「大寒(だいかん)」とは二十四節気のうちのひとつで、一年で最も寒いと言われている期間です。2025年の大寒は1月20日から節分までとなります。この記事では大寒とはどのような日なのか、意味や由来に加え、行事や習慣について解説。さらに大寒卵や寒仕込みなど、この時期に旬を迎える食べ物やレシピもご紹介します。
2025年の大寒はいつ?縁起がよいとされる「大寒卵」についても解説!

- 目次
- 2025年の大寒はいつからいつまで?
- そもそも大寒とは
- 旧暦では立春は一年の始まりで節分が大晦日だった
- 大寒の前の二十四節気は「小寒」
- 寒仕込みは大寒の習わし
- 寒の水を汲む
- 寒仕込み
- 大寒卵ってなに?大寒の時期に旬を迎える食べ物もご紹介
2025年の大寒はいつからいつまで?
2025年の大寒は 1月20日(月)〜2月2日(日)。立春の前の日である節分までです。
本来節分と聞くと2月3日を思い浮かべる方がほとんどですが、2024年が閏年(うるうどし)だったため、2025年の立春が2月3日にずれこみます。よって、その前の日にあたる節分も1日前倒しとなり、大寒も平年より1日短い2月2日までとなるので間違わないように注意してくださいね。
そもそも大寒とは
「大寒」とは二十四節気のひとつであり、文字の通り、一年で最も寒いと言われる期間を指します。二十四節気というのは古代中国で生まれたとされる暦で、日本にも伝わってきました。一般的に季節は「春」「夏」「秋」「冬」の4つに分けられますが、二十四節気はよりわかりやすく季節の移り変わりを感じられるように各季節をさらに6つに分けたもので、今回テーマである大寒のほか、12月の冬至や2月の立春なども含まれます。また、大寒は「大寒に入るその日のことのみ」を指す場合もありますが、実は15日間(閏年の場合14日間)設けられています。
旧暦では立春は一年の始まりで節分が大晦日だった
二十四節気の上では、先ほど少し触れた「立春」が春の始まり且つ一年の始まりとされているため、大寒はそこから数えて24番目にあたる季節、つまり一年を締めくくる最後の期間ということになるのです。
ちなみに、先ほどから触れてきていますが、立春の前の日が豆まきや恵方巻などでおなじみの節分です。立春が一年の始まりであるということからわかるように、旧暦で節分は大晦日にあたる日だったということになります。そう考えると、一年の締めくくりである節分の行事が現在でも当たり前に行われている理由がわかりますよね。
大寒の前の二十四節気は「小寒」
大寒を説明するうえでもう一つ覚えておきたい二十四節気の暦があります。大寒の前にやってくる「小寒(しょうかん)」です。小寒の始まりから大寒が終わるまではおよそ30日間あり、その期間のことを「寒の内(かんのうち)」や「寒中(かんちゅう)」「寒(かん)」と呼びます。
また、小寒に入る日のことを「寒の入り(かんのいり)」、そして大寒の最終日は「寒の明け(かんのあけ)」と呼び、一年のうちで一番寒い時期が終わることを表しています。その後、立春を迎え、春がやってくるのです。
寒仕込みは大寒の習わし
「寒仕込み(かんじこみ)」という言葉を聞いたことがある方も多いかと思いますが、これは大寒の時期に行われる習わしのひとつなんですよ。以下で、寒の内の期間中に行われる行事や習慣について確認してみましょう。
寒の水を汲む
寒の水(かんのみず)とは、一年の中で一番寒い寒の内の期間中に汲まれた水のことを指します。この時期に汲まれる水は手が痺れるほど冷たく清らかで、昔から神秘的な力があると言われてきたのだそうです。飲むと体によいとされていたほか、この時期の水を汲み置いて料理などに使う家庭もあったようです。
ちなみに、寒の内の9日目の水は「寒九の水(かんくのみず)」と呼ばれ、とくに効能があるとされていたのだとか。「この水で薬を飲むと長寿の助けになる」とも言われていたため、大切に飲まれていたのだそうですよ。
寒仕込み
寒仕込みとは、上記で触れた寒の水を使って醤油や味噌、酒などを仕込むことをいいます。厳しい寒さの中で汲まれた寒の水は、冷たさが極まっていて不純物が少なく雑菌が繁殖しにくいため、腐りにくいと言われてきたのだそうです。また、口あたりがやわらかく発酵もゆっくり進むため、質の高いものに仕上がるとも言われています。
醤油や味噌、酒だけではなく、高野豆腐(凍み豆腐)や寒天などもこの時期に仕込むのが最もよいとされているんですよ。
大寒卵ってなに?大寒の時期に旬を迎える食べ物もご紹介
皆さんは「大寒卵(だいかんたまご)」という言葉を聞いたことはありますか?これは大寒が始まる日に生まれる卵のことを指し、食べるとよいとされる縁起物なんです。大寒卵以外にも、大寒に作られたものや旬を迎えた食べ物はそれぞれ栄養価が高くおいしいとされ、昔から大切に食べられてきました。以下でいくつかご紹介するので、ぜひチェックしてみてくださいね。
大寒卵
大寒卵とは、大寒の初日に生まれた鶏卵のことを指します。現在では技術の進歩により、温度管理された鶏舎で一年中卵を産むことができるようになりましたが、昔はそうではありませんでした。
鶏は本来、冬には卵を産まない生き物です。冬に入る前には寒さに耐えるため、餌をたくさん食べて水分はあまり取らずに栄養を蓄えます。そして、冬本番を迎えると卵を生まずにじっとしていたのだそうです。そのため、寒い時期に卵を産むことは稀でした。このような理由もあり、大寒の時期に生まれる卵は貴重で栄養価も高く、縁起のよいものとされてきたのです。
冬に入る前に蓄えていた栄養がぎゅっと凝縮された大寒卵は「無病息災」や「健康運」、また黄身の色が濃いことから「金運アップ」の願いも込められているのだそうですよ。近年はスーパーや百貨店、通販などでも大寒卵が予約販売されていることもあるので、気になる方はぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
寒餅
寒の水で炊いた米を使ってついた餅、もしくは大寒の時期についた餅のことを「寒餅」といいます。寒の水には神秘的な力があると言われていたため、この水を使って作られる食べ物はありがたく、大切に食べられてきたのだそうです。
また、先ほど触れたように寒の水は不純物が少ないと言われていたため、ほかの季節に作る餅よりも保存性が高まると考えられていました。当時は、ついてから冷え固まった餅を薄くスライスして紐で吊るし、約1ヶ月間寒風にさらしてしっかりと乾燥させ作られていたそうです。保存食として重宝され、特に農家の人々のおやつとして親しまれていたのだとか。今でもこの方法で寒餅を作っている地域やメーカーがあり、通販などでも購入が可能なので、ぜひ機会があったら手にとってみてくださいね。
寒蜆
蜆(しじみ)は淡水で採れる二枚貝で、一年中手に入りますが、旬は冬と夏の年2回。とくに1〜2月の大寒の時期に採れる蜆は、寒い冬を超えるためにしっかりと栄養を蓄えているため、旨味が増すと言われています。
寒海苔
12〜2月の限られた時期にしか採取できない「寒海苔」。なかでも、1〜2月の大寒の時期に採れる海苔は磯の香りが強く、とくに味がよいと言われています。シンプルにおにぎりにしたり、ごはんにのせて食べるのがおすすめなのだとか!生産量の少ない貴重な海苔のため、この時期にまとめて購入するリピーターも多いようです。
甘酒
大寒は一年のなかで最も寒い時期。代謝を促進したり、血行をよくするビタミンB群が含まれている甘酒は、体を温めてくれると言われておりよく飲まれていたのだそうです。甘酒には酒粕で造るタイプと米麹で造るタイプがありますが、ビタミンB群が多く含まれているのは酒粕タイプなのだとか。
ちなみに、甘酒は体を温める飲み物として昔から親しまれてきたこと、さらに大寒の時期によく飲まれてきたことから、毎年1月20日は「甘酒の日」と大手製菓会社によって制定されています。
恵方巻
先ほど少し触れましたが、旧暦では立春が現在のお正月にあたり、節分が現在の大晦日に当たる日でした。その節分に食べられるものといえば「恵方巻き」です。大寒の最後の日でもある節分に「歳徳神(としとくじん)」いわゆる年神様がいる方角を向きながら太巻きを食べる習慣があります。新たに始まる一年の無病息災や幸運を祈りながら無言で食べるのがよいとされているんですよ。
クラシルでは恵方巻きについても詳しくご紹介しているので、ぜひそちらも合わせて参考にしてみてくださいね。
大寒に行われる行事や習慣はあるの?
続いて、大寒の期間中に行われる行事や習慣についてご紹介します。
寒中見舞い
一番親しみのある習慣が「寒中見舞い」ではないでしょうか。季節の便りのひとつで、寒さが厳しい時期、大切な人の健康を気遣ってはがきを送ることを指します。また、1月7日以降に年賀状の返信を送るときにも使われます。
寒稽古
寒の内の時期に武道やスポーツ、芸事などの修練を行うことを「寒稽古」といいます。この寒稽古は「寒ければ寒いほどよい」とされていて、あえて一日のうちで一番寒いとされる朝方の時間帯に稽古を行い、技術の向上だけでなく、精神を鍛錬するという目的もあるのだそうです。また、寒中水泳も同じ目的で行われます。
寒行
寒行は、厳しい寒さに耐えて修行することです。そのうちのひとつに寒垢離(かんごり)というものがありますが、これは寒の内である小寒から節分までの約1ヶ月間、水浴びや滝行などを行い、心身を清めて神様や仏様に祈願することを指します。寒さに耐えることによって心身ともに鍛えられるとされていることから「寒の内に始める習い事は上達する」とも言われているんですよ。
卵を使ったおいしいレシピをご紹介!
最後に卵を使ったおいしいレシピをご紹介します。大寒の時期によく食べられる食材と組み合わせたレシピをピックアップしました!ぜひ大寒卵を使って作ってみてくださいね。
しじみの中華風スープ
しじみと卵で作る中華風スープのご紹介です。しじみは旨味が強いので、味つけに使う調味料は鶏ガラスープの素としょうゆだけで十分おいしく仕上がります。溶き卵を加えることでまろやかな味わいになりますよ。ぜひスープのレパートリーに加えてみてくださいね。
ふわふわ卵のキンパ
恵方巻きにもおすすめ!錦糸卵をたっぷり使ったキンパはいかがでしょうか。このレシピでは錦糸卵のほか、にんじんやほうれん草のナムルとツナマヨも具材にして、満足度の高い一品に仕上げました。一口でさまざまな風味や食感を楽しめますよ!ぜひ試してみてくださいね。
甘酒を使ったフレンチトースト
フレンチトーストは本来卵と牛乳を使いますが、このレシピでは牛乳の代わりに甘酒を使い、さっぱりとした味わいに仕上げました。ふんわりと焼き上げたフレンチトーストはやさしい甘さで、ぺろりと食べられますよ!お好みで粉糖やはちみつ、メープルシロップをかけて召し上がってください。
一年で一番寒い時期「大寒」もおいしいものを食べて乗り切ろう!
今回は二十四節気のひとつ「大寒」について解説しました。大寒という言葉自体にそこまで馴染みがなくても、大寒の期間に行われる行事や食べ物の名前は馴染み深いものが多かったですよね。一年で一番寒い時期となりますが、大寒ならではの食材を取り入れて厳しい寒さを乗り切りましょう!
