最終更新日 2023.3.30

「ジビエ」とは?歴史や代表的な料理について解説!

「ジビエ」とは?歴史や代表的な料理について解説!

近年注目を集めている「ジビエ」。日本ではあまり身近ではないですが、ヨーロッパでは古くから鹿や猪など野生鳥獣の肉を使った料理が親しまれてきました。今回は、ジビエの特徴や歴史をはじめ、その種類や味わいなどをご紹介します。記事後半でご紹介する、ジビエのおすすめレシピもぜひ参考にしてみてくださいね。

  • 目次
  • ジビエとは?
  • ジビエの種類や味わいは?
  • 鹿
  • ウサギ
  • 真鴨
  • ジビエ料理の特徴と調理の注意点

ジビエとは?

「ジビエ(gibier)」とは、フランス語で「狩猟で捕獲した野生鳥獣の肉や料理」のこと。日本ではあまり一般的ではありませんが、フランスをはじめとするヨーロッパでは、古くから貴族の伝統料理として親しまれてきた食文化です。代表的な食材は鹿、猪、熊、真鴨、ウサギ、キジ、ハト、ウズラなどです。引き締まった肉質で野生的な味わいのものが多く、獲れる地域やエサによって味わいの個体差が大きいのが特徴です。

その昔フランスなどでは、ジビエは自分の領地で狩猟ができるような、上流階級の貴族だけが食べられる高貴な食材でした。一般的な食材として広まった現代でも、ジビエは高級食材とされており、猟が解禁される秋冬だけに食べられる特別な料理として重宝されています。

実は、日本でもジビエを食べる習慣があり、古くから狩猟によって鹿、猪、熊などが食べられてきました。江戸時代は獣肉食が忌避されていましたが、山間部や上流階級では薬として密かに食べられていたそうです。現代でも、猪肉を「ぼたん」や「山くじら」、鹿肉を「もみじ」と呼ぶのは、当時の隠語の名残だと言われています。

現在、日本では野生鳥獣が増えすぎたことで、農業や自然環境に大きな問題を及ぼしています。主に鹿や猪などが田畑を荒らしたり、ヒノキの樹皮や高山植物を食害するなど、令和2年度の農産物総被害額は161億円を超えているのだそうです。そのため、近年は捕獲した野生鳥獣を資源としてとらえ、これを「ジビエ」として有効活用する取り組みが広がっています。

ジビエの種類や味わいは?

日本には約600種類の野生鳥獣がいますが、そのなかで狩猟をしてよいのは約50種類で、狩猟解禁は北海道を除く地域では原則11月15日〜2月15日と法律で決められています。日本では鹿、猪、熊、真鴨、ウサギ、キジ、スズメ、カラスなどが食べられていますが、それぞれどのような味わいなのか、以下で詳しく見てみましょう!

鹿

鹿は日本で最も親しまれているジビエのひとつです。牛肉の赤身に近い肉質で、脂肪やクセが少ないので比較的食べやすい味わいといえるでしょう。ステーキや焼き肉、ハンバーグ、カレー、赤ワイン煮など、さまざまな調理法で楽しむことができます。

しっかりと脂がのった赤身肉で、野生的な豚肉のような味わいです。赤身と脂肪がはっきりと別れているのが特徴で、煮込むほどにやわらかい食感になります。代表的な料理は、薄切り肉を味噌仕立ての鍋にした「ぼたん鍋」ですが、生姜焼きや焼豚、カレー、ステーキなど、豚肉と同じような調理法に適しています。

日本に生息するクマはヒグマとツキノワグマですが、ツキノワグマの方がやわらかくておいしいと言われています。肉質はやや粗くて固いですが、脂の融点が低くて甘味があり、煮込むとやわらかくなります。代表的な調理法は熊鍋、焼き肉、ステーキ、赤ワイン煮などです。

ウサギ

ジビエである野ウサギは、フランス語で「リエーブル」、家畜の食用ウサギは「ラパン」と呼ばれています。リエーブルは野性味溢れる赤身肉ですが、ラパンは鶏肉に近い淡白な味わいです。日本では、大根と一緒に煮込んだ「うさぎ大根」や、ごぼうやにんじんと一緒に炊き込んだ「ウサギまんま」などがあります。

真鴨

鴨はいくつか種類があり、ジビエは青首と呼ばれる真鴨や軽鴨(カルガモ)、小鴨(コガモ)などがあります。日本で流通している鴨肉の多くは合鴨で、これは食用として飼育された家禽です。真鴨は身が引き締まっていて血の香りが強く、野生的な味わいを楽しむことができます。代表的な料理は鴨しゃぶ、ロースト、コンフィ、テリーヌ、赤ワイン煮などです。

ジビエ料理の特徴と調理の注意点

日本ではジビエがスーパーに並ぶことは少なく、飲食店で調理されたものをいただくのが一般的です。和食では鍋や焼き物などジビエをシンプルに味わう料理を、フレンチではローストやテリーヌ、赤ワイン煮込みなど、ジビエの野性味を活かした多彩な料理を楽しむことができます。

また、ご家庭でジビエの生肉を調理する際は、中心部までしっかりと加熱調理することが大切です。ジビエは野生鳥獣なので、寄生虫や腸菅出血性大腸炎、E型肝炎などの食中毒リスクがあり、生食はとても危険です。肉の中心温度が75℃で1分以上と同等の加熱時間を設け、調理に使った器具は必ず熱湯消毒しましょう。

より手軽にジビエを楽しみたい方は、加工品を試してみるのがおすすめです。ソーセージやベーコン、レトルトカレー、鍋セットなど、さまざまな種類が販売されています。産地の直売所やネットショップで購入することができますので、気になる方はぜひ見てみてくださいね。

ジビエを使ったレシピをご紹介

ジビエについて詳しく知ると、実際に食べてみたくなりますよね!ここからは、ジビエを使ったおすすめレシピをご紹介します。比較的手に入りやすい鹿、猪、鴨を使ったレシピをピックアップしましたので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

やわらかジューシー 鹿肉のロースト

クセの少ない鹿ロース肉を、オーブンでじっくりとローストしました。焼き目をつけたあとに、オーブンでじっくりと火を通した鹿ロース肉はとてもやわらかく、噛みしめるほどに肉汁がジュワッと溢れます。甘酸っぱいバルサミコソースを合わせていただけば、そのおいしさに驚くこと間違いありませんよ!

※こちらのレシピは、はちみつを使用しております。 1歳未満(乳児)のお子様はお召し上がりにならないようご注意ください。 はちみつは、砂糖でも代用できます。それぞれ種類によって甘さが異なりますのでお好みで調整してください。

鹿ロース肉の赤ワイン煮込み

鹿肉は時間をかけて煮込むと、ホロッとやわらかい食感に仕上げることができます。鹿肉の旨味と赤ワインの酸味が溶け合う、風味豊かで奥深い味わいはまさに絶品!鹿肉はすね肉など、スジが多い部位でもおいしく調理することができますよ。

こちらのレシピは赤ワインを使用しております。加熱の状態によってはアルコールが含まれる可能性がありますので、お子様やアルコールに弱い方、妊娠中の方、授乳中の方はご注意ください。また、運転時、スポーツ時、入浴時はアルコールの摂取をお控えください。

鹿肉の香草パン粉カツレツ

カリッと香ばしい、鹿肉の香草パン粉カツレツです。鹿肉をハーブ入りのパン粉で揚げ焼きにすると、香ばしい風味が加わってワインのお供にぴったりな味わいに仕上げることができます。鹿肉の淡白なおいしさを、シンプルに楽しんでみてくださいね。

いのしし肉で ぼたん鍋

猪肉を味噌仕立ての鍋にした「ぼたん鍋」は、丹波篠山の郷土料理です。猪は煮込むほどにやわらかくなり、脂の旨味がじんわり溶け出してたまらないおいしさ!お好みで山椒をふって、ピリッとした風味をプラスするのもおすすめですよ。

こちらのレシピは料理酒を多く使用しております。加熱の状態によってはアルコールが含まれる可能性がありますので、お子様やアルコールに弱い方、妊娠中の方、授乳中の方はご注意ください。また、運転時、スポーツ時、入浴時はアルコールの摂取をお控えください。

いのしし肉の生姜焼き

豚肉とよく似た味わいの猪肉は、生姜焼きにしてもおいしいですよ!すりおろし生姜やたまねぎ入りのタレに漬け込むと、クセが和らいでしっとりとした食感に仕上げることができます。ぜひ炊きたてのごはんと一緒に召し上がってくださいね。

鴨南蛮そば

野生の真鴨はクセが強いので、ご家庭では調理しやすい合鴨を使うのがおすすめです。こちらのレシピでは、鴨むね肉のスライスをめんつゆでサッと煮て、旨味たっぷりな鴨南蛮そばにしました。喉越しのよいそばに鴨の脂が絡む、コクのある味わいをぜひお楽しみください!

鴨の治部煮

鴨肉に小麦粉をまぶして煮込む「治部煮」は、金沢の郷土料理です。ふっくらとジューシーな鴨肉に、上品な味わいのつゆがとろりと絡む、とても贅沢な味わいの一品です。鴨の旨味がじんわりと染み込んだ、しいたけや花麩もまたおいしいですよ!

和風鴨ロースト

和風鴨ローストも、ポイントを押さえれば簡単に作ることができます。フライパンで焼いた鴨むね肉を、調味料で5分ほど煮込んだら20分ほど置いて味を馴染ませるだけ。旨味たっぷりでしっとりとした食感は、一度食べたらやみつきになること間違いありませんよ!

こちらのレシピは料理酒とみりんを多く使用しております。加熱の状態によってはアルコールが含まれる可能性がありますので、お子様やアルコールに弱い方、妊娠中の方、授乳中の方はご注意ください。また、運転時、スポーツ時、入浴時はアルコールの摂取をお控えください。

近年話題のジビエを楽しんでみよう!

今回は、ジビエの特徴や歴史をはじめ、その種類や味わい、おすすめのジビエレシピなどをご紹介しました。ジビエとは、狩猟で捕獲した野生鳥獣の肉や料理のことであり、ヨーロッパでは古くから親しまれてきた食文化です。その野性味溢れる味わいは、一度食べたらやみつきになる方も多いので、機会があったらぜひお試しくださいね。

※20歳未満の飲酒はやめましょう。

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