最終更新日 2024.3.12

赤飯とおこわは何が違う?それぞれの特徴とレシピをご紹介

赤飯とおこわは何が違う?それぞれの特徴とレシピをご紹介

「赤飯」と「おこわ」は、どちらももち米を蒸して作られる料理です。しかし、違いを聞かれるといまいちわからない…という方も多いのではないでしょうか?そこで今回は、赤飯とおこわの違いやそれぞれの特徴、赤飯の地域差について詳しくご紹介します。おいしい赤飯やおこわのレシピもご紹介しているので、ぜひご覧くださいね!

  • 目次
  • 赤飯とは?
  • 概要
  • 歴史
  • 赤飯に込められた意味
  • おこわとは何が違うの?
  • 地域によってこんなに違う!赤飯の種類
  • 北海道・山梨県・青森県の一部
  • 青森県・秋田県

赤飯とは?

そもそも、赤飯とはどのような料理なのでしょうか?まずは、赤飯の概要や歴史、意味について知識を深めましょう。

概要

赤飯とは、もち米に小豆やささげを混ぜて蒸した料理のことで、ふっくらとやわらかい豆の食感と淡い赤色がついたもち米、ふわっと漂うやさしい香りが魅力です。お祝いのときの食事としてはもちろん、おにぎりやお弁当として普段の食事に取り入れられることも多く、最近は缶詰やフリーズドライの赤飯も販売されているんですよ。

歴史

現在では小豆の赤飯が主流ですが、昔は「赤米」と呼ばれるインディカ種のお米を蒸して作られていました。当時はお米は貴重で高価なものであったため、神様へのお供え物として赤米の赤飯を用意しました。

江戸時代に入ると稲作の技術はグンと発達し、現在のジャポニカ種のお米が広まっていきました。その頃から、赤米ではなく白いお米を小豆などで色づけした赤飯が作られ始めたのです。また、当時流行した「脚気」の予防としても赤飯がよく食べられたそうですよ。

赤飯に込められた意味

日本では古くから、赤色のものには邪気や災厄を祓う効果があると信じられていました。そのため、赤く色づいた赤飯を神様にお供えすることで、災いを打ち消して幸福をもたらしてくれると考えるようになったのです。また、赤飯に添える「南天の葉」は「災い(難)転じて福となす」という意味が込められていて、赤飯とともに縁起物として扱われるようになりました。

赤飯は日本人にとってポピュラーな料理ですが、その歴史はとても古く、現在に至るまで長く愛されているのです。

おこわとは何が違うの?

赤飯とよく似た料理に「おこわ」があります。赤飯とおこわはよく混同されがちですが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか?ここでは、赤飯とおこわの違いについて見ていきましょう。

おこわとは、もち米を蒸した料理全般を指します。「強飯(こわいい・こわめし)」といった名称もありますが、現在は女房詞の「おこわ」が定着しました。 おこわに使われる具材は多岐にわたり、お肉や魚、野菜、キノコ、乾物などさまざま。また、季節の食材を具材にすることも多くあり、四季の訪れを食卓で感じることができます。

昔はもち米が高級品だったため、お正月やお祭りなどの特別な日にしか食べられない贅沢な料理でした。しかし、現在ではもち米が手に入りやすくなったので、普段の食卓に並ぶ機会が増え、メジャーな料理として広く認知されています。

つまり、小豆ともち米を蒸して作る赤飯は、おこわの一種ということになります。明治時代頃までは、小豆ともち米を蒸した赤飯とその他のおこわは別物だと考えられていましたが、時代が進むにつれてその区別はあいまいになってきました。現在でも、一部の地域では赤飯をおこわと呼んでいます。

赤飯とおこわには、明確な違いはありません。しかし、赤飯そのものが縁起物として考えられており、お祝い事の食事に用いられることが多いという特徴があるため、おこわの中でも赤飯は独立した存在として扱われているのです。

地域によってこんなに違う!赤飯の種類

一口に赤飯と言っても、地域によって材料や作り方、食べ方が異なることをご存じですか?ここでは、さまざまな赤飯を地域ごとにご紹介します。

北海道・山梨県・青森県の一部

北海道や山梨県などでは甘納豆を使って作られます。下ごしらえに手間がかかる小豆を甘納豆で代用したことが始まりと言われています。甘納豆を入れてももち米に色がつかないので、食紅で着色して鮮やかな赤色に仕上げるのだとか。甘みが強いので、紅生姜を添えたりごま塩をふったりしていただきます。

青森県・秋田県

青森県や秋田県では、赤飯を作るときに砂糖で味つけします。砂糖を使う理由には諸説ありますが、青森県では「昔は高級品だった砂糖やもち米を使っておもてなしの心をあらわした」、秋田県では「富豪たちの宴会料理だった」などという説が有力です。

東京都

東京都をはじめとする関東地方では、ささげを使った赤飯が主流です。ささげの赤飯が考案されたのは江戸時代。皮が破けた小豆は「切腹」を連想してしまい縁起がよくないとして、皮が厚く破れにくいささげを使うようになりました。当時幕府が置かれていた江戸から広まり、現在の関東地方でも受け継がれています。小豆の赤飯と比べて、香りや色味、豆の食感が強く出るのが特徴です。

兵庫県・富山県

兵庫県丹波篠山市や富山県には黒豆を使った赤飯があり、兵庫県では「黒豆ごはん」、富山県では「みたま」と呼ばれて親しまれています。黒豆の色素で薄紫色になったもち米が特徴で、苗の成長をお祈りする行事「さびらき」のときに神様へお供えするために作られたと考えられています。

埼玉県

埼玉県では、まんじゅうに赤飯をまぶして蒸しあげた郷土料理「いがまんじゅう」が人気です。まぶした赤飯が栗のイガに見えることから、いがまんじゅうという名前が付けられました。お祭りや特別な日の縁起物として愛されています。

愛知県・大分県・静岡県

愛知県名古屋市をはじめ、大分県や静岡県では「黄いないおこわ」がメジャーです。「黄いはん」や「黄めし」とも呼ばれ、その名の通り鮮やかな黄色に染まったもち米が特徴です。これはクチナシの実で着色されていて、赤飯が高価なものだった時代に、手に入りやすいクチナシの実で炊いたごはんを赤飯の代用食としていたのが始まりなのだそうですよ。

そのほか、千葉県では生落花生の甘煮が入った赤飯、福井県大野市ではサトイモが入った赤飯など、特産品を使った赤飯も多く見受けられます。その地域の特色や歴史を考えながら食べてみるのも面白いかもしれませんね。

赤飯はどんなときに食べるの?

お祝いの席で出てくることが多い赤飯。では、具体的にどのようなときに食べるのでしょうか?以下で、赤飯を食べるシチュエーションについて解説します。

赤飯は、お正月や成人の日、3月3日の桃の節句、5月5日の端午の節句、敬老の日、大晦日などの節目のお祝い事のときによく食べられます。春と秋の彼岸や夏のお盆に赤飯を食べるご家庭も多いですね。

また、出産祝いや誕生日、入学・卒業祝い、長寿のお祝いなどの特別な日にも赤飯が振舞われます。赤ちゃんの成長を願うお食い初めでは、魔除けの意味を込めて赤飯を用意するんですよ。

慶事のときに食べるイメージが強い赤飯ですが、その一方で、災いを福に変える「縁起直し」の意味を込めて、凶事のときに赤飯を食べる風習もあるんですよ。

難しくない!赤飯レシピをご紹介

赤飯とおこわの違いがわかったところで、ここからは、赤飯とおこわのレシピをそれぞれご紹介します。まずは赤飯のレシピから。どれも炊飯器で簡単に作れるレシピをピックアップしているので、普段の献立にはもちろん特別な日にもぜひ作ってみてくださいね。

炊飯器でお手軽赤飯

手間がかかると思われがちな赤飯ですが、炊飯器を使うと簡単にお作りいただけます。ささげは豆が割れにくいので赤飯にぴったり!ホクホク食感のささげともっちりとしたごはん、食感の対比もお楽しみいただけますよ。ささげは小豆で代用できるので、手に入りやすい方で作ってみてくださいね。

炊飯器で作る ささげのお赤飯

豆の食感を存分に堪能したい方には、こちらの赤飯レシピがおすすめです。たっぷり入ったささげはほっくりとやわらかく、食べ応えがあって見た目も華やか!食紅を使わずにささげのゆで汁で炊くことで、やさしい色味に仕上がりますよ。ぜひお試しくださいね。

もち米で作る 甘納豆のお赤飯

北海道の味・甘納豆の赤飯を、お家で作ってみませんか?甘納豆はふっくらとやわらかく、もちもち食感のごはんとよく合います。ごま塩をかけると、塩気が甘みを引き立てて一層おいしくいただけますよ。主食としてはもちろんのこと、おやつにもぴったりのレシピです。

もちもちおいしいおこわレシピをご紹介

続いては、さまざまな具材で作るおこわのレシピをご紹介します。定番の山菜おこわや栗おこわ、さらに銀鮭を使ったものなど、幅広くセレクトしました。季節ごとに旬食材を使って作るのもおすすめですよ。

モチモチ 山菜おこわ

山菜おこわのレシピをご紹介します。味つけはみりんとしょうゆ、塩、和風だしとシンプルですが、山菜の旨味と油揚げのコクが合わさって滋味深いおいしさに仕上がりますよ。山菜の水煮を使うと下ごしらえの手間もかからず、簡単かつスピーディーにお作りいただけます。

鮭とキノコの炊き込みおこわ

そのまま焼いて食べてもおいしい銀鮭ですが、おこわにしても絶品です!このレシピでは脂がのって旨味たっぷりの銀鮭と香り高いキノコを組み合わせて、風味豊かで飽きのこない味わいのおこわに仕上げました。みょうがのさわやかな香りがアクセントになりますよ。ぜひ一度作ってみてくださいね。

シンプルで簡単 タケノコおこわ

今夜の夕食に、タケノコおこわはいかがでしょうか。シャキッと歯ごたえのあるタケノコともちもちとしたごはんは相性抜群!一口食べるとタケノコの風味が口いっぱいに広がって、ほっこりとするおいしさですよ。タケノコは水煮を使い、味つけは白だしのみという手軽さもうれしいポイントです。

栗きのこのおこわ

献立にボリュームがほしいときにおすすめしたいのがこちらのレシピです。ゴロッと入った栗とたっぷりのキノコで食べ応え抜群!栗のやさしい甘みとキノコの風味、ごま油の香りで食べ飽きないおいしさですよ。作り方も簡単なので、ぜひレパートリーに加えてみてくださいね。

炊飯器で作る!モチモチ五目おこわ

お子様から大人の方までおいしくいただける五目おこわはいかがでしょうか。旨味のある具材をふんだんに使って、風味豊かな味わいのおこわに仕上げました。甘じょっぱい味つけでついつい箸が進んでしまうこと間違いなし!普段の食卓にはもちろんのこと、おもてなしにもぴったりなので覚えておくと便利ですよ。

赤飯は縁起物のおこわ!赤飯&おこわを作ってみよう

今回は、赤飯とおこわの違いやそれぞれの特徴、赤飯の地域差などについてご紹介しました。おこわの中でも赤飯は特に縁起物とされていて、幸せを願う気持ちが込められているんですね。

特別な日や大切な人をお祝いしたいときには、ご紹介したレシピを参考にして、赤飯やおこわを手作りしてみてはいかがでしょうか?

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