甘い香りとさわやかな辛味が魅力のスパイス「ニッキ」。京都銘菓「八ツ橋」に使われているイメージはあるものの、具体的にどのようなものなのかはよくわからないという方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、ニッキの特徴や味のほか、ニッキと同じ原料から作られるスパイス「シナモン」との違いなどをご紹介します。
スパイス「ニッキ」とは?味やシナモンとの違い、使い方についても解説!
- 目次
- ニッキとは
- ニッキを使った代表的な食べ物をご紹介
- 原料は同じ!?ニッキとシナモンの違いとは
- 独特の風味がたまらない!八つ橋のアレンジレシピ
- ニッキは日本人となじみ深いスパイス!
ニッキとは
「ニッキ」とは、クスノキ科に属する「ニッケイ(肉桂)」という常緑樹の根皮から作られる香辛料のこと。
このニッケイは、中国原産の常緑高木で、英語名では「カシア(cassia)」と呼ばれています。主に中国やベトナムなどアジア圏を中心に温暖な地域で栽培されており、日本では展示用として、薬用植物園などの温室で栽培されているようです。
低温に弱いため、日本だと九州地方などでは栽培が可能だとも言われていますが、そもそもの生産数が少ないうえ、ニッキの原料となる「根の皮」は幹や枝に比べて成長速度が遅いことから希少性が高く、値段も高くなりやすいのだそうです。
そんなニッキの特徴は、甘くすっきりとした香りと強くさわやかな辛み。ほんのりと甘みも感じられます。
知る人ぞ知るレアな香辛料かと思いきや意外と身近な存在で、京都銘菓「八ツ橋」や昔懐かしの駄菓子「ニッキ飴」などにも使われているんですよ。
ニッキを使った代表的な食べ物をご紹介
特有の香りと風味のバランスが魅力のニッキ。先ほども少し触れましたが、ここでは、昔から親しまれてきた代表的な食べ物をご紹介します。
八ツ橋
ニッキを使った食べ物で最も有名なのが、京都銘菓「八ツ橋」です。米粉や砂糖、粉末にしたニッキを混ぜた生地を香ばしく焼き上げたお菓子です。
かた焼きせんべいのような食感に、甘い香りとピリッとした辛みが合わさり、独特のおいしさを楽しめます。
生八ツ橋
上記でご紹介した八ツ橋の生地を焼かずに蒸したものが「生八ツ橋」です。
カリッと香ばしい八ツ橋とは異なり、食感はもっちりやわらか。八ツ橋と同じようにニッキをまぶして、風味豊かに仕上げます。
ニッキ飴
昔懐かしい駄菓子のひとつ「ニッキ飴」。ニッキを練り込んだ飴は、一粒口に含むと清涼感が口いっぱいに広がります。
子どものころを思い出すような素朴な味わいで、大人になってからも根強いファンが多いんですよ。
ニッキ水
「ニッキ水」とは、ニッキの香料などから作られる清涼飲料水のこと。赤、緑、黄に染められたインパクト抜群の見た目とスパイシーな風味が人気を呼び、かつて駄菓子屋が充実していたころは、子どもたちの夏の飲み物として非常に重宝されていたそうです。
原料は同じ!?ニッキとシナモンの違いとは
「ニッキ」と香りや味わいがよく似ている香辛料に「シナモン」があります。この2つには、一体どのような違いがあるのでしょうか。
以下の表で、それぞれの特徴や違いを確認してみましょう。
| ニッキ | シナモン | |
|---|---|---|
| 原料 | ニッケイ(シナニッケイ)の根皮 |
セイロンニッケイやカシアの樹皮 |
| 風味 | 清涼感のある甘い香りと強い辛み |
マイルドで甘い香り、辛みは穏やか |
| 主な使い道 | 八ツ橋や駄菓子など和菓子 |
アップルパイや紅茶など洋菓子・飲料・料理x |
| 主な産地 | 日本・中国など |
スリランカ、中国、ベトナムなど |
表で概要を確認したところで、ここからはそれぞれの違いを項目ごとに見ていきましょう。
原材料の違い
ニッキもシナモンも原料が「クスノキ科ニッケイ属の植物」という点は同じです。異なるのは品種と加工される部分です。
先ほども触れたとおり、ニッキは「ニッケイ」や「シナニッケイ」の根皮を加工したスパイスですが、シナモンは「セイロンニッケイ」や「カシア」という品種の樹皮から作られます。
風味の違い
ニッキは清涼感のある甘い香りに加え、ピリッとした刺激的な辛みが特徴です。クセが強いため好き嫌いが分かれやすいですが、八ツ橋などの和菓子には欠かせません。
一方シナモンは辛みが控えめで甘さが際立ち、マイルドな風味。洋菓子や飲み物に合わせやすい万能スパイスです。
使い方の違い
シナモンは世界中で幅広く利用されており、アップルパイやシナモンロールなどの洋菓子はもちろん、チャイや紅茶、コーヒーなどの飲み物にも欠かせません。さらに肉料理や煮込み料理の風味づけとしても活躍する万能スパイスです。
一方ニッキは、八ツ橋や生八ツ橋をはじめ、駄菓子の飴や清涼飲料などに使われ、日本ならではの和菓子文化に深く根付いてきました。独特の辛みと香りが和の味わいを際立たせています。
独特の風味がたまらない!八つ橋のアレンジレシピ
最後に、八つ橋のアレンジレシピをご紹介します。そのままでも充分おいしくいただけますが、少しニッキを加えるとより本格的な味わいに仕上がりますよ。ニッキが手に入ったら、ぜひ試してみてくださいね。
餃子の皮で もちもち生八つ橋
おうちで作るのは難しいイメージのある八つ橋ですが、ぎょうざの皮を使えばとっても簡単!ゆであずきを包んだぎょうざの皮に、きなこや抹茶パウダーをまぶすだけで、もっちりおいしい八つ橋風のおやつができあがります。覚えておけば、普段のおやつはもちろん、余ってしまった餃子の皮を消費したいときにも役立ちますよ。ニッキやシナモンをまぶして、より生八ツ橋に近い味わいにチャレンジしてみてはいかがですか?
ワンタンの皮で かぼちゃのハロウィン生八つ橋風
ワンタンの皮で作る、かぼちゃあんの八つ橋はいかがですか。ほっこりとした甘みのかぼちゃあんをもちもちとした生地で包み、ついつい手が伸びてしまうおいしさです。シナモンシュガーとかぼちゃの相性も抜群ですよ。ぜひお試しくださいね。
ニッキは日本人となじみ深いスパイス!
スパイシーで甘い香りが魅力の「ニッキ」。八つ橋やニッキ飴などには欠かせない、日本人には馴染み深いスパイスでもあります。見かけたらぜひお手に取っていただき、今回ご紹介したレシピを試してみてくださいね。
