「くず餅」とはどんな和菓子?わらび餅との違いや特徴をわかりやすく解説!

「くず餅」とはどんな和菓子?わらび餅との違いや特徴をわかりやすく解説!

涼し気な見た目と特有の食感がある「くず餅」。きな粉や黒みつをかけて食べることが多く、ほっとするような味わいも魅力の一つですよね。この記事では、くず餅の特徴や関東と関西での違い、くず餅とよく似たわらび餅との違いについて解説します。記事の後半では、くず餅やわらび餅のおすすめレシピをご紹介するので、ぜひご覧くださいね。

  • 目次
  • 「くず餅」とは?
  • 関東のくず餅
  • 関西のくず餅
  • くず餅とわらび餅の違いとは?
  • くず餅とわらび餅の食べ方とは
  • くず餅の歴史
  • くず餅やわらび餅のレシピをご紹介
  • 関東と関西、2つのくず餅を食べ比べてみよう!

「くず餅」とは?

ぷるんとした口当たりと涼し気な見た目で、夏のおやつにもぴったりの「くず餅」。

実は地域によって原料が異なり、特徴や呼ばれ方にも違いがあるんですよ。以下の表にくず餅の関東と関西での違いについてまとめたので、確認してみましょう。

地域  呼ばれ方 原料 特徴
関東

くず餅・久寿餅(くずもち)

小麦デンプン(発酵)

蒸して作る

関西

葛餅(くずもち)

葛粉(本葛)

火にかけて練り固める

関東のくず餅

関東のくず餅は、小麦デンプンである「うき粉」を乳酸発酵させたものが原料となっています。

乳酸発酵させたうき粉には発酵臭や酸味があるので、何度も水洗いをしたあとにお湯に溶かして型に流し入れ、蒸します。できあがったくず餅は白っぽく、四角や三角にカットするので、一見するとお餅のようです。

うき粉の発酵期間によって食感も異なるようですが、弾力のあるもっちりとした食感とほのかな酸味があるのが特徴で、和菓子で唯一の発酵食品ともいわれています。

💡ワンポイント豆知識
関東のくず餅は「くず餅」や「久寿餅」と表記されますが、実は関西の葛餅と区別するために表記を変えたといわれています。もともとは東京都・葛飾周辺で作られたため「葛餅」と名づけられましたが、久遠寺というお寺にちなんで「久遠餅」と書いたものが、いつの間にか「久寿餅」に変わったという説もあるんですよ。

関西のくず餅

関西ではくず餅は「葛餅」と書き、名前の通りマメ科の植物である葛の根から作った葛粉が原料となっています。

ただ、国産の葛粉は希少なため、外国産の葛粉や馬鈴薯澱粉(じゃがいものデンプン)、甘藷澱粉(さつまいものデンプン)、タピオカ澱粉(キャッサバ芋のデンプン)などを原料とすることが多いようです。

葛粉と水、砂糖を混ぜて加熱しながら、とろみがつき半透明〜透明になるまで火にかけながら練ります。それを型に入れて冷やすと、プルンとしたくず餅になるのです。

きな粉や黒みつをかけて食べるのは関東も関西も同じで、全国的には葛粉を使った関西のくず餅の方が多く食べられているようです。

くず餅とわらび餅の違いとは?

くず餅と似たお菓子にわらび餅があります。どのような違いがあるのか、以下の表で詳しく解説します。

比較ポイント    久寿餅(関東)   葛餅(関西) わらび餅
原料

小麦デンプン(発酵)

葛粉(本葛)またはデンプン

わらび粉またはデンプン

調理法

蒸す

火にかけて練る

火にかけて練る

食感

弾力がある、もっちりしている

つるんとしている、なめらか、弾力がある

もちもち、コシがある、とろけるような食感

味・香り

ほのかな酸味

味や香りはほとんどない

味や香りはほとんどない

見た目

白っぽく濁っている(乳白色)

半透明〜透明

黒っぽい、透明感がある

わらび餅は、関西のくず餅と見た目や作り方がよく似ていますが、材料や食感に違いがあります。

きな粉や黒みつをかけて食べる点は共通です。わらび餅の原料は、本来はわらびという植物の根から採った本わらび粉ですが、葛粉と同じように希少な食材のため、じゃがいもやレンコンのデンプンを代用しています。

くず餅とわらび餅の食べ方とは

これまでにもご説明してきましたが、くず餅もわらび餅も、きな粉と黒みつをかけて食べるのが一般的です。

市販のくず餅やわらび餅にはきな粉や黒みつが添付されているものが多いので、お好みでかけて食べてみましょう。抹茶をかけて食べることもあるようですよ。

関東のくず餅も関西のくず餅も、冷やすとかたくなります。好みにもよりますが、本来のくず餅らしい食感を楽しむには、冷やしすぎないよう食べる直前に冷やす程度にするのがおすすめです。

弾力のある食感が特徴の関東のくず餅は、小さく切ってドリンクに入れればタピオカ風に。ほのかな酸味を活かして、フルーツあんみつやクリームあんみつの餅としても使えますよ。スイーツとしてだけでなく、汁物や鍋の具材としても活用できます。

関西のくず餅やわらび餅は、和風だけでなく洋風にアレンジしても楽しめます。餅自体にコーヒーやココナッツミルクで風味をつけたり、ホイップクリームをトッピングしてもおいしいですよ。

くず餅の歴史

関東のくず餅と関西の葛餅は原料や作り方が異なる別の食べ物であるとご説明しましたが、その歴史にも違いがあります。

関東のくず餅は、江戸時代後期に現在の神奈川県川崎市にあたる大師河原村で生まれたといわれています。久兵衛という人物が納屋で保存していた小麦粉を大雨で浸水したままの状態で放置していました。

翌年飢饉にみまわれたときにそれを思い出し見てみたところ、小麦粉が発酵していたのです。強い発酵臭のため、そのままでは食べられない状態でしたが、臭いを消すために何日もかけて水洗いをし、蒸して餅を作りました。これがくず餅のはじまりとなり、飢饉の救世主となったと伝えられています。

一方関西の葛餅の発祥の時期はわかっていませんが、原料となる「葛」という名前は奈良県吉野地方の山間地に住んでいた「国栖人(くずびと)」が由来となっているそうです。国栖人は葛を薬草や穀物として売っていましたが、後に葛餅の原料となりました。

くず餅やわらび餅のレシピをご紹介

さてここからは、くず餅やわらび餅のおすすめレシピをご紹介します。本格的なくず餅やわらび餅のレシピから、電子レンジで簡単に作れる葛餅のレシピまで、絶品レシピをピックアップしました。ぜひチェックしてみてくださいね。

自宅で手作り 本格くず餅

関東風のくず餅のレシピです。葛粉と片栗粉、薄力粉で作った生地を蒸して固めたら、お好みの大きさにカットします。しっかりと噛みごたえのあるもっちりとした食感が魅力ですよ。ぜひ作ってみてくださいね。

電子レンジで簡単葛餅

電子レンジを使って簡単に作れるくず餅はいかがでしょうか。できあがった生地はスプーンで一口サイズにちぎりながら冷水に入れて冷やし固めるので、食べたいときにすぐに作ることができますよ。ぜひ挑戦してみてくださいね。

自宅で本格わらび餅

わらび粉を使った、本格的なわらび餅をご紹介します。もちもちでぷるんとした食感ときな粉のやさしい甘みがよく合い、とてもおいしいですよ。生地の材料を混ぜ合わせたら、一度濾すのがなめらかな口当たりに仕上げるポイント。おもてなしのお茶菓子にもおすすめですよ。

やわらか美味しい黒糖抹茶わらび餅

落ち着いた見た目で高級感のある黒糖抹茶わらび餅はいかがでしょうか。黒糖を練り込んだわらび餅に、抹茶パウダーと黒みつをかけました。黒糖や黒みつのコクのある甘みと、抹茶のほろ苦さがマッチし、深みのある味わいです。ぜひお試しくださいね。

関東と関西、2つのくず餅を食べ比べてみよう!

今回は、くず餅の関東と関西での違いや、わらび餅との違いについて解説し、くず餅やわらび餅のおすすめレシピをご紹介しました。どちらか片方のくず餅しか食べたことがないという方も多いと思うので、食べ比べをしてみるのも面白いですよ。ご紹介したレシピを参考に、ぜひおうちでも作ってみてくださいね。

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