お正月にかかせない「おせち料理」。エビや数の子、黒豆などひとつひとつに意味が込められていることを知っていますか?今回はお正月を迎える前に知っておきたい、おせち料理の意味や由来をご紹介します。記事後半では、おうちでも作りやすいおすすめのおせちレシピもご紹介しているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
おせち料理の意味と由来を解説!具材別の意味や重箱に詰める理由もご紹介
- 目次
- おせちの種類と意味
- 紅白なます
- 黒豆
- 数の子
- 田作り
- 栗きんとん
- 伊達巻
- 焼き魚
- エビ
- 昆布巻き
- 紅白かまぼこ
- 煮しめ
- なぜ重箱に詰められるようになった?
- 手づくりしたい!王道おせちのレシピをご紹介
- 一年に一度のおせちを存分に味わおう!
おせちの種類と意味
ひとつひとつの料理に意味がこめられた「おせち料理」。豪華にお祝いするためだけでなく、願いごとや縁起などが結びついています。まずはそれぞれどのような意味があるのか簡単にチェックしてみましょう。
| おせち料理 | 意味 |
|---|---|
| 紅白なます | 平和・平安 |
| 黒豆 | 無病息災・勤勉 |
| 数の子 | 子孫繁栄 |
| 田作り | 五穀豊穣 |
| きんとん | 金運上昇・勝負運 |
| 伊達巻 | 学業成就・文化発展 |
| 焼き魚 | 立身出世・お祝い |
| エビ | 長寿 |
| 昆布巻き | 不老長寿・子孫繁栄 |
| 紅白かまぼこ | 魔除け・清浄 |
| 煮しめ | 家族円満 |
このあと、上記で挙げた代表的なおせち料理の由来をご紹介します。どのような願いが込められているのか、さっそく見ていきましょう。
紅白なます
細切りや千切りにしたにんじんと大根を合わせて作る「紅白なます」は、平和や平安といった意味が込められています。細く切った大根やにんじんは祝袋でよく見かける縁起物の水引を見立てており、別名「水引なます」とも呼ばれるようです。
大根やにんじんは土中に根を張ることから「生活の基盤が安定する」「家の土台が揺るがない」という意味も込められており、家業の安泰や家族の繁栄を願っているともいわれます。
黒豆
ふっくらと煮あげた黒豆は、丈夫で健康に「まめまめしく」暮らせるようにという、健康長寿の願いがこめられています。黒い色は魔除けの色とされています。
関東ではシワが寄るように黒豆を煮ることが多いですが、これは「顔にシワが寄るまで長生きできるように」と願いが込められています。一方関西では、黒豆にシワが寄らないように煮ることが多く、これには「シワが寄らないようにいつまでも元気で長生きできるように」という願いが込められているのだとか。どちらにしても黒豆には「不老長寿」の意味も込められています。
💡ワンポイント豆知識
近年は、おせちに艷やかでふっくらとした見た目の黒豆煮が入ってることが多いですが、見た目の美しさから関東など全国的にもシワのない黒豆煮が好まれるようになってきたという理由があるようです。
数の子
ニシンの卵を調味液に漬け込んだ数の子は、数多くの卵がついていることから「子供がたくさん生まれますように」「代々栄えていきますように」という子孫繁栄や子宝を願いが込められた縁起物です。
さらに数の子の親魚「ニシン」には、素敵な語呂合わせの秘密があります。それは「ニシン=二親」。つまり、両親(父と母)が健在であることを意味し、無数の卵をもつ姿と合わせて「両親が元気で、多くの子宝に恵まれますように」という子孫繁栄の願いが込められているのです。家族の歴史を繋ぐ、お正月にふさわしい一品なんですね。
田作り
乾燥させたカタクチイワシを調味料で絡めて作る田作りは「五穀豊穣(ごこくほうじょう)」、つまり「豊作」を祈願する料理です。
魚なのに、なぜ「田作り」という名前なの?と不思議に思われるかもしれませんが、そこには日本の稲作の歴史が深く関係しています。江戸時代、カタクチイワシを田んぼの肥料にしたところ、お米が大豊作になった実話があり、そこから「田を作る魚」=「田作り」と呼ばれるようになったのだそうです。
💡ワンポイント豆知識
田作りは、別名で**「五万米(ごまめ)」とも呼ばれます。 これには、 小さな魚一匹を肥料にすると「五万俵(ごまんびょう)」ものお米が収穫できる、という意味が込められているのだそうです。
栗きんとん
甘く煮付けた栗を使ったきんとんの意味は「金運」と「豊かな生活」です。「財宝や豊かさが家に集まってくるように」という商売繁盛や金運上昇の願いが込められています。
きんとんは漢字で「金団」と書きますが、これには「金の団子」や「金の布団」、あるいは「金が集まる」という意味があります。また、栗の輝くような黄色が「黄金」や昔のお金である「小判」に見立てられており、 一年間、お金に不自由せず、豊かな暮らしができるようにという意味でおせちに入れるようになったのだそうです。
伊達巻
卵と魚ののすり身を混ぜて渦巻きのようにして作る卵焼き・伊達巻は、巻物に似ていることから「学問成就(がくもんじょうじゅ)」、「文化の繁栄」といった願いが込められています。
また「伊達」には「洒落た・見栄えのいい・派手な」という意味があるため「華やかで豊かな生活を送れるように」という願いも重なっているようです。
💡ワンポイント豆知識
ちなみに「伊達(だて)」という言葉の由来ですが、これは戦国武将である「伊達政宗」の軍勢が派手な衣装だったことから、目立つことやお洒落なことを「伊達」と呼ぶようになったのだそうです。
焼き魚
おせちに入る焼き魚は「ブリ(鰤)」と「タイ(鯛)」の2つが主流です。ブリは出世魚であることから「立身出世(りっしんしゅっせ)」、つまり仕事での成功や昇進を願う意味があります。とくに関西地方のおせちでよく見られるようで、照り焼きや西京焼きにしたものが入るようです。
タイの塩焼きもおせちでよく見かけますが、これは見た目の美しさと「めでたい」という言葉遊びから来ています。どちらも、新しい一年を晴れやかな気持ちで迎え、より高いステージへ進めるようにという願いが込められているのです。
エビ
おせちに入るエビには「長寿」の意味があります。丸く曲がった姿や長いヒゲがあることから「腰が曲がるまで長生きできるように」という願いがこめられているのです。
また、エビは加熱すると鮮やかな「赤色」になりますが、 赤は「縁起物」や「魔除け」象徴する色であり、お正月のおめでたい雰囲気を演出する華(はな)としての役割もあります。
💡ワンポイント豆知識
エビは漢字で海の老人と書いて「海老」と読みますよね。 昔の人は海老の姿から「海にいる長寿のおじいさん」を連想して、この字をあてたと言われています。
昆布巻き
ニシンの卵などを昆布で包んで煮付けた昆布巻きは3つの意味があると言われています。1つめは「よろこぶ」の語呂と合わせです。「一年を通じ、一家に喜び事が溢れるように」という願いが込められています。
また「養老昆布(よろこぶ)」という字を当てて「不老長寿」を願ったり、「子生(こぶ)」として「子孫繁栄」を祈る意味もあります。昆布巻きは、「喜びにあふれ(幸福)、いつまでも健康で(長寿)、家族が栄える(子孫繁栄)」といった、家族の幸せを全方位から願う縁起物なのです。
紅白かまぼこ
魚のすり身で作るかまぼこは、半円状の形が「日の出」に似ていることから「新しい始まり」を意味し、新年に相応しいとされています。紅白の紅は魔除けや喜び、白は神聖さを表しているともいわれ「魔除け・清浄(せいじょう)」の意味も込められているようです。
紅白かまぼこはは「悪い気を払い、清らかな心で、新しい一年の幕開け(日の出)を祝う」という、お正月の精神そのものを形にした料理なんですね。
💡ワンポイント豆知識
かまぼこをお重に詰めるときは**「右に紅、左に白」**と並べるのが一般的です。これは「右紅左白(うこうさはく)と呼ばれ 、右側が「陽(華やか)」、左側が「陰(静か)」とされる古代の考え方に基づいていると言われています。
煮しめ
根菜や鶏肉などを煮付けた煮しめには、縁起を担いだ食材をひとつの鍋で一緒に煮ることから「家族が仲良く結ばれ、末長く繁栄するように」という願いが込められています。
煮しめは、単にさまざまな食材を混ぜているだけでなく、以下のように一つ一つの具材にも深い意味があります。まさに「縁起物の集合体」なんですよ。
| 食材 | 意味 |
|---|---|
| 蓮根 | 穴が空いていることから「将来の見通しがいい」 |
| 里芋 | 親芋から小芋がたくさん増えることから「子孫繁栄」 |
| ごぼう | 土地に深く根を張ることから「家の土台が安定する」 |
| 手綱こんにゃく | 結び目がある形から「縁を結ぶ」や「手綱を締めて心を律する」 |
| 亀甲椎茸 | 亀の甲羅の飾り切りを施し「長寿を願う」 |
なぜ重箱に詰められるようになった?
3段の重箱に並んだ色とりどりの料理。今ではなじみ深いおせちのイメージですが、どのようなきっかけで重箱に詰められるようになったのでしょうか。
もともとは近畿・東海地方の習慣
もともとおせち料理の盛り付け方には地方ごとに特色がありました。実は重箱に詰めるのは東海や近畿地方の習慣。限られた地域のものだったのです。全国的には大皿盛りや銘々のお膳に並べるのが多数派でした。
デパートが重箱入りおせちを販売し広まった
そんな中、昭和の中頃になるとデパートや料亭が重箱に詰めたおせちの販売を始めました。それが雑誌などで紹介されたことがきっかけになり、おせちを重箱に入れる習慣が全国的に広まっていったのだそうです。
手づくりしたい!王道おせちのレシピをご紹介
ここからは、先ほど紹介したおせち料理の中から、作りやすい3品をご紹介します。柚子を丸ごと使った華やかな紅白なますや、ひとつの鍋で具材を煮込んだ煮しめ、蒸し黒豆で手軽に作れる黒豆など、真似してみたくなるレシピをピックアップしました。
柚子入り 紅白なます
ゆずが香る、紅白なますを作ってみましょう。紅白の色合いが鮮やかで、パッと食卓が華やぎます。大根とにんじんのシャキッとした食感が心地よく、やみつきになるおいしさ!くり抜いたゆずの果肉を絞って果汁も余すことなく使用するので、ゆずの風味が存分に味わえる一品です。おせち料理にはもちろん和食の副菜にもぴったりです。ぜひ作ってみてくださいね。
蒸し黒豆で簡単 黒豆煮
時短で作れる黒豆煮のご紹介です。このレシピでは、蒸し黒豆を使っているので手軽にお作りいただけますよ。薄皮が剥がれやすいため、弱火で煮るのがポイントです!水煮の黒豆でも代用できるので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
ひとつの鍋で お手軽煮しめ
煮しめは具材を別々に下ごしらえするのが一般的ですが、ひとつの鍋で一緒に煮込むことで手軽に作れますよ!風味のよい昆布とかつおの合わせだしが具材によく染みて、味わい深い一品になります。レンコンやにんじんを飾り切りにすれば、お正月にぴったり!華やかに仕上がりますよ。お正月らしい煮しめをぜひおいしく味わってくださいね。
一年に一度のおせちを存分に味わおう!
今回は、おせちに入れる料理の意味や由来、重箱に入れる理由など、おせちにまつわる豆知識をご紹介しました。一品一品にこめられた意味を知ることで、よりありがたくおせちをいただけますね。ぜひお正月の団欒で話題にしてみてはいかがでしょうか。
