「サワードウ」は小麦粉やライ麦粉と水を混ぜて発酵させて作る発酵種のこと。サワー種とも呼ばれる天然酵母の一種で、パン生地の自然な発酵を促してくれるんですよ。この記事では、サワードウの特徴や作り方、サワードウで作るのに向いているパンなどについて解説します。記事の後半では、おうちで作れるパンのレシピもご紹介するので、ぜひ最後までご覧くださいね。
発酵種「サワードウ」とは?特徴や魅力、作り方について解説!
- 目次
- サワードウとは?
- サワードウの特徴や魅力
- サワードウはどうやって作られる?
- サワードウで作るのに向いているパンは?
- パンレシピをご紹介!
- サワードウを使ったパンを食べてみよう!
サワードウとは?
「サワードウ」とは、小麦粉やライ麦粉に水を加えて、自然発酵させた天然酵母の一種で、「サワー種」とも呼ばれます。
現在ではパン作りに市販のイースト菌が使われるのが一般的ですが、イーストが普及する以前は、サワー種のような天然酵母を活かした発酵種が使われていました。 発酵種はじっくり時間をかけて発酵が進むため酵母や乳酸菌が多く含まれ、それらがパンの風味や食感を向上させるといわれています。
また、発酵過程で増えた乳酸菌や酵母には、腐敗の原因となる微生物などを不活性化し、防カビ・防菌効果も期待できるとされています。ルヴァン種やパネトーネ種など、地域やレシピによってさまざまな発酵種が使われていますが、サワードウはその中でも古くから世界中で親しまれてきた伝統的な製法のひとつです。
サワードウの特徴や魅力
サワードウを使ったパンは、一般的なパンとどのような違いがあるのでしょうか。以下で、味や食感、仕上がりの違いといった特徴を見てみましょう。
| 項目 | サワードウパン | 一般的なパン(イースト使用) |
|---|---|---|
| 使う酵母 | 天然酵母 | 市販のパン酵母(イースト) |
| 材料 | 小麦粉(またはライ麦粉) 水、塩などシンプル |
小麦粉、水、塩 砂糖、イーストなど |
| 発酵時間 | 長い(数時間〜1日以上) | 短い(1〜2時間程度) |
| 味 | ほんのり酸味があり 深い味わい |
酸味はなく シンプルな味 |
| 香り | 香ばしく 小麦の風味が引き立つ |
やや甘い香り |
| 食感 | 外はカリッと中はもっちり やや重たい |
ふんわり軽い食感 |
| 難しさ | 管理に慣れが必要 (スターターの維持など) |
初心者でも作りやすい |
材料や発酵時間
サワードウと一般的なパンでは、使う酵母や材料、発酵にかかる時間に違いがあります。
サワードウでは、小麦やライ麦に自然に存在する酵母や乳酸菌を育てて作る「天然酵母」を使用します。この天然酵母は発酵の力がゆるやかで、じっくりと時間をかけて発酵させる必要があります。また、サワードウは小麦粉やライ麦粉、水といったシンプルな材料から作られ、塩を加えることもあります。余計な材料を使わずに自然に発酵させるため、素材そのものの味を大切にしたい方にもおすすめです。
味
サワードウの「サワー」は「酸っぱい」という意味を持つことからもわかるように、サワードウには酸味があります。そしてサワードウを使ったパンも、ほのかに酸味を感じる味わいが特徴です。
この酸味はサワードウに含まれる乳酸菌が生成する「乳酸」によるもの。酢のようなツンとする酸っぱさではなく、まろやかな酸味で、パンに奥深い味わいをもたらします。
香ばしさ
サワードウを使ったパンは、こんがり香ばしく焼き上がるのが魅力です。天然酵母によってゆっくり発酵が進むことで、小麦本来の風味が引き出され、うまみや香りが深まります。発酵の途中で生まれる酸味も加わることで、より味わいに奥行きが出るといわれています。
食感
サワードウを使ったパンは、表面がカリッと焼け、中はしっとり、もっちりとした食感です。イーストを使ったパンよりも膨らみにくく、生地がギュッと詰まっています。ライ麦で作ったサワードウでは、プチプチとした歯ごたえも感じられますよ。
仕上がり
サワードウは、小麦やライ麦の表面に付着している酵母菌を培養させて作ります。そのため、サワードウを作る場所や温度、空気中に浮遊している菌の種類などによって、パンの仕上がりに違いが出るのも特徴です。
小麦粉との相性
サワードウには、小麦で作ったものとライ麦で作ったものがありますが、ライ麦で作った方がサワードウらしい酸味が出やすいです。小麦で作る場合には、製粉度合いの低い全粒粉に近い粉の方が、表面に付着した酵母菌が多いので作りやすいとされています。
ライ麦を使ったパンといえば、ドイツパンがよく知られていますが、ライ麦は小麦に比べてグルテンが少ないため、強い膨張力をもつイーストよりもゆるやかに発酵するサワードウが向いているといわれています。
サワードウはどうやって作られる?
サワードウの特徴がわかったところで、次はどのように作るのか、確認してみましょう。
必要な材料
先ほどもご説明しましたが、サワードウ作りには、小麦粉かライ麦粉(できれば全粒粉)と水を使います。
- 小麦粉 または ライ麦粉(全粒粉がおすすめ)
- 水
- 保存容器(ガラス瓶など)
作り方
① 1日目
保存容器に粉と水を入れ、よく混ぜる。新しい空気に触れさせるため、蓋はきっちり閉めずにのせる程度にする。
② 2日目以降(エサやり)
前日のものに、再び粉と水を加えてよく混ぜる。 これを1日おきに繰り返し、3日~1週間育てる。 泡が出たり、酸味のある香りがしてきたら発酵が進んでいるサインです。
③ できあがったら
サワードウはパン生地そのものではないので、小麦粉や水、塩など、ほかのパンの材料と一緒にパン生地作りに使用します。
サワードウで作るのに向いているパンは?
パンにもいろいろな種類がありますが、サワードウを使って作るのに適したものと、そうでないものがあります。ここでは、サワードウでおいしく作れるパンをご紹介します。
カンパーニュ
カンパーニュとは、フランスパンの一種で「田舎パン」という意味があります。地方や家庭によって材料や味わいが異なり、サワードウを使って作られることも。一般的な小麦粉だけではなく、全粒粉やライ麦粉を使ったものもあり、お店によって、また料理によってさまざまなこだわりを楽しめるのも魅力です。
チャバタ
チャバタは、イタリア語で「スリッパ」を意味する名前で、スリッパのような平たい形をしていることが由来です。バターや牛乳を使用せず、小麦粉と酵母、塩、オリーブオイルといったシンプルな材料で作られるのも特徴のひとつ。サワードウを使ってチャバタを作ると、シンプルな味わいながら、ほのかな酸味がプラスされ、より深みのある味わいに仕上がりますよ。
サンドイッチブレッド
サンドイッチ用のパン、サンドイッチブレッドにも、シンプルな味わいのサワードウはぴったりです。イーストで作ったパンとはまた違ったもっちりとした食べごたえのあるサンドイッチを作れますよ。
バゲット
フランス語で「杖」や「棒」という意味の名前のバゲット。細長い形をしたフランスパンで、表面のカリッとした食感を楽しめます。サワードウで作ると、表面の香ばしさが引き立ち、パン生地の味に深みが増しますよ。
ピザ生地
ピザ生地作りにもサワードウを使うことができます。モチモチとした食感と焼き目のカリッとした食感を楽しめますよ。
シナモンロール
サワードウを使ったシナモンロールは、シナモンの香りとサワードウの酸味がマッチしてとてもおいしいですよ。しっとりずっしりとした生地もよく合います。
キャロットケーキ
キャロットケーキは、すりおろしたにんじんを混ぜた生地をベーキングパウダーで膨らませて焼くケーキですが、サワードウを使って作ることもできます。しっとりとした食感が引き立ち、酸味がプラスされることで味わい深く仕上がりますよ。
パンレシピをご紹介!
さてここからは、サワードウを使ってよく作られるパンのレシピをご紹介します。ライ麦の風味を楽しめるシンプルライ麦パンや、とろけるチーズがたまらないチーズベーグルなど、絶品レシピをピックアップしました。ぜひチェックしてみてくださいね。
お手軽なのに本格的 手作りフォカッチャ
一次発酵だけで作れる、お手軽フォカッチャはいかがでしょうか。生地のほのかな甘みにハーブソルトがよく合い、とてもおいしいですよ。簡単な工程だけで作れるので、パン作り初心者の方にもおすすめのレシピです。
カンパーニュ
ふっくらとボリュームのあるカンパーニュを作ってみましょう。全粒粉の素朴な風味もとてもおいしく、どんな料理にも合いやすいパンです。スライスしてサンドイッチ作りに使うのもおすすめですよ。
お家で作る シンプルライ麦パン
ライ麦の風味がたまらない、シンプルライ麦パンのご紹介です。もちもちとした食べごたえのあるパンで、料理に添えたり、ジャムやクリームチーズを塗ったりと、いろいろなアレンジで楽しめます。ぜひお試しくださいね。
ドライフルーツとクリームチーズのライ麦パン
朝食やおやつにもぴったり!ドライフルーツとクリームチーズのライ麦パンをご紹介します。甘酸っぱいドライフルーツとねっとりクリーミーなクリームチーズが相性抜群!お好みのドライフルーツを使って、作ってみてくださいね。
とろーり チーズベーグル
とろーりとろけるチーズがたまらない、チーズベーグルはいかがでしょうか。コクのあるチーズに、ピリッと辛い黒こしょうがマッチしてクセになるおいしさ。焼きたてのとろけるチーズをぜひ楽しんでくださいね。
サワードウを使ったパンを食べてみよう!
今回は、サワードウの特徴や作り方、向いているパンについて解説し、おすすめのパンのレシピをご紹介しました。サワードウを使ったパンは、しっとりもっちりとした食感とほのかな酸味があり、イーストを使ったパンとはまた違ったおいしさです。ご紹介したレシピも参考に、ぜひパン作りにサワードウも取り入れてみてくださいね。
