甘辛いお揚げと酢飯の相性が抜群の「おいなりさん」。家庭でも作りやすく、身近な食べ物であるおいなりさんですが、その歴史や名前の由来をご存知ですか?今回は、おいなりさんと稲荷神社やきつねとの関係や歴史、初午いなりの日について解説します。おいしいおいなりさんの作り方もあわせてご紹介するので、ぜひチェックしてみてくださいね。
おいなりさんとは?由来や稲荷寿司との関係、作り方も解説!

- 目次
- おいなりさんとは?名前の由来をチェック
- いなり寿司の歴史
- 初午の日といなり寿司の関係
- いなり寿司の作り方
- 油揚げから煮る 手作りの三角いなり
- おうちで作れるいなり寿司のレシピをご紹介
- ごま香る簡単いなり寿司
- 大葉と梅のいなり
おいなりさんとは?名前の由来をチェック
「おいなりさん」の名前は、その名前からも想像できるように五穀豊穣のご利益がある稲荷神社が由来と言われています。そんな稲荷神の使いとされている動物といえば「きつね」ですよね。きつねの好物がおいなりさんのメイン食材でもある「油揚げ」であることは多くの人に知られていますが、なぜそのように言われているのか気になったことはありませんか?
実は、供物とされていたものは昔から豆腐の油揚げだったわけではなく、元々は、ねずみを油で揚げたものでした。諸説ありますが、その昔、ねずみは畑を荒らしてしまう厄介なものであり、そんなねずみを捕らえてくれるきつねに人々は感謝していました。そんな経緯から、きつねの好物であるねずみを揚げたものが供えられるようになりました。宗教上の理由もあり、その後、豆腐の油揚げを供物とするのが主流になったと言われています。
いなり寿司の歴史
先ほど、稲荷神社ときつねの関係について説明しましたが、現在「おいなりさん」と呼ばれ親しまれている「いなり寿司」はどのように生まれたのでしょうか。いなり寿司は、諸説ありますが、稲荷神社にお供えされている油揚げにごはんを詰めたものがはじまりだと言われているようです。発祥の地は、江戸や名古屋、愛知県豊川市の豊川稲荷の門前町などで、誕生したのは江戸時代とされています。江戸時代後期の風俗や事物が記された書物にいなり寿司が初めて登場し、特徴など記録が残っています。いなり寿司は安価でおいしく、当時から人気があったようです。幕末には、いなり寿司を販売する店なども登場し、こちらも人気を集めていたと言われています。
初午の日といなり寿司の関係
「初午の日」と聞いてもあまりピントこないかもしれませんが、立春後、最初にめぐってくる午の日のことを「初午」と言い、全国の稲荷神社では「初午大祭」が開催されています。この日は、稲荷大社にご祭神である宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)が降臨したとされる重要な日であり、大祭においては五穀豊穣や商売繁盛、無病息災などを願って、油揚げやいなり寿司がお供えされます。一年の中でもっとも運気が上がる日とされている初午の日には、福を願いながらいなり寿司を食べる習慣があるんですよ。現在では、2月11日が初午いなりの日として登録されており、日々の健康や実りに感謝し、幸せを祈願しながら油揚げやいなり寿司を食べるイベントなども開催され、盛り上がりを見せているようです。
いなり寿司の作り方
ここからは、定番のいなり寿司の作り方を確認してみましょう!今回は三角いなりに仕上げる方法をご紹介していますが、油揚げの切り方を変えれば俵型のいなり寿司も作れますよ。
①油揚げの下処理
まずは、油揚げを開いてごはんを詰めやすくするために、菜箸を油揚げの上で転がします。ななめ半分に切って袋状に開いたら、沸騰したお湯で油抜きをします。このとき油揚げを縦半分に切れば、俵型のいなり寿司に仕上がるのでお好みの形に切ってくださいね。
②油揚げの味つけ
ここからは、油揚げに味つけをしていきます。しっかりと水気を切った油揚げを砂糖、みりん、しょうゆなどで作った煮汁の中で10分ほど煮たあと、そのまま冷まして味を染みこませます。
③酢飯の準備
油揚げができたら、続いては酢飯を作ります。酢、砂糖、塩で作った合わせ酢を温かいごはんに回しかけ、うちわであおぎながらツヤが出てくるまで切りまぜます。仕上げに白いりごまを入れて混ぜれば、酢飯の完成です。
④油揚げに酢飯を詰める
油揚げと酢飯それぞれができあがったら、詰める工程に入ります。汁気を切った油揚げに酢飯を詰め、油揚げの口を閉じればおいしくて見た目も可愛いらしいいなり寿司の完成です。大葉やガリとともにお皿に盛り付ければ、おもてなしやお祝いの席にもぴったりな一皿に仕上がりますよ。
油揚げから煮る 手作りの三角いなり
おうちで作れるいなり寿司のレシピをご紹介
ここからは、おうちで作れるいなり寿司のレシピをご紹介します。油揚げの中に詰めるごはんやトッピングをアレンジすることで、さまざまないなり寿司を楽しむことができますよ!いなり寿司のレパートリーが広がるアイデアをチェックしてみましょう。
ごま香る簡単いなり寿司
いなり寿司を簡単に作りたい方におすすめなのが、市販のお稲荷さんの皮を使用して作る方法です。油揚げを煮る工程が省けて、酢飯を作って詰めるだけで完成する手軽さが魅力!いなり寿司作りのハードルが下がるので、日々の献立にも取り入れやすくなりますよ。
大葉と梅のいなり
酢飯をアレンジすれば、いなり寿司をさらに楽しむことができますよ!こちらのレシピでは、酢飯に大葉と梅を加えてみました。甘辛いお稲荷さんの皮に、大葉の風味と梅干しの酸味がぴったり!あえて酢飯が見えるように包むことで、見た目も華やかに仕上がります。
高菜のくるくるいなり
お稲荷さんの皮は中に酢飯を詰めて包む作り方が一般的ですが、こちらのレシピでは、お稲荷さんの皮を一枚に開き、その上に高菜入りの酢飯を広げてのせて巻き寿司のように巻いて仕上げました。一口サイズにカットしたサイズも食べやすく、高菜と甘辛い皮の組み合わせも相性抜群ですよ!
雑穀米でいなり寿司
酢飯に雑穀米を使用したいなり寿司はいかがでしょうか。酢飯に混ぜ込む具材は、白いりごまと甘酢漬けにした生姜のみとシンプルに仕上げています。白米で作るいなり寿司とは違った食感や味わいが楽しめますよ。
松前漬け入り いなり寿司
松前漬けのアレンジとしてもぜひ試してほしいのが、酢飯に松前漬けを混ぜ込んで作るいなり寿司です。お稲荷さんの皮の甘辛い味わいと松前漬けの味わいが絶妙にマッチした一品!松前漬けにはさまざまな具材が入っているので、旨味たっぷりのいなり寿司に仕上がりますよ。
シャキシャキレタスいなり
いなり寿司の具材としては意外な、レタスを使用して作るいなり寿司もおすすめです!新生姜と細切りにしたレタスを酢飯に混ぜ込みさっぱりとした味わいに仕上げました。レタスと新生姜の食感も楽しく、ついつい手が伸びますよ!
そぼろのオープンいなり
いなり寿司は、酢飯の包み方を変えることでトッピングをのせるなどアレンジもお楽しみいただけます。こちらのレシピでは、炒り卵の黄色が映えるそぼろをのせてみました。甘辛い味つけの油揚げと具材がさっぱりとした酢飯と相性抜群です!見た目も華やかなのでパーティーメニューなどにもおすすめですよ。
さまざまなおいなりさんを楽しもう!
おいなりさんは、お供え物からはじまり、今や全国的に愛される存在になりました。油揚げの皮の中にごはんを詰めるというシンプルな食べ物だからこそ、さまざまなアレンジも楽しめ、ますます魅力的な食べ物へと進化しつつあります。初午の日には、今回ご紹介したレシピを参考にしていただき、あらためておいなりさんを楽しんでみてはいかがでしょうか。