フランスの伝統菓子「ガレット・デ・ロワ」。アーモンドクリームを生地の中に入れて焼いたパイです。フランスでは、毎年1月6日のエピファニーで食べる習慣があるんですよ。この記事では、ガレットデロワが特徴や歴史のほか、食べる時期について解説します。おうちで作れるガレットデロワのレシピもぜひチェックしてみてくださいね。
フランスの伝統菓子「ガレットデロワ」とは?特徴や歴史、レシピもご紹介!
- 目次
- ガレットデロワとは?
- ガレットデロワはいつ食べる?
- ガレットデロワに欠かせないフェーブと王冠
- ガレットデロワによく似たお菓子「ピティヴィエ」
- ガレット・デ・ロワの材料と上手に作るポイント
- ガレット・デ・ロワのおすすめレシピをご紹介!
- ガレットデロワを作ってみよう!
ガレットデロワとは?
「ガレット・デ・ロワ(galette des rois)」とはフランスの伝統菓子のひとつ。パイ生地とアーモンドペーストで作られるシンプルなパイ菓子で、表面に「レイエ」と呼ばれる飾り包丁を入れた美しい模様が特徴です。このレイエには放射状の模様や月桂樹、麦の穂を模した模様などがあります。
近年は12月に入ると日本のパン屋さんやケーキ屋さんでも予約受付開始のお知らせを見かけることも増えましたよね。一体なぜこの時期に出回るのか、以下で確認してみましょう。
ガレットデロワはいつ食べる?
ガレット・デ・ロワは、キリスト教の行事である「エピファニー」を祝って食べられます。近年は宗教的な意味合いが薄れてきており、1月6日に限らず、1月に食べるお菓子として親しまれているようです。とくに【1月2日から8日の間の日曜】を中心に、新年に家族や友人が集まる席でよく食べられているのだとか。
そして、それがクリスマスの締めくくりでもあるのです。フランスのパン屋さんやお菓子屋さんでは、年が明けてすぐガレット・デ・ロワで埋め尽くされ、1月いっぱいはガレット・デ・ロワが並ぶ華やかな光景を見ることができるのだそうですよ。
ガレット・デ・ロワの食べ方
ちなみに、各家庭でガレット・デ・ロワを食べるときには、人数分に切り分けたあと、一番年下の子どもがテーブルの下に隠れ、誰にどの一切れを配るのか指示をするそうです。昔は、一緒に食べる人数より1つ多く切り分けて、その日その場にいられない人に捧げたり、貧しい人に分け与えたりすることもあったとも言われています。
ガレットデロワに欠かせないフェーブと王冠
さて、ガレットデロワには欠かせない大きな特徴が2つあります。それがフェーブと王冠です。それぞれどのような意味を持つのか、チェックしてみましょう。
フェーブ
ガレット・デ・ロワには「フェーブ(フェーヴ)」と呼ばれる小さな陶器が入っています。切り分けられたガレット・デ・ロワの中にフェーブが入ったものを引き当てた人は、これからの1年を幸せに過ごせると言われているんですよ。
ちなみにフェーブはフランス語で「そら豆」を意味しますが、これは昔、ガレットデロワにそら豆が使われていた名残なのだそうです。最近では安全性を考慮してアーモンドで代用することもあるのだとか。
王冠
王冠がのっているガレット・デ・ロワを見たことがある方も多いと思いますが、これにも理由があります。ガレット・デ・ロワはフランス語で「galette des rois」と書きますが、galetteは「丸く平たい料理」、roiは「王様」という意味なので、直訳すると「王様のガレット」ということになるのです。
その「王様」というのは、キリストの誕生をお祝いするためにベツレヘムに訪れた三博士「東方三賢人」の3人の王を指します。
フェーブを当てた人が王冠をかぶれる
上記の理由もあり、パン屋さんやお菓子屋さんでガレット・デ・ロワを買うと、紙でできた冠も一緒にもらえることが多いのです。ちなみにこの王冠は先ほど触れた「フェーブが入ったガレット・デ・ロワを当てた人のためのもの」でもあります。
フェーブを当てた人はその日1日、王様や王妃様になれるのでこの王冠をかぶれるのです。王冠は幸福を象徴するものともいわれているため、ガレット・デ・ロワには欠かせないアイテムのひとつとなっています。
ガレットデロワによく似たお菓子「ピティヴィエ」
フランスには、ガレット・デ・ロワのほかにも「ピティヴィエ」というパイ生地とアーモンドペーストを使った円形のお菓子があります。見た目も使われる材料も似ていますが、異なる点もいくつかあるのです。以下で確認してみましょう。
| 特徴 | ガレット・デ・ロワ | ピティヴィエ |
|---|---|---|
| 食べる時期 | 新年を祝うエピファニーに食べる |
一年を通して食べる |
| レイエの模様 | 放射状や月桂樹などの模様 |
「ロザス」と呼ばれるバラを模した放射状の模様 |
| フェーブ | 陶器製のフェーブやアーモンドが入っている |
フェーブは入っていない |
| 見た目の形 | ・背が低め |
・背が高い |
| クリーム | フランジパーヌ(アーモンドクリームにカスタードクリームを混ぜたもの) |
アーモンドクリーム |
食べる時期とフェーブの有無
まずは食べる時期です。ガレット・デ・ロワは新年を祝うエピファニーで食べるのに対し、ピティヴィエは食べる時期は決まっておらず一年を通して食べます。
また、ガレット・デ・ロワには陶器で作られたフェーブやアーモンドが一粒入っていますが、ピティヴィエには入っていません。
形やレイエの模様
見た目はガレット・デ・ロワは背が低めで、表面が平らでシンプルな印象です。一方、ピティヴィエは背が高く、表面がドーム型になっており、より立体感のある美しい形をしています。
さらに、レイエで表す模様にも違いがあります。ガレット・デ・ロワには特徴でも触れたように放射状や月桂樹などの模様がありますが、ピティヴィエでは「ロザス」と呼ばれるバラを模した放射状の模様を入れるのが一般的です。
生地のクリーム
最後に、クリームの違いです。ガレット・デ・ロワには、フランジパーヌ(アーモンドクリームにカスタードクリームを混ぜたもの)が使われ、豊かなアーモンドの風味とともに、やや軽めのクリーミーさを感じられます。
ピティヴィエは、アーモンドクリームがメインで、より濃厚でリッチな味わいが特徴です。このため、ピティヴィエはガレット・デ・ロワに比べて、少ししっかりとした食感と味わいが感じられます。
ガレット・デ・ロワの材料と上手に作るポイント
ガレット・デ・ロワの特徴がわかったところで、続いては冷凍パイシートと使った簡単なガレット・デ・ロワの材料や作り方のポイントをご紹介します。
🥧材料🥧
■フィリング
・無塩バター
・グラニュー糖
・アーモンドプードル
・溶き卵 (Mサイズ)
■生地
・冷凍パイシート (10×20cm)
・強力粉 (打ち粉)
・卵黄 (Mサイズ・塗る用)
■フェーブ
・アーモンド (無塩・ロースト)
下準備はしっかり!
パイシートは冷凍のまま無理に伸ばすと生地が割れてしまうため、あらかじめ解凍しておきましょう。アーモンドクリームに使う無塩バターも冷たく固いままだとクリームを作るときに分離してしまうので、常温に戻してやわらかくしておく必要があります。
生地の温度管理をする
作業中にパイ生地がやわらかくなってきたら、冷蔵庫に入れて冷やしましょう。生地(バター)が溶け出すと、パイの層がつぶれてきれいに膨らみません。また、生地が冷えて締まっている方が、表面の模様(レイエ)がきれいに描きやすいので、成形後やレイエを入れる前にしっかりと冷やすのがおすすめです。
パイシートに空気穴を開ける
焼いている最中に中のクリームから出る水蒸気を逃がすため、組み立てて生地に模様を描いた後、上にかぶせたパイ生地に竹串などでいくつか穴を開けましょう。これがうまくいかないと、蒸気の圧力でガレットデロワがいびつに膨らんだり、継ぎ目が破裂したりしてしまいます。模様の線の上や中心など、目立たないところに開けると見た目も気になりませんよ。
溶き卵で仕上げる
表面に美しい黄金色の焼き色とツヤを出すため、パイ生地には溶き卵を塗ってから焼いてください。溶き卵はツヤを出す以外に、上下のパイ生地を貼り合わせる接着剤の役割も果たし、焼いている間に中身が漏れるのを防いでくれます。オーブンから一度取り出して粉砂糖をふるいかけて再び焼くと、より美しい見た目に仕上がりますよ。
☝️ワンポイントアドバイス
本格的なガレットデロワは、フィユタージュ(パイ生地)を伸ばして折り、休ませるという作業を何回も繰り返して作られます。時間も手間もかかるので、おうちで作る場合は冷凍パイシートを使うのがおすすめです。
ガレット・デ・ロワのおすすめレシピをご紹介!
上記でご紹介したガレットデロワのレシピを動画でも確認してみましょう!冷凍パイシートを使えばおうちでも簡単に作れるので、ぜひ試してみてくださいね。
ガレットデロワ
濃厚な味わいのアーモンドクリームと、香ばしく焼けたパイが相性抜群!難しい工程はなく、とっても簡単にガレットデロワが作れます。このレシピでは上記でもご紹介した通り、フェーブの代わりにアーモンドを一粒入れました。ぜひ厚紙で王冠なども作って、ご家族やお友達と楽しんでみてくださいね。
ガレットデロワを作ってみよう!
今回は、ガレット・デ・ロワの特徴や歴史、ピティヴィエとの違いを解説。そしておすすめレシピをご紹介しました。見た目が美しく味がおいしいのはもちろん、中に忍ばせたフェーブが誰に当たるのか、占いも楽しめる魅力的なスイーツです。近年は日本の年明けにもよく見かけるようになりましたが、冷凍パイシートを使えば簡単に作れるので、ぜひ試してみてくださいね。
