木の芽とも呼ばれる「山椒の葉」。ピリッと爽やかな香りは、春の訪れを感じさせてくれますよね。しかし、粉山椒や山椒の実を使ったことはあっても、葉を料理に取り入れる機会は少ないのではないでしょうか。そこで今回は、山椒の葉の特徴をはじめ、その味や香り、おすすめの調理法や活用レシピなどをご紹介します。
山椒の葉ってどういう食材?味や香りについても解説!
- 目次
- そもそも山椒とは?
- 「山椒の葉」の味や香りは?
- 山椒の実・粉山椒・花山椒との違い
- 実山椒(青山椒)
- 粉山椒
- 花山椒
- 樹皮・木
- 山椒の葉の調理法
そもそも山椒とは?
山椒の葉について知る前に、まずは山椒について詳しく見てみましょう。
山椒はミカン科サンショウ属の落葉低木で、植物全体に特有の爽やかな香りがあります。山椒の「椒」は「小さくて辛い実のなる木」を表わし「山にある小さくて辛い実」という意味で「山椒」という名が付けられたと言われています。
日本では古くから香辛料として親しまれており、かの有名な「魏志倭人伝」には山椒が山谷に自生していたことが記載されているそうです。
「山椒は捨てるところがない」と言われるように、葉や花、実、樹皮に至るまであらゆる部分を香辛料として使うことができます。特に、春先に芽吹く若葉は「木の芽」と呼ばれ、春の訪れを告げる食材として親しまれてきました。「たけのこの木の芽和え」や「タイの木の芽焼き」など、日本の伝統料理には欠かせない食材であり、その爽やかな香りは春の訪れを感じさせてくれます。
「山椒の葉」の味や香りは?
山椒の葉は木の芽とも呼ばれ、春先に芽吹く若葉のことを指します。旬である3〜4月の木の芽はやわらかく、特有の爽やかな香りとほのかな辛味があります。山椒の実ほど辛味は強くないので、料理に添えて香りや彩りをプラスするために使われることが多いです。
また、山椒の葉を使う前に、手のひらでパンッと叩く場面を見たことのある方も多いでしょう。これは山椒の香りを引き立たせるために行われます。山椒の葉には「油室」と呼ばれる組織があり、これを叩くと中の精油成分が外に出て爽やかな香りを放つのです。
山椒の実・粉山椒・花山椒との違い
山椒は葉のほかにも、実や花、樹皮なども香辛料として使うことができます。それぞれ味わいや用途にどのような違いがあるのか、以下で詳しく見てみましょう!
実山椒(青山椒)
5〜6月に実る、小さな黄緑色の未熟実のことです。爽やかな香りに加えてピリッとした辛味があり、主に佃煮やちりめん山椒、ぬか床の材料などに使われます。生のものはアクが強く、口に入れるとビリビリと痺れるような辛味があるので、必ずアク抜きしてから使います。
粉山椒
乾燥させた実山椒の果皮を挽いて、粉状にしたものです。挽きたての粉山椒は香り高く、料理に爽やかな風味と辛味をプラスしてくれます。うなぎなどの脂っぽい料理と相性がよく、口がさっぱりとしますよ。
花山椒
山椒は4月中旬頃に、小さな黄色い花を咲かせます。こちらも実を食べることができ、山椒特有の辛みが少なく、香りや食感がよいとされています。しかし、希少価値が高いので市場に出回ることは少なく、一部の高級割烹や懐石料理店などで使われる高級食材です。
樹皮・木
兵庫県の郷土料理に、山椒の樹皮を佃煮にした「辛皮(からか、からかわ)」という料理があります。痺れるような強い辛味があり「耳かき1杯で酒が1升飲める」と言われる珍味です。また、山椒の木はその香りを活かして、すりこぎの原材料に使われます。
山椒の葉の調理法
山椒の葉といえば、吸い物やタケノコごはんに添えるイメージが強いですよね。しかし、山椒の葉はハーブのように、さまざまな料理に活用することができます。代表的な例をいくつか見てみましょう。
佃煮
佃煮は実山椒で作るのが一般的ですが、葉で作ることもできます。ピリッと爽やかな香りがよく、ごはんのお供にはもちろん、お茶漬けやそうめん、冷奴の薬味など、さまざまな料理に活用することができます。
山椒味噌(木の芽味噌)
すり潰した山椒の葉を、味噌や砂糖と合わせた色鮮やかな味噌です。お好みの味噌で作ることができますが、西京味噌など甘口の白味噌を使うと、香り高くまろやかな味わいに仕上げることができます。
天ぷら
山椒の葉は、そのまま天ぷらにすることもできます。葉が小さくて薄いので、短時間でサッと揚げて爽やかな香りを楽しみましょう。
木の芽焼き
肉や野菜、魚の焼き物に山椒の葉をのせたり、刻んだ山椒の葉をたれに混ぜ合わせて焼きあげます。脂っこい肉や魚とも相性がよく、爽やかな風味が口の中をさっぱりとさせてくれますよ。
炒め物
山椒の葉は、炒め物の風味づけに活用することもできます。シンプルな塩味はもちろん、蒲焼き風のこってりとした味つけとも相性抜群です。仕上げにパッと加えて、爽やかな香りを活かしましょう。
山椒の葉の保存方法
山椒の葉が出回るのは、3〜4月と短い期間だけです。数日なら冷蔵保存することができますが、風味を長持ちさせたいときは、冷凍保存するのがおすすめですよ。
冷蔵保存する場合
すぐに使い切る場合は、冷蔵庫の野菜室で保存するのがおすすめです。山椒の葉は軸がついたまま、湿らせたキッチンペーパーで包み、ジップ付き保存袋に入れて野菜室で保存しましょう。
冷凍保存する場合
冷凍保存する場合は、葉をよく洗って水気をキッチンペーパーでていねいに拭き取ります。次に、山椒の葉が重ならないように冷凍用保存袋に入れ、口をしっかりと閉じて冷凍保存します。香りを楽しむためにも、なるべく早めに使い切るようにしましょう。
山椒の活用レシピをご紹介!
ここからは、山椒の葉と粉山椒の活用レシピをご紹介します。普段の料理に山椒をプラスすると、ピリッと爽やかな風味がアクセントになってお箸がすすみますよ!
タケノコと牛肉の山椒炒め
爽やかな風味があとを引く、タケノコと牛肉の山椒炒めです。山椒の葉と粉山椒の両方を加えると、風味がグンと引き立って大人な味わいに仕上げることができます。ごはんのおかずやお酒のおつまみに、ぜひお試しください。
豚肉の蒲焼
山椒の葉は蒲焼などのこってりとした味つけとも相性抜群!ピリッと爽やかな風味がアクセントになり、ジューシーな豚肩ロース肉がさっぱりと召し上がれます。山椒の葉が手に入らない場合は、粉山椒で代用することもできますよ。
生麩の田楽
生麩の田楽に山椒の葉を添えて、爽やかな風味をプラスしました。生麩のもちもちとした食感がよく、赤みそを使ったコクのある味わいでお酒がすすみますよ!生麩は木綿豆腐や厚揚げでアレンジすることもできますので、ぜひ作ってみてくださいね。
※お使いのトースター機種によって焼き加減が異なりますので、様子を見ながらご調整ください。今回は1000W200℃で焼いています。トースターは庫内が狭く、食材と熱源の距離が近いため、加熱中の食材の油が落ちたり、油はねなどが原因で発煙、発火の恐れがあります。加熱中は目を離さないでください。
ごはんが進む 牛肉の味噌しぐれ煮
しぐれ煮はしょうゆ味が定番ですが、みそを加えるとこってりとコクのある味わいに仕上げることができます。粉山椒のピリッとした風味もよく、少し濃いめの味つけでごはんがすすみますよ!
しびれる辛さがクセになる 麻婆茄子
粉山椒のしびれる辛さがクセになる!麻婆ナスはいかがでしょうか。とろりとジューシーなナスに、豆板醤の効いたコクのある味つけが絡んで絶品ですよ。ぜひ温かいごはんと一緒にお召し上がりくださいね。
山椒の葉を料理に取り入れてみよう
今回は、山椒の葉の特徴をはじめ、その味わいや香り、おすすめの調理法や活用レシピなどをご紹介しました。山椒の葉は木の芽とも呼ばれる、ピリッと爽やかな風味の若葉のことです。普段の料理に添えるだけで、爽やかな風味がアクセントになって大人な味わいに仕上げることができますよ。
クラシルでは、ほかにも山椒の葉を活用したレシピをご紹介しています。そちらも合わせて参考にして、旬の香りをお楽しみくださいね。
※20歳未満の飲酒はやめましょう。