韓国料理の人気メニューであるヤンニョムチキンの「ヤンニョム」とは一体どういうもので、どのような意味があるのでしょうか。この記事では、ヤンニョムの味わいや使われる材料、ほかの調味料との違いについて解説します。記事の後半では、ヤンニョムを使ったおすすめレシピもご紹介するので、ぜひ最後までご覧くださいね。
ヤンニョムってなに?他の調味料との違いや、おすすめの食べ方についても解説!
- 目次
- ヤンニョムとは
- ヤンニョムの由来
- ヤンニョムに使われる主な食材
- ヤンニョムの種類
- ヤンニョムとタテギの違い
- ヤンニョムを使う料理には何がある?
- ヤンニョムのレシピをご紹介
- ヤンニョム料理を作ってみよう!
ヤンニョムとは
「ヤンニョム」とは、韓国料理で使う合わせ調味料のこと。単に料理の味つけに使う合わせ調味料という意味だけではなく、薬味や香辛料なども含め、味つけするものの総称として使われている言葉です。
ソース、漬けダレ、煮物の煮汁など、さざままなものが「ヤンニョム」と呼ばれています。
ヤンニョムの由来
ヤンニョムは漢字だと「薬念」と書きますが、その由来には諸説あります。材料の一つである塩が薬のように高価だった、また「薬を念頭に置いた調味料」という意味があるのだとか。
韓国には古くから「医食同源」という思想があり、おいしさだけではなく健康によいことも重要視されたという背景があるようです。
ヤンニョムに使われる主な食材
ヤンニョムの材料に決まりはなく、各メーカーや各家庭によって異なります。以下で、よく使われている主な調味料や食材を見てみましょう。
| 材料 | 辛味 | 旨み | 甘み | コク |
|---|---|---|---|---|
| コチュジャン | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
| テンジャン (韓国のみそ) |
◯ | ◯ | ◯ | |
| カンジャン (韓国のしょうゆ) |
◯ | ◯ | ◯ | |
| コチュカル (唐辛子粉) |
◯ | ◯ | ◯ | |
| 塩 | ◯ | |||
| ごま油 | ◯ | ◯ | ||
| ニンニク | ◯ | ◯ | ◯ | |
| 生姜 | ◯ | ◯ | ||
| 水飴 | ◯ | ◯ | ||
| 砂糖 | ◯ | ◯ | ||
| ごま | ◯ | ◯ | ||
| 塩辛 | ◯ | ◯ | ◯ | |
| 果物 | ◯ | ◯ | ◯ | |
| 野菜 | ◯ | ◯ | ◯ |
コチュジャン
コチュジャンは、米や麹、塩、唐辛子で作った唐辛子みそです。辛みと甘みが感じられるのが特徴で、そのままビビンバや焼肉に添えたり、タッカルビ(鶏肉と野菜の炒め物)の味つけなどに使われます。
テンジャン(韓国のみそ)
テンジャンは、主に大豆を原料とする韓国の伝統的な調味料です。韓国式の味噌汁「テンジャンチゲ」などに使われます。特有の香りがあり、日本の味噌とは違って煮立たせるほど風味が強くなるのが特徴です。
カンジャン(韓国のしょうゆ)
日本でいう醤油のことで、こちらも韓国の伝統的な調味料です。日本の薄口醤油と同じように使える「クッカンジャン(汁醤油)」、長期間熟成させた甘みが強めの「チンカンジャン(陳醤油)」、刺身醤油など熱を加えずそのまま食べるのがおすすめの「ヤンジョカンジャン(醸造醤油)」、主にこれら3つのカンジャンが韓国の家庭で使われているようです。
コチュカル(唐辛子粉)
コチュカルとは唐辛子の粉のことを指します。日本で一般的に使われる一味唐辛子や七味唐辛子とは異なり、甘みがあって辛味が穏やかなのが特徴です。キムチを始めとする韓国料理には欠かせない調味料です。
水飴
水飴はヤンニョムに甘みを加えるための調味料です。水飴と聞くと屋台のフルーツ飴や駄菓子屋さんで見かけるような、粘性のあるどろっとしたものを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、韓国の水飴は液体状でサラッとしています。日本だとオリゴ糖で代用することが多いようです。
塩辛
塩辛は、ヤンニョムの味の決め手と言っても過言ではないほど重要な食材です。韓国ではアミと呼ばれる小さなエビやイワシを塩漬けにして発酵させたものがよく使われるます。このアミの塩辛を加えることでヤンニョムがさっぱりとした味わいに仕上がるのだとか。一般的なスーパーにはなかなか置いてありませんが、韓国食材店などでは取り扱いがあるのでぜひチェックしてみてくださいね。
果物
果物は主に梨やりんごが使われます。果物を入れる理由はさまざまですが、砂糖や水飴の量を抑えられるほか、キムチの場合は果物の持つ性質によって発酵が促されるという理由もあるのだとか。ヤンニョムの水分量を調節しないといけなくなるので、果物は水分の少ないものを選ぶのがよいようです。
⭐️クラシルシェフのアレンジポイント⭐️
よく使われるのは梨やりんごですが、このほかにもイチゴやいちじく、柿、バナナ、パイナップルなども使われます。季節によって果物の旬も異なるので、時期によって変えるのもおすすめです。
ヤンニョムの種類
ヤンニョムは一般的に赤い色の辛い調味料を指すことが多いですが、先ほどご紹介した食材の組み合わせによって、味わいや辛さなどの個性が出ます。なかにはコチュジャンを使わない醤油ベースの茶色いタレなどもあるのです。
また、一般的なコチュジャンや唐辛子を使うヤンニョムもただ辛いだけではなく、果物の甘みや、ごま油のコク、香味野菜の風味などが加わった深みのある味わいのものが多いんですよ。材料さえあれば自宅でも作れるので、ぜひ自分好みのヤンニョムを作ってみてくださいね。
ヤンニョムとタテギの違い
韓国には、ヤンニョムに似ている「タテギ」という調味料もあります。ヤンニョムとは違う調味料といわれていたり、ヤンニョムの一種といわれていたりと曖昧ではありますが、明確にヤンニョムと異なる点もあります。
ヤンニョムは先ほどご紹介した食材を合わせた調味料ですが、タテギは唐辛子とコチュジャンをベースにニンニクや生姜、ねぎ、ニラなどの香味野菜を叩いたペーストが入るのが特徴です。ヤンニョムは主に野菜や肉の味つけに使われることが多いですが、タテギは鍋や麺などの味つけやタッカンマリの薬味として使われます。
そのほかにも炒め物や焼肉のタレなど、幅広い料理に使える万能調味料なのです。
ヤンニョムを使う料理には何がある?
ヤンニョムと聞くと、衣をつけて揚げた鶏肉にヤンニョムを絡めた「ヤンニョムチキン」を思い浮かべる方も多いですよね。鶏肉の旨味と甘辛いヤンニョムが相性抜群で、味つけによってはお子様でも食べられるため人気があります。
日本ではヤンニョムチキンが有名で、それ以外の使い方はあまりメジャーではありませんが、ヤンニョムは肉だけではなく魚介類や野菜など、さまざまな食材によく合う調味料です。ヤンニョムで味つけした豚肉を焼いて食べる「ヤンニョムテジカルビ」、揚げたり焼いたじゃがいもにヤンニョムを絡める「ヤンニョムポテト(ヤンニョムカムジャ)」なども人気があります。
⭐️クラシルシェフのアレンジポイント⭐️
ちなみに一時期、ASMR動画で人気だった料理に焼いたえのきにヤンニョムを絡めて食べる「ヤンニョムえのき」というものがありました。ヤンニョムの旨みはもちろん、えのきのシャキシャキとした食感も楽しめるのでぜひ試してみてくださいね。
ヤンニョムのレシピをご紹介
さてここからは、ヤンニョムを使ったおすすめレシピをご紹介します。定番のヤンニョムチキンから、パパッと作れるヤンニョムキャベツまで、バラエティ豊かなレシピをピックアップしました。ぜひチェックしてみてくださいね。
やみつき ヤンニョムチキン
片栗粉をまぶして焼いた鶏もも肉にコチュジャンやしょうゆ、砂糖、すりおろしニンニクなどを混ぜ合わせて作ったヤンニョムを絡めました。しっかりとした味つけで、ごはんのおかずはもちろん、お酒も進む味わいですよ!フライパン一つで作れるのもうれしいポイントなので、ぜひ作ってみてくださいね。
手羽元の旨辛ヤンニョムチキン
こちらは鶏手羽元を使ったヤンニョムチキンのレシピです。鶏手羽元の唐揚げにヤンニョムを絡めた旨味たっぷりの一品!ニンニクの香りと粉唐辛子やコチュジャンの辛みで、やみつきになるおいしさに仕上がっています。辛さはお好みで調節することもできますよ。ぜひお試しくださいね。
がっつり旨辛 ヤンニョムポーク丼
食べごたえのある、ヤンニョムポーク丼はいかがでしょうか。角切りにした豚肩ロース肉を炒め、甘辛いヤンニョムを絡めました。ごはんがモリモリ進む味わいで、大満足間違いなしの一品です。
丸ごとエビのヤンニョム唐揚げ
箸が止まらないおいしさ!エビの唐揚げもヤンニョムで味つけしてみましょう。殻つきの香ばしいエビの唐揚げに、甘辛いヤンニョムがよく合います。お酒のお供にもぴったりなので、ぜひレパートリーに加えてみてくださいね。
簡単旨辛 ヤンニョムキャベツ
あと一品欲しいときにおすすめのヤンニョムキャベツは、覚えておくと便利ですよ!ざく切りにしたキャベツをコチュジャンや一味唐辛子で、しょうゆなどを混ぜ合わせたヤンニョムで和えるだけのスピードレシピ。和えてから時間が経つとキャベツから水分が出てしまうので、ヤンニョムの濃厚な味わいを楽しみたい方は食べる直前に和えるのがおすすめです。
ヤンニョム料理を作ってみよう!
今回は、ヤンニョムの特徴やほかの調味料との違い、ヤンニョムを使った料理やおすすめレシピをご紹介しました。甘辛くて濃厚な味わいが魅力のヤンニョムですが、組み合わせる材料やバランスによって味わいが変わり、さまざまなアレンジを楽しめます。今回ご紹介したレシピも参考にしていただき、自分好みのヤンニョムを作ってみてくださいね。
