兵庫県明石市発祥の郷土料理である「明石焼き」。卵で作った生地の中にタコが入っている料理で、たこ焼きのルーツとも言われています。この記事では、明石焼きの特徴や作り方、たこ焼きとの違いなどについて解説します。記事の後半では明石焼きのおいしいレシピもご紹介しているので、ぜひ最後までご覧くださいね。
兵庫県の郷土料理「明石焼き」とは?たこ焼きとの違いやおいしい食べ方についても解説!
- 目次
- 明石焼きとは?
- 明石焼きとたこ焼きの違いは?
- 明石焼きの作り方は?
- 明石焼きのおいしい食べ方は?
- 明石焼きのレシピをご紹介!
- おうちで明石焼きを作ってみよう!
明石焼きとは?
「明石焼き」とは、卵を使ったふんわりとした生地にタコを入れて焼き、だし汁に浸してつけて食べる料理です。タコの漁獲量の多い兵庫県明石市発祥の郷土料理で、地元では「玉子焼」とも呼ばれ、親しまれています。
明石焼きがどのように生まれたかには諸説ありますが、江戸時代末期から明石で作られていた「明石玉」が明石焼きの発祥に関係しているといわれています。
「明石玉」とは、かんざしなどに使われていた球状で朱色の装飾品。高価なサンゴに似せて作った模造サンゴですが、現在は作られていません。当時、江戸から明石に来たべっ甲職人が、割れた卵の白身が寒さで固まっているのを発見し、それをヒントに卵白や硝石を使って明石玉を作ったといわれています。
そんな明石玉が人気となり卵白がたくさん使われると、卵黄が余るようになりました。そこで、卵黄と小麦粉、さらに明石でたくさん獲れるタコを使った明石焼きが生まれたのだそうです。
明石焼きとたこ焼きの違いは?
生地の中にタコを入れて焼く料理といえば、たこ焼きがよく知られていますよね。明石焼きとたこ焼きはどちらも半球状のくぼみのある焼き型を使って焼くので、見た目もよく似ています。
実は、たこ焼きは、明石焼きからヒントを得て作られたといわれているんです。昭和初期、大阪には「ラジオ焼き」や「チョボ焼き」と呼ばれる小麦粉で作った生地にこんにゃくやすじ肉、エンドウ豆を入れた料理がありました。そこに来た客から「明石ではタコを入れている」と聞き、タコも入れてみたところ大人気となり、大阪名物のたこ焼きが生まれたといわれています。
そんな明石焼きとたこ焼きの違いについて、以下でチェックしてみましょう。
生地
たこ焼きの生地は小麦粉と卵を使いますが、小麦粉が主体です。そのため、生地はかためで、丸いボール状に焼きあがります。
一方、明石焼きの生地も卵と小麦粉を使いますが、それに加えて「じん粉」が使われます。じん粉とは小麦デンプンを精製したもので、加熱してもかたくならない性質があります。その性質により、明石焼きはやわらかくふんわりとした食感に仕上がるのです。また、卵をたっぷり使うことも、ふんわりとした食感を与えるポイントとなっています。そして焼きあがった明石焼きは、平たく潰れた形をしているのも特徴です。
具材
たこ焼きには、タコのほかに紅生姜やねぎ、天かすなどを入れますが、明石焼きはタコのみです。
鍋
たこ焼きと明石焼き、どちらも半球状のくぼみのある型に入れて焼くことは共通していますが、その型を作っている素材に違いがあります。たこ焼きは鉄製などのたこ焼きプレートを使いますが、明石焼きでは銅製の天板。銅製の天板は熱伝導率が非常に優れている特徴があり、それによって、明石焼きのやわらかくふわふわとした食感が生まれるのです。
食べ方
焼きあがったあとの食べ方にも違いがあります。たこ焼きはソースやマヨネーズを塗り、かつお節や青のりをトッピングして食べます。
明石焼きはかつおや昆布からとっただし汁に浸して食べます。もともとは何もつけずに食べていたようですが、熱々の明石焼きでやけどをしないよう、だし汁につけて食べるようになったのだとか。
盛り方
また、盛りつけ方にも違いがあります。たこ焼きは舟形の器に盛りつけます。舟形にたこ焼きを並べることで、個々のたこ焼きが見やすく、美しく盛り付けられますよ。
明石焼きは「あげ板」という赤い板状の器にのせます。明石焼きはやわらかいので、崩れないよう銅鍋を逆さにしてあげ板にうつすのだそうです。そしてこのあげ板に盛りつけることから、明石焼きのお店では「1枚、2枚」と注文するんですよ。
明石焼きの作り方は?
ふわとろの明石焼き、ぜひ食べてみたいですよね!ここでは、明石焼きの作り方をご紹介します。
まずはつけ汁を作りましょう。かつおや昆布からとっただし汁に薄口しょうゆを加え、味を調えます。
生地の材料は、小麦粉とじん粉、卵、だし汁です。ふるった小麦粉とじん粉をだし汁と混ぜ、そこに溶いた卵を加えます。生地を熱した銅製のたこ焼き用天板に注ぎ、1cm角ほどに切ったゆでだこを1個ずつ入れましょう。箸や竹串を使って形を整えながら丁寧にひっくり返し焼きあげて、あげ板にのせてください。
できあがった明石焼きは、旨味たっぷりのだし汁に浸しながらいただきましょう。だし汁は温めても冷やしてもおいしく食べられますよ。
明石焼きのおいしい食べ方は?
先ほど、たこ焼きはソースをかけて、明石焼きはつけ汁につけて食べるとご説明しましたが、明石焼きでもお店によってはソースや塩が用意されていることもあります。ソースをかけてからだし汁につけると、ソースの甘みやスパイシーな風味が加わり、また違ったおいしさを楽しめます。
また、だし汁に三つ葉を入れると、シャキシャキとした食感とさわやかな風味がプラスされ、上品な味わいに。ぜひ試してみてくださいね。
明石焼きのレシピをご紹介!
さてここからは、明石焼きのおすすめレシピをご紹介します。カニカマを使って手軽に作れる明石焼きや、ホタテの旨味がたまらない中華風明石焼きのレシピもピックアップしたので、ぜひチェックしてみてくださいね。
フワトロおいしい明石焼き
まずはオーソドックスな明石焼きのレシピをご紹介します。生地がやわらかいのできれいに返すには少しコツが必要ですが、卵の香りのするふわとろの生地とプリプリ食感のタコ、旨味たっぷりのつけ汁は相性抜群!ぜひ作ってみてくださいね。
お手軽に明石焼き
カニカマを使って、手軽に明石焼きを作ってみましょう。間違いない組み合わせのカニカマと卵に旨味たっぷりのつけ汁とねぎの風味がよく合い、いくつでも食べられるおいしさ!つけ汁には白だしを使うのでとても簡単に作れますよ。
ホタテ入り中華風明石焼き
ホタテの旨味がたまらない、中華風明石焼きはいかがでしょうか。タコの代わりにボイルホタテを使い、つけ汁は鶏ガラスープや塩こしょうで味つけをしました。ごま油の香りをプラスしたやみつきになる味わいで、お酒のおつまみにもぴったりですよ。
おうちで明石焼きを作ってみよう!
今回は、明石焼きの特徴やたこ焼きとの違い、おいしい食べ方などについて解説し、おすすめレシピをご紹介しました。ふわとろ食感がたまらない明石焼きを食べられるお店は、兵庫県明石市には約70軒あるのだとか。お近くに明石焼きを食べられるお店がない方も、今回ご紹介したレシピを参考に、ぜひおうちで作ってみてくださいね。

