お蕎麦屋さんに行くと見かける「もりそば」や「ざるそば」。どちらも冷たいそばをつゆにつけて食べるものですが、この2つにはどのような違いがあるのでしょうか。よく聞くのは「海苔の有無」とも言われていますが、実はほかにも違いがあるんです!今回はもりそばとざるそばの違いについて、そばの原点に触れながら解説します。
「ざるそば」と「もりそば」の違いは海苔の有無だけではなく実はつゆも違う?それぞれの由来を解説
- 目次
- 蕎麦の起源と「盛りそば」の誕生
- 「ざるそば」の登場と海苔の有無による違い
- 盛り付ける器に違いがある?
- つゆの「甘辛」による味わいの違い
- 自宅で楽しむ!蕎麦のアレンジレシピ
- 盛りそば?ざるそば?そばの歴史と工夫を感じて楽しもう
蕎麦の起源と「盛りそば」の誕生
そばは、はるか昔から日本で親しまれてきた食べ物です。現在のように麺として食べられるようになったのは江戸時代からと言われています。特に江戸の町では、手軽なファストフードとして大流行しました。
この頃に生まれたのが、そばの最もシンプルな形である「盛りそば」です。茹でたそばを水でしっかり締めて器に盛り、つゆにつけて食べるスタイルは、そば本来の香りや喉越しを存分に楽しむための基本形として定着しました。
「ざるそば」の登場と海苔の有無による違い
盛りそばが定番となる中で、少し遅れて登場したのが「ざるそば」です。一般的には、江戸時代後期、東京・深川にあるそば屋さんが、竹製のざるにそばを盛り付け、さらに刻み海苔を散らして提供したのが始まりと言われているんですよ。
当時、海苔は高級品だったことから、ざるそばは盛りそばよりも「ちょっと贅沢で格上」のそばとして、あっという間に人気を集めました。
「盛りそば」と「ざるそば」の見た目の最大の違いは、まさにこの「刻み海苔の有無」にあります。ざるそばは海苔の香ばしさが加わることで、より豊かな風味を楽しめますが、盛りそばは海苔をのせず、そばそのものの純粋な味わいや香りをシンプルに楽しむスタイルなんです。
盛り付ける器に違いがある?
そばを盛り付ける器や提供方法にも、「盛りそば」と「ざるそば」では違いがあります。
盛りそばの器
盛りそばは、名前の通り「盛る」ことに由来し、平たいお皿や底が平らな丼ぶりなど、器に直接そばを盛り付けるのが一般的です。これは、そばの持つシンプルなおいしさを際立たせる提供方法と言えます。
盛りそばは、名前の通り「盛る」ことに由来し、平たいお皿や、底が平らな丼ぶりなど、器に直接そばを盛り付けるのが一般的です。これは、そばの持つシンプルなおいしさを際立たせる提供方法と言えます。
ざるそばの器
一方、ざるそばは、その名の通り竹製の「ざる」にそばが盛られます。ざるの下には水切り用の受け皿が置かれていることがほとんどです。ざるを使うことで、余分な水分が自然に切れ、よりつるりとした喉越しを保てるという利点もあります。見た目にも涼やかで、ざるそばならではのおもむきを演出してくれるんですよ。
つゆの「甘辛」による味わいの違い
「盛りそば」と「ざるそば」のもう一つの、そして最も明確な違いは、実は「つゆ」の味つけにあったんですよ。この違いには、そばつゆの甘さやコクを左右するみりんの有無やその配合量が大きく関わっていたといわれています。
ざるそばのつゆ
ざるそばのつゆは、刻み海苔の風味に負けないように、また上品さを出すため、盛りそばのつゆよりもみりんや砂糖を多めに使い、甘みを強く、だしをしっかり効かせていることが多かったのだそう。甘みを加え、だしの風味を活かすことで深みのある味わいとなり、海苔の香ばしさとの相性も抜群なんですよ。
盛りそばのつゆ
一方、盛りそばのつゆは、そばそのものの繊細な風味を最大限に活かすため、みりんや砂糖を控えめにし、醤油とだしのキレを重視した「辛口」に作られる傾向があります。これにより、そば本来の香りがより際立ち、すっきりとした後味を楽しむことができるんですね。またそばを少量だけつゆにつける「粋」な食べ方にも合うんです。
現在は、盛りそばとざるそばでつゆの味を変えているかはお店によってさまざまですが、本来はこの「甘辛」のバランスが、それぞれの蕎麦の魅力を引き出す大切な要素になっていたそうですよ。

自宅で楽しむ!蕎麦のアレンジレシピ
ざるそばと盛りそばの違いがわかったところで、おうちで楽しむ冷たいそばのアレンジレシピをご紹介します。
薬味たっぷり 一口ざるそば
いろいろな薬味と一緒にいただくざるそばのレシピのご紹介です。一口サイズにまとめることで食べやすく、見た目も華やかな一品。おもてなしにもおすすめです。
豚しゃぶおろしそば
冷たいそばに豚しゃぶと大根おろしをのせていただくぶっかけそばのレシピです。しっかりとしたボリュームがありながらも大葉の爽やかな風味と大根おろしのさっぱりとした味わいでスルスルといただける一品です。
冷製 トマトそば
和食のイメージが強い「そば」ですが、トマトとオリーブオイルで洋風のアレンジを加えるのもおすすめです。タレに加えたゆず胡椒がとてもいいアクセントになり、どんどんお箸が進むアレンジレシピです。
盛りそば?ざるそば?そばの歴史と工夫を感じて楽しもう
今回は、見た目はそっくりなのに実は奥深い「盛りそば」と「ざるそば」の違いをご紹介しました。海苔の有無だけでなく、盛り付ける器、つゆの味つけにも違いがあったのですね。この違いを少し意識してご自宅で蕎麦のアレンジレシピに挑戦したり、お気に入りのそば屋さんで「盛りそば」と「ざるそば」を食べ比べたりして、そばの魅力を再発見してみてはいかがでしょうか?
