秋の味覚「あけび」。見た目はさつまいもにも似ていますが、どのような果物か知っていますか?スーパーなどではなかなか見かけないので、食べ方や味わいを知らない方も多いかもしれません。そこで今回は、あけびの食べ方や特徴について解説します!後半ではあけびの種類やおすすめレシピもご紹介するので、ぜひ最後までご覧くださいね。
【秋のフルーツ】あけびの食べ方とは?旬や特徴、種類についても解説!
- 目次
- あけびの【中身】の食べ方
- 果肉はそのまま食べるのが一般的
- 味わいと食感
- あけびの果肉の取り出し方
- あけびの【皮】食べ方
- あけびの種は食べられる?
- 雪国では「あけびの新芽」を食べることも
- そもそもあけびとはどんなフルーツ?
- あけびの旬はいつ?産地はどこ?
- あけびにはどんな種類がある?
- あけびの皮をおいしく食べられるレシピをご紹介
- 珍しい秋の味覚!あけびを食べてみよう
あけびの【中身】の食べ方
紫色の実が特徴的な秋の味覚「あけび」。見た目はさつまいもにも似ていますが、中身はゼリー状の果肉と、その中に黒い種がぎっしりと詰まっています。
なかなか食べる機会のない果物なので、食べ方がわからないという方も多いですよね。果肉はどうやって食べるのか、皮や種は食べられるのかなど、ここからはあけびの食べ方を確認してみましょう。まずは果肉の食べ方からです。
果肉はそのまま食べるのが一般的
あけびは完熟すると自然に皮が縦に割れ、中から乳白色の果肉があらわれます。その果肉をスプーンなどですくって、そのまま食べるのが一般的な食べ方です。
味わいと食感
中身はトロッとした食感で、ほんのり甘く、南国フルーツのようなやさしい風味が特徴です。人によっては、バナナや柿のような甘さを感じることもあるのだとか。ただ、ほんのりとしあ甘さで薄味なので、物足りなさを感じる方も多いようです。
あけびの果肉の取り出し方
皮がまだ割れていない場合は、後に割れる部分が線状に白っぽくなっているので、その周辺を指で軽く押して割るか、包丁でカットして果肉を取り出しましょう。
⭐️クラシルシェフのアレンジポイント⭐️
あけびの果肉は、冷やして食べるとよりおいしく食べられると言われています。ざるなどで果肉をこし、種を取り除いてから凍らせてシャーベット状にするのもおすすめなのだとか。ぜひ試してみてくださいね。
あけびの【皮】食べ方
あけびの皮は生のままだと苦味が強く、そのままでは食べられませんが、アク抜きなどの下処理をして加熱すれば、おかずに変身します!
天ぷらや佃煮、味噌炒め、肉詰めなどにして調理すれば、皮の苦味がうまみに変わり、立派なおかずになります。特に東北地方では皮を料理に使う食文化が根付いており、「秋の味覚」として親しまれているんですよ。バター醤油炒めなど、濃い味つけにするのがおすすめなのだそうです。
あけびの種は食べられる?
果肉の中には黒くて小さな種がたくさん含まれていますが、この種は食べられません。口に含んで果肉だけを食べて、種は出すようにしましょう。
まるごと飲み込んでしまわないよう注意しながら、すいかの種を出すような感覚で食べるとスムーズですよ。
雪国では「あけびの新芽」を食べることも
春に芽吹く「あけびの新芽」も関東以北から東北地方などで食べられています。あけびの新芽は「木の芽」とも呼ばれる山菜のひとつで、ほろ苦さとナッツにも似たコクのある味わいが魅力!ほんのりとハーブような香りもするそうです。
雪国など、寒い地域でしか食べられない貴重な山菜ですが、地元の人にはとても愛されている食材なのだとか。皮と同様にアクが強いため、アク抜きをしてから、天ぷらや炒め物にすることが多いです。ちなみに新潟県では、湯通ししたあけびの新芽にしょうゆをかけて、卵黄をのせて食べるのが定番の食べ方なのだそうですよ。
そもそもあけびとはどんなフルーツ?
あけびは、日本で古くから食べられている秋の果物のひとつです。先ほども触れましたが、その独特な見た目や山の恵みらしい素朴さから、特に東北地方などで親しまれてきました。ここでは、あけびの特徴や名前の由来などをチェックしてみましょう。
あけびの特徴
あけびは、日本の低山地に自生するアケビ科アケビ属のつる性植物です。長く伸びたツルが木に巻きつきながら成長し、秋になると細長い紫色の実をつけます。
果実の大きさは全長10cmほど。自然に熟すと、皮が縦に裂けて中の果肉が見えるようになるのが特徴です。
あけびという名前の由来
あけびという名前の由来にはいくつかの説があるようです。一つは、あけびは熟すと実が縦に裂け、パカッと口を開いたようになることから「開け実(あけみ)」と呼ばれ、それがなまったという説。
また、赤い実をつけることから「赤実/朱実(あかみ)」と呼ばれ、これもなまってあけびとなったという説があります。
そのほかにも、実が熟して口を開けた様子があくびをしているようだったことから「あくび」、それがなまってあけびとなったという説があるようです。いずれにしても、見た目が名前の由来になっていることがわかりますね。
💡ワンポイント豆知識
あけびには「木通(もくつう)」をはじめ、「通草」「丁翁」「山女」など、さまざまな漢字表記があります。
「木通」や「通草」は、ツルの中が空洞で空気が通る構造に由来するといわれており、乾燥させたツルは漢方薬としても使われているんですよ。
あけびの旬はいつ?産地はどこ?
もうすでに触れていますが、あけびの旬の時期や産地も改めて確認しておきましょう!
あけびの旬の時期
あけびの旬は、8月下旬〜10月中旬ごろ。秋のはじまりを感じさせる果物として、各地で出回り始めます。
熟すと自然にパカッと割れるあけびですが、裂けてしまうと商品価値が下がってしまうため、出荷用には「割れる直前」のタイミングで収穫されるのだそうです。そのため最盛期には、朝と夕方の2回に分けて収穫作業を行うこともあるのだとか。
あけびの産地
あけびは全国各地で自生していますが、一部の地域では栽培もされています。
全国の生産量の大部分を占めているのは山形県で、なかでも天童市や朝日市などが主要な産地とされています。山形県であけびは、秋の味覚の一つとして親しまれているんですよ。
あけびにはどんな種類がある?
あけびと聞いたら、多くの方がこれまでもご紹介してきたような紫色の果皮のものを想像するかと思いますが、実はあけびにはいくつかの種類があります。以下で、それぞれの特徴をご説明するので、チェックしてみましょう。
あけび
あけびは、楕円形の小さな葉が5枚ついているのが見分けるポイント。また、葉の縁はなめらかで、花のがくは淡紫色です。
日本では、東北地方の低地から九州にかけて、比較的暖かい気候で育ちます。
ミツバアケビ
ミツバアケビは名前の通り、葉が3枚あり、葉の縁はギザギザとしていて、花のがくは濃紫色をしています。
実はあけびより大きいものが多く、果皮の紫色もより鮮やかなのも特徴。見た目がよいので、農家などで栽培されているのはこのミツバアケビの場合が多いようです。
ゴヨウアケビ
ゴヨウアケビは、あけびとミツバアケビを交配した品種です。
両方の特徴が発現していて、実は薄茶色や薄紫色のものがあり、葉は3枚のものもあれば5枚のものもあります。種は多いですが果肉はねっとりとした食感で、最も甘みが強い品種だともいわれています。
ムベ(トキワアケビ)
ムベは、別名トキワアケビという名前がありますが、アケビ科ムベ属に属していて、あけびとは異なる種類の植物です。
赤紫色の果実をつけ、白っぽい色をしたゼリー状の果肉もあけびによく似ています。アケビとムベの大きな違いは「特性」です。アケビは落葉性のため熟すと果皮が割れますが、ムベは常緑性のため、熟してもあけびのようにパカッと割れることはありません。そのため、ムベは包丁などでカットして中の果肉を食べます。
白あけび
白あけびはバナナアケビとも呼ばれ、園芸用に改良された品種です。果皮が淡黄色で一房に複数個の実がつくこともあります。
あけびと同じく、熟すと皮がパカッと割れます。食べ方もあけびと同じです。
あけびの皮をおいしく食べられるレシピをご紹介
さてここからは、あけびの皮を使ったおすすめレシピをご紹介します。ごはんのおかずにぴったりの煮物と炒め物の絶品レシピをピックアップしました。ぜひチェックしてみてくださいね。
あけびの肉詰め煮
あけびの皮を使った肉詰め煮のレシピです。水につけてアク抜きをしたあけびの皮に肉だねを詰め、めんつゆを使って煮ました。ひき肉の旨味とあけびのほろ苦さがマッチして、クセになるおいしさですよ。ぜひお試しくださいね。
あけびとエリンギのめんつゆバター炒め
もう一つ、めんつゆを使った簡単レシピをご紹介します。あけびとエリンギに、めんつゆバターとニンニクの香りがよく染み、食欲をそそる味わい!ごはんのおかずにはもちろん、お酒のおつまみにもぴったりの一品ですよ。
珍しい秋の味覚!あけびを食べてみよう
今回は、あけびの特徴やおいしい食べ方、おすすめレシピをご紹介しました。あけびは日本で昔から親しまれてきた果物ですが、スーパーなどではなかなか見かけないため、食べたことがない方も多いかもしれません。通販や道の駅などで販売していることもあるので、見かけたらぜひ手にとって、秋の味覚を楽しんでみてくださいね。
