お正月の定番料理として親しまれている「栗きんとん」。実は「おせち」と「和菓子」の2種類があることをご存じですか?同じ名前でも使われる材料や見た目、味わいは異なるのです。この記事ではそれぞれの栗きんとんの特徴や歴史、名前の意味について解説します。記事後半でご紹介するおうちで楽しめるレシピも必見ですよ!
「栗きんとん」は2種類ある?違いと由来、簡単レシピを解説
- 目次
- 栗きんとんは2種類ある
- 「おせち料理」の栗きんとん
- 「和菓子」の栗きんとん
- おせち料理としての栗きんとんの歴史
- 和菓子としての栗きんとんの歴史
- おせちの栗きんとんをおいしく作るコツ
- 和菓子の栗きんとんをおいしく作るコツ
- 栗きんとんのレシピをご紹介
- 異なるおいしさの栗きんとんを食べてみよう
栗きんとんは2種類ある
栗きんとんにはおせち料理として親しまれるものと、和菓子として楽しまれているものの2種類があります。まずは、それぞれの栗きんとんについて見ていきましょう。
「おせち料理」の栗きんとん
おせち料理の栗きんとんは、さつまいもなどで作った餡に栗の甘露煮を加えた、お正月の定番料理です。漢字では「栗金団」と書き、黄金色の見た目から金運や商売繁盛を呼ぶ縁起物として親しまれています。
くちなしの実で色づけされることもあり、鮮やかな黄色とつややかな見た目が美しく、お正月の食卓を華やかに彩る一品です。なめらかな餡と、ほっくりとした栗の食感の違いも楽しめます。
「和菓子」の栗きんとん
岐阜県の東濃エリアをはじめとする中部地方で親しまれているのが、和菓子の栗きんとんです。漢字では「栗金飩」と書き、茹でたり蒸した栗に砂糖を加えて練り、茶巾絞りにして仕上げます。
使う材料がシンプルなため、栗本来のやさしい甘さや豊かな風味を存分に味わえるのが魅力です。秋の味覚を感じられる和菓子として多くの人に親しまれています。
おせち料理としての栗きんとんの歴史
同じ「栗きんとん」という名前でも、おせち料理の栗きんとんと和菓子の栗きんとんでは、その意味や歴史が異なります。ここではそれぞれの由来をみていきましょう。まずはおせちの栗きんとんからご紹介します。
武士たちが縁起を担いで食べていた
おせち料理の栗きんとんには、主にふたつの由来があるとされています。ひとつめは「勝負運」にまつわるものです。戦国時代には、栗を乾燥させて殻や渋皮を取り除いた「搗栗(かちぐり)」が保存性と栄養価の高さから陣中食として活用されていました。
「かち」という読みが「勝ち」に通じることから、武士たちが縁起を担いで食べていたともいわれています。
商売繁盛や金運を願った
ふたつめは栗きんとんの名前や見た目に由来するものです。「金団(きんとん)」には「金の団子」や「金の布団」といった意味があり、黄金色の見た目は金塊や金の小判を連想させます。そのため、商売繁盛や金運を願う福食として親しまれたというものです。
このように「勝ち栗」とも呼ばれる搗栗(かちぐり)に由来する縁起のよさと、豊かさへの願いが重なることで、おせち料理の定番となったとされています。ちなみに現在親しまれているおせち料理のさつまいもの餡と栗を合わせた栗きんとんは、明治時代ごろに広まったようです。
和菓子としての栗きんとんの歴史
続いて、和菓子の栗きんとんの歴史や由来を確認してみましょう。和菓子の栗きんとんは岐阜県東濃地方、とくに中津川市周辺で発展したとされる伝統的な和菓子です。もともとは山栗を茹でたり焼くなどして食べていましたが、やがて加熱した栗をつぶして布巾で絞る現在の栗きんとんの原形が生まれたとされています。栗と砂糖のみで作るシンプルな和菓子で、栗本来の風味を楽しめるのが特徴です。
江戸時代には中山道の宿場町として栄えた中津川で茶の湯文化が広まり、お茶に合う菓子が求められるようになりました。そこで地元特産の栗を使った和菓子作りが発展し、栗きんとんも誕生したといわれています。
💡【ワンポイント豆知識】 9月9日の「重陽の節句」は「栗の節句」とも呼ばれ、古くから長寿を願って栗料理や栗菓子が食べられてきました。現在でも秋から冬にかけての栗の旬の時期になると、栗きんとんをはじめとした栗菓子を求めて各地から多くの人が訪れ、季節の味覚として楽しまれているんですよ。
おせちの栗きんとんをおいしく作るコツ
おせち料理の栗きんとんは、ちょっとしたコツを押さえるだけで見た目や食感がぐっとよくなります。ここでは鮮やかな色合いとなめらかな口あたりに仕上げるためのポイントをご紹介します。
くちなしの実は軽く割ってから使用する
栗きんとんをより鮮やかな黄金色に仕上げたいときは、「くちなしの実」を使うのがおすすめです。くちなしの実はそのままでは色が出にくいため、キッチンばさみや包丁の腹で軽く割ってから使用しましょう。
バラバラにならないようにお茶パックやガーゼで包み、さつまいもを茹でる際に一緒に加えると、きれいな黄色に色づきます。
☝️ワンポイントアドバイス
また、さつまいもは茹でる前に水にさらしてアク抜きをしておくのもポイントです。変色を防ぐだけでなく、えぐみや雑味を抑えられるため、すっきりとした味わいに仕上がりますよ。
「裏ごし」のポイント
なめらかな食感の栗きんとんを作るには、茹でたさつまいもが温かいうちに裏ごしするのがおすすめです。温かいうちは繊維がやわらかいので、きめ細かく仕上がるほか、さらに裏ごしすることで余分な筋や繊維が取り除かれ、口あたりもよくなります。
冷めると裏ごししにくくなるため、茹であがったら早めに作業してくださいね。また、裏ごし器を使う際は、木べらで奥から手前へ押しつけるようにするとスムーズにこせますよ。
☝️ワンポイントアドバイス
裏ごししたさつまいもは、砂糖やみりんなどの調味料を加えて練りあげます。全体にツヤが出て、木べらで鍋底をなぞったときに底がうっすら見えるくらいになったらできあがりの目安です。冷めると少し固くなるため、ゆるめに仕上げるのがポイントですよ。
和菓子の栗きんとんをおいしく作るコツ
和菓子の栗きんとんは栗と砂糖だけで作るシンプルなお菓子です。そのため、砂糖の量や成形の仕方によって仕上がりが大きく変わります。ここでは栗本来のおいしさを引き出すポイントをご紹介します。
砂糖の適切な分量
和菓子の栗きんとんのおいしさを左右するのが砂糖の分量です。栗の風味をしっかり味わいたい場合は、栗の中身の重さに対して砂糖を約20〜30%加えるのが目安とされています。砂糖が多いと甘さが前面に出てしまうため、控えめにすることで栗本来のやさしい甘みや香りを感じやすくなりますよ。
また、栗と砂糖を鍋で練る際は、焦がさないように木べらなどで混ぜながら加熱しましょう。砂糖が溶けて生地がしっとりとまとまり、なめらかな状態になったら火を止めて粗熱を取ります。
「茶巾絞り」のきれいな成形方法
栗きんとんらしい上品な見た目に仕上げるために「茶巾絞り」を丁寧に行いましょう。湿らせた布巾やガーゼ、またはラップの中央に小分けにした栗の生地をのせ、包み込むようにして上部を軽くひねります。続いて布を外して、親指と人差し指で上部を軽くはさんで浅いくぼみをつけると、栗の実のような形の仕上がりに。
布巾をしっかり湿らせておくことで生地がくっつきにくくなり、作業がしやすくなります。また、ひとつひとつ丁寧に成形することで、形の揃った美しい栗きんとんになりますよ。
栗きんとんのレシピをご紹介
栗きんとんの魅力やおいしく作るコツがわかったところで、ここからは栗きんとんのレシピをご紹介します。おせちの栗きんとんやアレンジレシピや、生栗から作る和菓子の栗きんとんのレシピをピックアップしました。旬の季節にぜひチャレンジしてみてくださいね。
おせちの定番 栗きんとん
さつまいもと栗の甘露煮で作る定番の栗きんとんをご紹介します。さつまいもと砕いたクチナシの実を一緒に煮ることで美しい黄金色に仕上がりますよ。なめらかな口あたりとやさしい甘さを楽しめる一品です。
生栗から作る 簡単手作り栗きんとん
生栗が手に入る季節にぜひ作りたい、和菓子の栗きんとんのレシピです。皮をむいた栗を茹でて、調味料と一緒にフードプロセッサーでなめらかに仕上げました。はちみつと少量のしょうゆのシンプルな味つけで、栗本来の豊かな風味を楽しめますよ。
おせちリメイク 栗きんとんのサンドイッチ
おせちの栗きんとんが残ったら、おしゃれなサンドイッチにアレンジしてみませんか?栗きんとんと水切りヨーグルトを合わせたら、サンドイッチ用の食パンにはさむだけ!ヨーグルトのコクと栗きんとんの上品な甘さがよく合いますよ。手軽に作れるので、ぜひ試してみてくださいね。
レンジで簡単 栗きんとん
電子レンジで作る簡単栗きんとんはいかがでしょうか。やわらかくなるまで加熱したさつまいもに、栗の甘露煮のシロップを加えるのでお砂糖いらず。火を使わずに短時間で作れるので、おせち料理にはもちろん、普段のおやつやお茶請けにもおすすめですよ。
異なるおいしさの栗きんとんを食べてみよう
今回は2種類の栗きんとんの特徴や歴史、それぞれの作り方のポイントの解説と、おすすめのレシピをご紹介しました。お祝いの席を彩るおせち料理の栗きんとんと、栗本来の風味を楽しめる和菓子の栗きんとん。同じ名前でも異なる魅力を持っています。それぞれ季節を感じられる一品なので、ぜひ見かけたら手に取ったり、作ってみてくださいね。

