インド料理専門店やインドカレー専門店などのメニューでも見かける「ビリヤニ」。スパイスをふんだんに使用して作る混ぜごはん、もしくは炊き込みごはんと認識されることも多いですが、実は手軽さとはほど遠く、とっても手の込んだ料理なんです。今回は意外な一面を持つビリヤニの歴史や味、作り方などをご紹介します。
ビリヤニとは?歴史や作り方、使うスパイスについて解説!
- 目次
- ビリヤニとは
- 地域による特色
- ビリヤニの特徴
- ビリヤニとプラオの違い
- ビリヤニの歴史
- ビリヤニのおいしいレシピをご紹介!
- 実はごちそうだったビリヤニをもっと気軽に楽しもう!
ビリヤニとは
ビリヤニとは、南アジアのムスリム文化圏を中心に食べられている、香り豊かな炊き込みごはんです。 スパイスを効かせた米に、羊肉・鶏肉・魚・野菜などを加え、炊いたり蒸し焼きにしたりして作られます。
近年のスパイスブームから、日本にあるインド料理のお店でもよく見かけるようになりました。かつては結婚式や誕生日など、特別な日のお祝いの席で食べられるごちそう料理だったようですが、現在では大衆的な料理として親しまれているようです。
地域による特色
ビリヤニは地域によって特色があり、調理法や味わいなどもさまざまなものがあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 地域名 | ハイデラバード (インド中部の都市) |
| 調理法 | 生肉と米を 一緒に蒸し焼き |
| 主な具材 | 羊肉・サフランなど |
| 備考 | 王族の料理として 発展したもの |
| 別名 | 「カッチ(生)式ビリヤニ」 |
なかでも特によく食べられているのが、インド中部の都市ハイデラバードのビリヤニです。ハイデラバードのビリヤニは、金よりも高いと言われる高級スパイス「サフラン」 などを使用した贅沢なもので、かつてその場所を統治していた王のために作られていたのだとか。また、生肉をマリネしてから米と一緒に蒸し焼きにするのもハイデラバード式ビリヤニの作り方の特徴であり、生肉から調理することから「カッチ(生)式ビリヤニ」とも言われています。
ビリヤニの特徴
ビリヤニは、スパイスや素材、調理工程に至るまで、こだわりが詰まった奥深い料理です。日本では「インドの炊き込みごはん」と紹介されることもありますが、実際には米や肉、スパイスを層にして蒸し上げるという、非常に手の込んだ作り方が特徴です。ここでは、ビリヤニの主な材料やスパイス、仕上げの香りづけ、味わいなどをご紹介します。
主な材料
まず、ビリヤニに欠かせないのが、細長く香り豊かなインドの香り米「バスマティライス」。パラパラの仕上がりにするため、米は炊くのではなく一度ゆでて湯切りするのが一般的です。
以下、ビリヤニの主な材料をまとめてみました。
| 材料 | 特徴 |
|---|---|
| バスマティライス | 細長く、香り高いインド米 湯取り法で調理 |
| 羊肉・鶏肉・魚介類 | 主に肉類がメイン |
| 野菜 | 玉ねぎ、トマト、じゃがいもなど |
| スパイス 「マサラ」 |
シナモン、ブラックペッパー カルダモン、チリ、クローブ キャラウェイ、メース クミンパウダー、ターメリックなど 複数のスパイスがミックスされたもの |
スパイスが決め手「マサラ」
ビリヤニでは、スパイスを炒めて作る「マサラ」と米を層状に重ねて炊くのが特徴です。各家庭やお店によってスパイスの配合が異なるため、ビリヤニの味わいもそれぞれ違うんですよ。
仕上げの香りづけ
炊き上がったビリヤニは、香りづけの工程でさらに個性を増します。たとえば「フレッシュミント」や「サフラン」、そしてパンダナスの木から作られる甘い芳香の「ケウラウォーター」で香り付けをし、さらに華やかな香りを引き立たせて完成です。
香りを何層にも重ねていく工程にビリヤニ作りの複雑さとこだわりを感じますね。日本では「インドの炊き込みごはん」と言われているビリヤニですが、見た目は似ているもののビリヤニ作りの工程は複雑であり、想像以上にとっても手の込んだ料理なのです。
味わい
複数のスパイスを使用して作るビリヤニの魅力は、なんといってもその華やかな香り。そして口の中でほどける米のパラパラとした食感や、口当たりの軽さも格式高いビリヤニの特徴です。マサラと米を重ねて調理することで生まれる何層にも仕込まれた複雑な味わいと香りは、口に運ぶたびに異なる風味を感じさせてくれます。
ビリヤニと一緒にいただきたい「ライタ」
そんなビリヤニに添えていただくことが多いのは、刻んだ野菜や果物とスパイス入りのヨーグルトを合わせた、いわゆるヨーグルトサラダである「ライタ」です。爽やかな酸味が加わり、より複雑な味わいを楽しむことができます。
ビリヤニとプラオの違い
ビリヤニに似た料理に、現在のイランが発祥とされる米料理に「プラオ」があります。パキスタンではよく食べられており、インドのビリヤニのルーツともいわれる存在です。両者は見た目こそ似ていますが、それぞれ違いがあります。以下の表で詳しくみていきましょう。
| 項目 | ビリヤニ | プラオ |
|---|---|---|
| 特徴 | 炊き込みごはん | ピラフ |
| 発祥地域 | インド (ルーツは中央アジア・中東とも) |
イラン発祥 (パキスタンなどでも普及) |
| 調理工程 | 下ゆでした米と具材・マサラを 層状に重ねて炊く |
肉をスパイスで煮込み 米を加えて一緒に炊く |
| 工程の複雑さ | 手が込んでいる 調理工程が多い |
比較的シンプル 一鍋で完結することが多い |
| 味や香りの特徴 | スパイス・香りを 何層にも重ねた奥深い味 |
野菜や肉・ナッツ・レーズンなど 甘い香りと香ばしさがある |
| 食べ方 | 一品料理として | カレーなどの付け合せとして |
ビリヤニは手間のかかる分、香りやスパイスの重なりが楽しめる奥深い味わいが魅力。一方、プラオは、よりシンプルな作り方で、肉の旨味を活かしたやさしい味わいが特徴です。どちらも南アジアの食文化を代表する料理で、日によって食べ分けるのも楽しいですね。「豪華にいきたい日」はビリヤニ、「気軽に作りたい日」はプラオ、そんな選び方もおすすめです!
ビリヤニの歴史
ビリヤニの歴史は、インドのムガル帝国時代にさかのぼります。ムガル帝国は、16世紀初めにアフガニスタンから侵攻したイスラム教徒が北インドに建国した国家のこと。全盛期にはインドのほぼ全域を支配し、その後19世紀に滅亡しました。
そんなムガル帝国で発達したのが宮廷料理です。大衆料理の印象のあるビリヤニも、実はそんな宮廷料理のひとつ。さまざまな食材を使って作られることや、伝統的な作り方のものには高級スパイスが使用されることなどからも、宮廷料理としての華やかな一面が伺えます。
ビリヤニのおいしいレシピをご紹介!
ビリヤニを実際に食べてみたくなった方におすすめなビリヤニのレシピをピックアップしてみました。複雑な調理を必要とせずにおいしく作れるビリヤニや、食材をアレンジして作るビリヤニなど、バリエーションを楽しむアイデアもご紹介しています。ぜひご自分の好みに合うレシピを見つけてみてくださいね。
お家でお手軽に ビリヤニ
自宅で手軽にビリヤニを楽しみたいという方におすすめなのが、こちらのレシピです。複数のスパイスを使用しますが、どれもスーパーなどで入手しやすいスパイスなので、安心して挑戦することができますよ!お鍋の中で食材を重ねるように作るビリヤニらしい工程や、複雑かつ芳醇な香りを楽しみながら作れるのもポイント。一度食べたらまた食べたくなるスパイスの豊かな味わいの虜になること間違いなしです!
チキンビリヤニ
調理工程はできるだけ減らして簡単にビリヤニを作りたい方は、こちらのチキンビリヤニを試してみてはいかがでしょうか。ヨーグルトとカレー粉などをベースにして作った漬けダレに鶏肉を漬け込み、ごはんや調味料とともに炊飯器に入れて炊くだけ!ほのかに香るシナモンがエキゾチックなテイストを添えてくれます。
香り高い ビーフビリヤニ
手軽に風味豊かなビーフビリヤニを作ってみましょう!あらかじめバターで炒めた玉ねぎや牛肉にガラムマサラやニンニク、生姜を絡め、お米と一緒に炊飯器で炊くだけの簡単レシピですが、ビーフの旨味が溶け込んだおいしいビリヤニに仕上がります。バターとスパイスが絶妙にマッチし、マイルドなコクのなかに突き抜けるスパイスの香りを感じることができますよ。
ヨーグルトソースでいただく ビリヤニ
本場では、ビリヤニにライタ(ヨーグルトサラダ)が添えられることも。こちらのレシピでは、そんなビリヤニとライタの味わいを再現してみました。鶏肉や野菜が入ったボリューム満点のビリヤニに、ヨーグルトソースの爽やかな酸味がプラスされ、複雑でありながらも奥深い味わいを楽しむことができますよ。
トマトとシーフードのビリヤニ
魚介の旨味が詰まったビリヤニを食べたいなら、トマトとシーフードのビリヤニを作ってみてはいかがでしょうか。ヨーグルトをベースにして作った漬けダレでシーフードミックスに下味をつけ、ミニトマトとともに炊飯器で炊き込んで作ります。冷凍のシーフードミックスを使用して作るので、カットする必要もなく、時間がない日のごはんにもおすすめですよ!ぜひレパートリーに加えてみてくださいね。
実はごちそうだったビリヤニをもっと気軽に楽しもう!
「ビリヤニ」についてご紹介しましたが、いかがでしたか。かつては宮廷料理であったことや、見た目以上に手間のかかる料理であったことなど、ビリヤニにまつわる意外な発見があったのではないでしょうか。そんなビリヤニの歴史的背景や複雑な調理工程を大切にしつつ、今後もさまざまなスタイルのビリヤニを楽しんでいきたいですね。
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