世界各国にはさまざまな「カレー」があり、その国ならではの特徴やおいしさがあります。特に、インドやタイではカレーの種類も多く、スパイスをふんだんに使った刺激的な味わいを楽しむことができます。今回は、カレーの種類や特徴をはじめ、インドカレーとタイカレーの違いや、おすすめのカレーレシピなどをご紹介します。
カレーの種類一覧!国別の特徴とおすすめレシピをご紹介
- 目次
- そもそも、カレーとは?
- 日本のカレーの歴史
- 日本人とカレーの出会い
- 国産カレー粉の登場
- 固形カレールーの登場
- インドカレーの特徴と種類
- 北部
- 南部
そもそも、カレーとは?
「カレー」とは、複数のスパイスやハーブで食材を煮込んだ料理のことです。世界各国にはさまざまなカレーがありますが、その発祥地はやはりインドです。しかし、インドの人々は自国の料理のことを「カレー」とは呼びません。インドでは料理にスパイスを使うのが当然であり、それらの料理はカレーという言葉では言い表せないほど奥深い存在なのです。
そもそもカレーとは、16世紀にヨーロッパの人々がインドを訪れたときに付けた料理名です。その語源は諸説ありますが、タミル語で「ソース、汁」を表す「カリ(kari)」がなまったものだと言われています。
日本のカレーの歴史
今や国民食にもなっているカレーですが、日本のカレーの歴史はどのように始まったのでしょうか。ここでは、日本のカレーの歴史を振り返ってみましょう。
日本人とカレーの出会い
日本人がカレーに出会ったとされるのは、江戸時代の終わりから明治時代にかけて、と言われています。
日本人の物理学者がアメリカに向かう船で「ごはんとカレーが組み合わされたライスカレー」に出会ったのだそうです。その後、イギリスから日本にカレー粉が輸入されるようになったことや、肉食が普及したことなどを背景に、洋食店でライスカレーがメニューに掲載されるようになり、多くの人にカレーの存在が知られるようになりました。
国産カレー粉の登場
1905年(明治38年)、高級食として食べられていたカレーがより多くの人の手に届くようになるきっかけになったのが「国産のカレー粉」の登場です。それまでイギリスから輸入していたカレー粉は高価なものでしたが、国産のカレー粉が登場したことでカレーが手に届きやすい存在になりました。
1926年(大正15年)には、缶入りの粉末カレーが登場。その2年後には紙箱入りのカレーも登場しました。カレーを作るメーカーも増え、一般家庭で作りやすい商品も多く発売されるようになったことから、さらにカレーが日本の食卓に浸透していったのです。
カレーが日本の食文化として浸透していく過程で、それまで和食を提供していたお店では、カレーうどんやカレー南蛮といったカレーを活用して作る和洋折衷メニューが登場したり、パン屋さんではカレーパンが生み出されました。食にまつわる各方面に影響を与えたカレーの存在は、日本の食文化に大きなインパクトを与えたのです
固形カレールーの登場
昭和に入ると、現在主流になっている固形のカレールーも登場し、戦後の1948年(昭和23年)には、学校給食でもカレーが出されるようになりました。カレールーの登場により、誰でも簡単においしいカレーが作れるようになったことから、カレーは家庭料理としても浸透していきます。
1960年(昭和35年)以降は、各メーカーから特徴を差別化したカレーが次々に発売され、1968年(昭和43年)にはレトルトカレーの販売も開始されました。その後、カレールーなどを使って自宅で作るカレーだけでなく、カレーをメインに提供するカレー専門店も続々と登場します。こうしてカレーは国民食に上り詰め、多くの日本人に愛されるようになったのです。
インドカレーの特徴と種類
インドでは、宗教上の理由から牛肉や豚肉を食べない方が大半を占めています。そのため、カレーには鶏肉や羊肉、魚、野菜、豆などが使われるのが一般的です。また、インドでは北部と南部でカレーのスタイルが大きく異なるのも特徴のひとつです。
北部
インド北部ではナンやチャパティなどの小麦を主食として、バターや生クリーム、ガラムマサラなどを使った、どろりと濃厚な味わいのカレーが多いようです。また、タンドリーチキンなど肉料理の種類も豊富なんですよ。代表的なものをいくつか見てみましょう。
◼︎ムルグマカニ(バターチキンカレー)
トマトにバターや生クリームを加えた、マイルドで濃厚な味わいのカレーです。鶏肉はしっかりと下味を付けて、香ばしい風味に仕上げます。
◼︎キーママター(ひき肉とグリーンンピースのカレー)
ひき肉とグリーンピースを使った、スパイシーでコクのある味わいのカレーです。日本では鶏ひき肉を使うことが多いですが、インドでは羊のひき肉を使うのが一般的です。
◼︎パラクパニール(ほうれん草とチーズのカレー)
ほうれん草のペーストを使った、鮮やかな緑色のカレーです。パニールとはインドのチーズのことで、カッテージチーズのようにあっさりとした味わいが特徴です。
南部
インド南部では米を主食として、カレーリーフやマスタードシード、ココナッツミルクなどを使った、酸味の効いたサラッとしたタイプのカレーが多いです。特に、バナナの葉の上にカレーとごはん、数種類のおかずをのせた「ミールス」は、南インドの代表的な食事スタイルとなっています。
◼︎サンバル(レンズ豆と野菜のカレー)
レンズ豆に数種類の野菜を加えた、トマト風味のサラッとしたカレーです。南インドを代表するカレーのひとつで、肉類は使わずに豆と野菜のみで作られます。
◼︎ラッサム(トマトとタマリンドのカレースープ)
レンズ豆やトマト、タマリンドを使った、スパイシーで酸味の効いたカレースープです。日本のみそ汁のような感覚で、南インドではとても日常的に食べられています。
◼︎ダル(レンズ豆のカレー)
レンズ豆をコトコトと煮込んだ、マイルドな味わいのカレーです。
タイカレーの特徴と種類
タイでは「ゲーン」と呼ばれる、辛味が強くサラッとしたタイプのカレーが多いです。インドカレーとの大きな違いは、スパイスに加えてフレッシュハーブを多く使うところ。 一般的には、コブミカンの葉やレモングラス、カー、プリッキーヌ、ホーリーバジルなどが使われますが、そのハーブの組み合わせによってグリーンやレッドなどさまざまなカレーが作られます。代表的なものをいくつか見てみましょう。
◼︎ゲーン・キャオ・ワーン(グリーンカレー)
タイカレーの代表格である、グリーンカレーです。青唐辛子の爽やかな辛味とココナッツミルクの甘味が絶妙にマッチした刺激的な味わいが特徴で、具材には鶏肉やエビ、タケノコ、ナスなどが使われることが多いです。
◼︎ゲーン・ペッ(レッドカレー)
赤唐辛子を使った、いかにも辛そうな赤色のカレーです。具材は牛肉やタケノコが使われることが多く、赤唐辛子のヒリヒリとした辛味を存分に楽しむことができます。
◼︎ゲーン・カリー(イエローカレー)
ターメリックやコリアンダーなどのスパイスを使った、黄色いカレーです。比較的辛味がマイルドで、ふんわりとした甘味があります。具材は鶏肉やジャガイモが使われることが多く、日本人にも親しみやすい味わいです。
◼︎ゲーン・マッサマン(マッサマンカレー)
タイのハーブにスパイスとピーナッツペーストを加えた、マイルドでリッチな味わいのカレーです。タイカレーの中で一番辛さ控えめで、親しみやすい味わいなので、お子様でも召し上がれます。2011年には、アメリカのCNNインターナショナルで「世界一おいしい料理」に選ばれたことで有名です。
ヨーロッパ(欧風)カレーの特徴
ヨーロッパでは、イギリスとドイツ以外、カレーはあまり一般的ではありません。しかし、日本のカレーはイギリスから伝わったと言われており、両国のカレーはよく似た部分がたくさんあります。ここでは、そんなイギリスのカレーとドイツのカレーの特徴を確認してみましょう。
◼︎イギリス
カレー粉発祥の地であるイギリスでは、カレーは日常的によく食べられています。辛味はマイルドでとろりと濃度があり、まるでシチューのようにコクのある味わいが特徴です。具材は牛肉や豚肉、鶏肉など肉類が使われることが多く、ルーは小麦粉とカレー粉を使って仕上げるのが一般的です。食べ方は日本と同じように、白いごはんにルーをかけていただきます。
◼︎ドイツ
日本ではあまり知られていませんが、ドイツには「カリーヴルスト」という料理があります。カリーヴルストとは、焼いたソーセージにケチャップとカレー粉をかけたファーストフードのことで、ビールによく合うおつまみとしてとても人気があります。
スパイスで作る!インドカレーのレシピ
さてここからは、おすすめのカレーレシピをいくつかご紹介します。インドカレーはたくさんのスパイスを使うイメージがありますが、3〜4種類を揃えれば十分なおいしさに仕上げることができますよ。ぜひおうちでチャレンジしてみてくださいね。
自宅で簡単 バターチキンカレー
3種類のスパイスで作る、簡単バターチキンカレーです。スパイスはカレー粉、ガラムマサラ、ターメリックのみですが、スパイシーでコクのある味わいに仕上げることができますよ。
レンジであっという間!キーマカレー
電子レンジで簡単!お手軽キーマカレーはいかがでしょうか。材料を全て耐熱ボウルに入れ、電子レンジで加熱するだけで完成する簡単レシピです!忙しい日の夕飯に、ぜひ作ってみてくださいね。
※ご使用の電子レンジの機種や耐熱容器の種類、食材の状態により加熱具合に誤差が生じます。 様子を確認しながら完全に火が通るまで、必要に応じて加熱時間を調整しながら加熱してください。
南インドカレー プラウンマサラ
サラッとした南インド風のエビカレーです。スパイスの風味にトマトの酸味、ココナッツミルクの甘みが絶妙にマッチした、スパイシーでありながらもマイルドな味わいはまさに絶品ですよ!
おうちで簡単!タイカレーのレシピ
爽やかな辛味が食欲をそそる、タイ風グリーンカレーです。鶏肉やしめじ、パプリカなどさまざまな具材の食感が楽しめる、ついついクセになるおいしさの一品です。
イエローカレー
辛いカレーが苦手な方は、マイルドなイエローカレーがおすすめです。具材は鶏肉とじゃがいも、玉ねぎと日本のカレーに近いので、初めてタイカレーを食べる方にも親しみやすいおいしさですよ。
お手軽 手羽元のレッドカレー
タイカレーにはココナッツミルクがよく使われますが、ココナッツミルクがないときは「牛乳」で代用することもできます!ココナッツミルクよりコクのある味わいに仕上がるので、お好みで使い分けてみるのもおすすめですよ。
定番!日本のカレーレシピ
日本のカレーは、カレールーがあればいつでもおいしく作ることができるのうれしいですよね。普段とはひと味違う味わいを楽しみたいときは、具材をアレンジしてみるのもおすすめですよ。
ボリュームたっぷり カツカレー
日本のカレーの代表格といえば、やはりカツカレー!シンプルなカレーにサクサクのカツがとてもよく合う、ボリューム満点な一品です。市販のカツを使えばより手軽に作ることができますよ。
シーフードミックスと野菜の具だくさんカレー
普段とはひと味違うカレーを楽しみたいときは、シーフードがおすすめです!シーフードのプリッとした食感がアクセントになった、旨味たっぷりで奥深い味わいをお楽しみいただけますよ。
みんな大好き!野菜たっぷりドライカレー
ピーマンやにんじんなどの野菜は、みじん切りにしてカレーに加えると食べやすくなります。ケチャップの甘みが効いたコクのある味わいは、お子様にも喜ばれるおいしさですよ。
レトルトカレーで簡単 カレーうどん
レトルトカレーとめんつゆで簡単!お手軽カレーうどんはいかがでしょうか。和風だしが効いたカレーつゆは、ホッと和みたくなるような懐かしい味わいですよ。
いろいろなカレーにチャレンジしてみよう!
いかがでしたか?カレーの種類や特徴をはじめ、インドカレーとタイカレーの違いや、おすすめのカレーレシピなどをご紹介しました。世界各国にはさまざまなカレーがあり、特にインドやタイではその種類も豊富です。スパイスからカレーを作るのは難しそうなイメージもありますが、意外と簡単に作ることができますので、ぜひこの機会にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
クラシルでは、カレーのリメイクレシピもご紹介しています。そちらも合わせて参考にして、おうちでさまざまなカレーをお楽しみくださいね。