鶏肉と根菜を炒めて煮込む福岡県の郷土料理「がめ煮」。全国的には「筑前煮」と呼ばれる定番の煮物料理ですが、呼び名の違いで迷ったことはありませんか?この記事ではがめ煮の特徴や由来に加え、筑前煮との違いやおいしく作るコツを解説します。記事後半ではおすすめのレシピもご紹介!ぜひ最後までチェックしてくださいね。
福岡の郷土料理「がめ煮」と「筑前煮」はどう違う?おいしいレシピもご紹介
- 目次
- がめ煮と筑前煮は何が違う?
- がめ煮と筑前煮の違い
- 名前の由来
- がめ煮の特徴
- がめ煮はどんなときに食べる?
- がめ煮・筑前煮をおいしく仕上げるコツ
- 煮物のレシピをご紹介
- 福岡の郷土料理がめ煮を作ってみよう!
がめ煮と筑前煮は何が違う?
福岡県の郷土料理であるがめ煮と筑前煮は材料や作り方、味わいがとても似ている料理ですが何か違うところはあるのでしょうか。ここでは両者の違いとそれぞれの名前の由来を解説します。
がめ煮と筑前煮の違い
がめ煮と筑前煮は、どちらも鶏肉と根菜などを炒めた後に出汁や調味料を加えて煮込む福岡県を代表する郷土料理です。名前は異なりますが両者の作り方や味つけに大きな違いはなく、基本的には同じ料理を指します。ただし、使用する食材にはちょっとした違いが見られることも。
がめ煮では骨なし鶏肉のほか骨付き鶏肉を使う場合があり、具材を大きめに切る場合もあります。一方、筑前煮では骨なしの鶏肉を使うのが一般的です。
名前の由来
がめ煮という名前の由来には諸説あります。ひとつは博多弁で「寄せ集める」を意味する「がめくりこむ」からきているという説です。ほかには豊臣秀吉の朝鮮出兵(文禄の役)の際、兵士たちが「どぶがめ(スッポン)」と、ありあわせの食材を一緒に煮込んで食べたことにちなんだともいわれています。実際に昔は博多湾で捕れるウミガメの肉を使うこともあったようです。
また、福岡県内では「がめ煮」の名前で知られていますが、全国的には「筑前煮」と呼ばれています。これは筑前国(現在の福岡県)の郷土料理として筑前煮の名前で学校給食に取り入れられたことがあり、これが広まるきっかけとなりました。
がめ煮の特徴
がめ煮は鶏肉とさまざまな種類の根菜を炒めて煮込むことで素材の旨みを引き出す料理です。ここでは主な食材や作り方などの特徴を見ていきましょう。
がめ煮に使う食材
がめ煮には鶏肉とにんじんやごぼう、里芋、レンコンなどの根菜のほか、タケノコ、こんにゃく、椎茸など食感や風味の異なる食材を使うのが特徴です。いろいろな食材が合わさることで、自然と栄養豊富で食べ応えのある一皿に仕上がります。また、最後に絹さややいんげん、木の芽などを添えると、お祝いの席やお正月料理にもふさわしい彩り豊かで華やかな見た目に。
💡ワンポイント豆知識💡
地域によっては具の種類を奇数にしたり生姜を加えたりと、使う食材は季節や地域、各家庭によってもアレンジされています。
がめ煮の作り方と味わい
がめ煮の最大の特徴は
具材を煮込む前に油で炒めること
です。最初に鶏肉を炒めて香ばしい焼き色をつけ、そこにほかの具材を加えて全体を炒め合わせます。こうして油の膜で具材を包むことで煮崩れを防ぎ、同時にアクも出にくくなるのです。さらに香ばしさとコクが加わって料理全体の風味が増します。炒めた後に干し椎茸の戻し汁にしょうゆや砂糖、みりんといった調味料を加えて煮込みます。甘じょっぱい煮汁がじんわりとしみ込んだ具材は、噛むほどに旨みが広がりほっとする味わいです。
がめ煮はどんなときに食べる?
福岡県の家庭に深く根付いているがめ煮は、お祝い事から日々の食卓までさまざまなシーンで親しまれています。ここではがめ煮が登場する具体的な場面を見ていきましょう。
お正月
がめ煮は福岡県のお正月に欠かせないおせち料理の定番です。家族や親族が集まる新年の食卓に、具だくさんで彩りも美しく栄養豊富ながめ煮はぴったり。少し濃い目に味つけして冷蔵保存しておけば、再加熱して数日間楽しめる点もおせち料理として重宝されます。
お祭り
地域のお祭りにもがめ煮は欠かせません。特に福岡を代表するお祭り「博多祇園山笠」では多くの人に振る舞われ、祭りの賑わいを一層盛り上げます。人々が集まってがめ煮を囲む光景は、地域の絆を深める大切な時間となっています。
結婚祝いの席
結婚式のようなおめでたい席でも、祝い膳の一品としてがめ煮が並ぶことがあります。縁起がよいとされる根菜がたっぷり入った彩り豊かながめ煮は、新しい門出を祝う場にふさわしいごちそうです。
仏事
地域によっては葬儀や法要などの仏事の後の食事でもがめ煮が振舞われることがあります。
💡ワンポイント豆知識💡
精進料理として作る際は、鶏肉を油揚げに置き変えるなど具材を変えることもあるそうです。
普段のおかず
がめ煮は特別な日だけでなく、家庭料理としても親しまれています。栄養バランスがよく食べ応えがあって、甘じょっぱい味つけはごはんにも酒のお供にも大活躍。たくさん作って作り置きしておけば翌日には味がしみてさらにおいしくなるのもうれしいポイントです。
がめ煮・筑前煮をおいしく仕上げるコツ
がめ煮や筑前煮をおうちでおいしく作るにはいくつかのポイントがあります。ここではいつものがめ煮をワンランクアップさせるコツをご紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。
丁寧な下ごしらえ
具材に合わせた丁寧な下ごしらえは、煮物をおいしく仕上げるうえでとても大切です。火の通りを均一にし、味がしっかりしみ込むように準備しましょう。
| 具材 | 下ごしらえのポイント |
|---|---|
| ごぼう、レンコン | 火が通りにくい根菜は軽く下茹でするか 電子レンジで加熱しておくと火の通りが均一に |
| 里芋 | 塩もみをしてから下茹でするとぬめりが取れて舌触りがよくなり 火の通りもスムーズに |
| こんにゃく | スプーンや手でちぎると表面積が増えて味がよくしみ込む |
| 鶏肉 | 余分な脂や筋、小骨を取り除いて一口大にカットすると 食べやすく味もなじみやすくなる |
| 干し椎茸 | 冷水に数時間から24時間ほどかけてじっくり戻し、旨み成分がしっかり引きだす 冷蔵庫でゆっくり戻すのがおすすめ |
具材を炒めて旨みを閉じ込める
具材を煮る前にしっかり炒めましょう。油でコーティングすることで素材の旨みが閉じ込められます。特に鶏肉は焼き色をつけるとで香ばしさとコクが加わります。
調理には炒めやすく煮込みやすい深型のフライパンが便利です。フッ素樹脂加工のものであれば具材がくっつきにくく、スムーズに調理できますよ。
調味料は2回に分けて加える
調味料は一度にすべて加えるのではなく、2回に分けて加えましょう。煮込み始めは薄めに味つけし、仕上げにもう一度調味料を加えます。
⭐️クラシルシェフの作り方のコツ⭐️
特にしょうゆは最初は下味程度にして、仕上げでしっかりと味を決めると黒っぽくならずにツヤのある照りが出ます。みりんも仕上げに加えることで風味と照りがさらにアップしますよ。
冷ます過程で味をしみ込ませる
煮込み時間は15〜20分程度で十分です。長時間煮込むと具材が煮崩れてしまう原因にもなります。実は煮物の味がしみ込むのは、煮込んでいる間よりも火を止めて冷めていく過程なんです。
具材に火が通ったら一度火を止めて鍋ごと冷ますことで、短時間でもまるで一晩寝かせたかのように味がしっかりとしみ込みます。
煮物のレシピをご紹介
がめ煮や筑前煮の特徴や作り方のポイントがわかったら、実際のレシピも気になりますよね。ここからはがめ煮や筑前煮のほか、おいしい煮物のレシピを厳選してご紹介します。ぜひ作ってみてくださいね。
おせちや行事の一品に 博多がめ煮
丁寧に下ごしらえした根菜と鶏肉を煮込んだ博多がめ煮のレシピです。干し椎茸の戻し汁をベースにしたやさしい味わいが、じっくり煮込むことで具材にしみ渡ります。飾り切りの花形レンコンやにんじん、手綱こんにゃくが入って見た目も華やか。絹さやを添えて彩り豊かに仕上げれば、おもてなしやお祝いにぴったりの一品です。
ごろごろっと根菜たっぷり 筑前煮
鶏もも肉と大根、にんじん、レンコンなど、たっぷりの根菜がごろごろっと入った筑前煮はいかがでしょうか。具材はごま油で炒めてから煮込むので香ばしさとコクがぐっとアップ!干し椎茸の出汁で深い味わいに仕上がり、素朴でありながら素材本来のおいしさが引き立ちますよ。
ほっこり たけのこと鶏肉の煮物
タケノコのシャキッとした食感と鶏肉の旨みが絶妙な煮物のレシピです。最初に鶏肉を炒めることでコクが増し、落とし蓋をして煮込むので短時間でも味がしっかりしみ込みます。ほっこりとしたやさしい味わいの煮物です。
根菜と豚肉の甘辛煮
豚こま切れ肉に大根、ごぼう、にんじんといった根菜を合わせた甘辛煮はいかがでしょうか。ごま油で炒めた豚肉の旨みが全体に広がり、シンプルながら奥深い味わいに仕上がります。家族みんなで楽しめるお箸が止まらないおいしさですよ。
大根と牛肉のほっこり煮
牛肉の濃厚な旨みとやわらかく煮込んだ大根が絶品のほっこり煮はいかがでしょうか。白だしをベースにしょうゆやみりん、砂糖の甘じょっぱい味つけは誰もが好きなやさしい味わい。手軽に作れて飽きのこないおかずですよ。
福岡の郷土料理がめ煮を作ってみよう!
今回はがめ煮の特徴や食べるシーン、作り方のポイントを解説し、おすすめのレシピもご紹介しました。鶏肉や根菜などたくさんの具材を使ったがめ煮は、見た目にも華やかで栄養バランスもよいおかずです。今回ご紹介したレシピを参考にしていただき、ぜひ普段の食事に取り入れてみてくださいね。
