さじ1/5~1/6になります。

「ひとにぎり」は片手でにぎった量で、塩の場合、大さじ2ほどです。「ひとつかみ」は片手でつかめる程度の量で、出汁をとるときに使うかつお節などを測るときに使用されます。

Q.「適量」と「適宜」の違いは?

辻本なみさん)「適量」と「適宜」は同じような意味で使われることもありますが、実は少し違います。

「適量」はほどよい分量という意味です。ねぎやごまなどの最後のトッピングや、わさびやからしなど辛味のあるものに「適量」が使用されることも多いです。見た目や味の好みによって、自分が思う「ほどよい量」を使用します。ただし、調味料は一度にたくさん入れすぎてしまうと味が濃くなり修正が難しいため、様子を見ながら少しずつ加えるようにしてくださいね。

一方で、「適宜」はその状況に合わせて各自がよいと思う量です。好みによっては使用しなくてもよいという意味もあります。

Q.味つけで失敗しないコツや注意点はありますか?

辻本なみさん)料理初心者の方は、まずはレシピ通りに忠実に作るのがおいしく作るコツです。調味料を目分量で入れたり、計量スプーンの使用方法が間違っていたりすると、レシピ通りの味に仕上げることができません。計量は少し手間がかかりますが、正しく行うように心がけましょう。アレンジしたいときは、最後の味見の段階、または料理に慣れてからがおすすめです。

レシピに書かれている「火加減」や「加熱時間」にも注目!火加減は食感や見た目だけでなく、できあがりの料理の水分量にも影響を及ぼします。水分量が違うと元のレシピより味が濃くなりすぎたり、薄まってしまったりすることもあるので、まずはレシピに書かれている火加減通りに調理することを心がけましょう。

また、味見も重要なポイントです。レシピ通りに作ったとしても、食材の重さや調味料の塩分量などが少しずつ異なるため、最後に味見をして味を調えるのがおすすめです。

Q.ちなみに「強火」「中火」「弱火」「とろ火」の違いは?

辻本なみさん)先ほども少し触れましたが、加熱調理において、火加減は料理のおいしさに関わる大切なポイントです。

火加減を間違えると具材が焦げたり、水分が飛びすぎてパサついたり、生焼けだったりと、料理の出来に大きな影響を与えてしまうことも。適切な火加減での調理を心がけたいですが、実際にどのくらいが適切なのか、実はあまり知らないという方も多いのではないでしょうか?

実はガスコンロの場合、火加減はつまみの位置で調節するものではありません。ガスコンロでの火加減は「炎の大きさ」「フライパンや鍋の底への火の当たり方」で判断します。

強火は、コンロの炎がフライパンや鍋の底全体に勢いよく当たり、底全体を熱している状態のことです。お湯を沸かすときや中華料理の炒め物などによく使用されます。

中火は、炎の先がフライパンや鍋の底にちょうど当たる状態のことで、いちばん料理によく使われる火加減です。レシピ内に火加減が書いていないときは、基本的に中火で調理します。

弱火は、フライパンや鍋の底に火が当たらない状態のことです。焦げやすいものを炒めたり、煮物をじっくり煮込んだりしたいときに使用します。

とろ火は弱火よりさらに弱い火加減で、火が消えないぎりぎりの炎の状態です。長時間煮込む煮豆、保温や料理を温め直したいときに使う火加減です。

IH調理器具の場合は、目安として、強火(190〜200度)、中火(160〜180度)、弱火(150度)ぐらいです。調理をしながら、様子を見て火加減を調節してください。レシピ本に沿った火加減で、おいしい料理を作ってみてくださいね!

初心者さん向けのレシピをご紹介!

ここからは、誰でもおいしく作れる、初心者さんにおすすめのレシピをご紹介します。今回はめんつゆで味つけ簡単な、フライパンで作る肉じゃがをピックアップしました。普段の食卓にも役立つこと間違いなしのレシピなので、ぜひチェックしてみてくださいね。

めんつゆで簡単に作れる フライパンで肉じゃが

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フライパンを使って時短で作れる、定番おかずの肉じゃがのご紹介です。ホクホクのじゃがいもに食材の旨みがたっぷりと染みこんだ、ごはんのお供にぴったりな一品。味つけはめんつゆと砂糖のみなので、手軽に作れるところもうれしいですね。しらたきや絹さやをお好みで加えてもおいしく召し上がれますよ。ぜひ作ってみてください!

材料(2人前)

-----具材-----

  • じゃがいも (計300g)・・・3個
  • 玉ねぎ・・・1/2個
  • にんじん・・・80g
  • 豚こま切れ肉・・・150g
  • 水・・・200ml
  • めんつゆ (2倍濃縮)・・・150ml
  • 砂糖・・・大さじ2
  • サラダ油・・・小さじ2

作り方

準備.じゃがいもは芽を取り皮をむいておきます。にんじんは皮をむいておきます。

1.じゃがいもは一口大に切ります。にんじんは乱切りにします。玉ねぎは1cm幅に切ります。

2.中火で熱したフライパンにサラダ油をひき豚こま切れ肉を炒め、色が変わってきたら1、水を加え、強火で加熱します。

3.沸騰したらめんつゆ、砂糖を加え、弱火で20分煮込みじゃがいもがやわらかくなったら火から下ろします。

4.器に盛り付けて完成です。

料理用語の正しい意味やはかり方を知って、味つけ上手になろう!

今回は、料理レシピでよく目にする「少々」や「適量」などの記載について詳しく解説しました。それぞれの分量の正しい意味やはかり方を知っておくことで、普段の料理にも役立つこと間違いなしですよ。今回ご紹介したレシピとあわせて、ぜひ活用してみてくださいね。

監修:辻本なみさん

管理栄養士。二児の母。 クラシルやInstagramでは子どもやママのことを考えたシンプルえいようレシピを配信。 米粉・おから・オートミールを使った簡単おやつやごはんが得意。 仕事ではレシピ開発、コラム執筆等を行う。 管理栄養士namiのレシピブログ運営。

辻本なみさんのプロフィール

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